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非正規労働者が、派遣先企業に直接、解雇撤回を要求する画期的闘争が行われている!!



 

 

 

[11・27、森精機・奈良第一工場に於ける、非正規労働者のストライキ]


 

(関西合同労組・大阪東部支部・技能育成センター分会の戦い)



 

 

 

〇日本を代表する、工作機械メーカー・森精機の、解雇通告を受けた派遣労働者9名、解雇撤回を求め、11月13日に引き続き27日、第2波ストライキを打つ。

 

〇森精機資本は、650名の非正規労働者のうち、300名の一方的「契約解除」(解雇)を公言、その先駆けとして9名を指名。「労働者派遣法」を盾に雇用責任を蹂躙し、「要求書」への回答も団交も拒否。

 

〇「労働者は物じゃない。黙っていたら殺される。労働者の御蔭で儲けを蓄えた会社は、解雇撤回を直ちに行え!」と立ちあがった

 

〇「派遣も正規もない。今こそ労働者が団結し、あらゆる職場で労動者が総反乱を起こす時だ。」と、非正規職撤廃の先頭に立っている。

 

〇「非正規職撤廃」「労働者派遣法」を廃止せよ!

 



△11月27日、9名の組合員全日ストを戦い抜く。森精機・奈良第一工場(大和郡山市)前にて。(午後5時30分撮影・研究会代表


△退社する森精機労働者に、呼びかけのビラを配布する組合員、支援労働者達

 

 

2006年3月期連結決算で、1453億3900万の売り上げを上げ、前年比連結営業利益を56l増(160億)に伸ばしてきた森精機は、十分な社内留保を蓄え、受注残が500億あると言う超優良企業だ。世界からの顧客の為の「迎賓館」まで建築中だ。この様に、彼らが工作機械の世界市場を通して、莫大な利潤を上げてきたのは、この製造業に於ける単体2487名の労働者と、5つの派遣会社から送られ額に汗して働いてきた650名に上る非正規職労働者の御蔭だ。

 

中でもこの650名の非正規職労働者は、派遣元である派遣会社の中間搾取を受け、企業が、等しく全ての労働者に負担すべき企業内福祉や社会保険等のあらゆる権利を剥奪されながら、一方その勤務内容は、正規職労働者と何ら変わらぬ「同一労働」であり、(サービス残業である)「朝8時20分からのラジオ体操と、一日三度“一人ひとりかけがえのない人”の社訓を唱和させる」(11月27日付・分会ビラ)事まで同じだ。それらを拒否すれば“契約を切るぞ”と恫喝される」(同、分会ビラ)と言うのであれば、実際上の使用者こそ、派遣先である森精機そのものではないか!

 

もとより、労働者に中間搾取で寄生する派遣元としての「労働者派遣企業」が、解体すべき悪であることは明らかだが、この派遣元と結託し、(森精機に限らず)「同一労働・差別賃金」を最大限活用して、非正規職労働者を雇用安全弁として利用する「解雇の自由」を、労働者派遣法を根拠に振りかざす派遣先大企業こそ、労働者に対する剥き出しの搾取と支配の根源である。

 

派遣労働者の「実際上の使用者」は、他でもなく森精機である。工作機械の国際市場で生き残り、巨大な富を築けたのは、派遣労働者を犠牲にし、正規労働者の二分の一の賃金で働かしてきたことによるものである事は明らかだ。

アメリカ帝国主義の金融危機によって受注が後退したことが、300名の非正規職労働者の解雇の理由だと言うなら、派遣社員から不当に搾取した賃金と儲けをただちに労働者に返還してから、言うべきことではないのか!

 

(失業保険の受注資格である)「一年以上の継続的な雇用を受けること」さえ、まま為らない全国の非正規職労働者達は、今、日本列島を巻き込む、この資本家階級どもによる大量の犯罪的な非正規職労働者の解雇によって、失業保険さえ受けられず、直ちにこの冬空の下で凍え死んでしまう危険に曝されている。

 

森精機・非正規職組合員の内2名は、11月10日までに解雇通告をうけ、7名は12月末の解雇通告だ。11月10日、解雇予告を受けた9名の組合員は、「死んでたまるか!」と、解雇撤回の要求書を森精機に提出、団体交渉を要求したが、「‘派遣は社員じゃない、関係ない。’と言い放った。」(分会ビラ)会社側は、「一人ひとりかけがえのないひと」と言う社訓が、労働者をたぶらかし、企業の労働者支配を誤魔化す三百代言であることを暴露した。(森精機では、会社側によって、正規労働者の労働組合は潰されて存在しない。)

 

非正規労働者・組合員は、11月13日、奈良第一工場で第一波全日ストを決行、会社の妨害行動を跳ね除け、支援労働者とともに、工場内外で堂々と示威行動をおこなった。

 


△退社する、森精機労働者に呼びかける支援労働者(11月27日午後6時)

 

引き続いて、11月27日には、第二波全日ストを決行、午前中40名余の支援労働者とともに工場正門付近で示威行動を行い団交を要求した。午後、奈良労働会館にて支援集会を開催し、その後近鉄奈良駅前にて、ビラを配布し市民にアピールした。

さらに、退社時間の5時30分から、奈良工場まえにて、労働者への呼びかけ宣伝工作を行った。冬の冷たい雨の中、労働者の意気は高く、ハンドマイクからの一人ひとりの決意表明は、戦う決意に溢れていた。

 

11月27日二波ストライキ時に配布された分会ビラは、次のように書かれている。

「派遣だから仕方が無い、会社あっての労働者と言う考えは、都合よく資本にこき使われ、文句の一つも言わない奴隷の考えだった。だがもう黙っていたら殺される。俺達は自分の仕事に誇りを持って必死で汗を流して働いてきた。工場を動かしているのは社長じゃない。俺達労働者だ。労働者を食わせられない資本主義は終わりだ。労働者は団結しストライキで戦おう。」「俺達労働者を人間扱いしないこんなやり方が、どうしてまかり通っているのか。そもそも派遣と言う働き方自体がおかしいのだ。もともと派遣は法律で禁じられていた。俺達労働者が何でこんな法律に縛られなければならないのだ」と。

 

 

1987年7月、「労働市場の規制緩和」として発足した「労働者派遣法」で、極く例外的に専門分野にしか認められなかったはずの紹介事業(16業種)は、1999年12月には、製造業務、建設,港湾運送、警備、医療を除外しただけで、その他をほぼ全面的に(26業種に拡大)容認した。2004年には、「製造業種」まで自由化された。禁止項目が例外的少数となり、日本の労働者は「派遣会社と派遣先企業」と言う二重の搾取に曝されるだけでなく、労働者に対する、派遣先企業の権利侵害を常態化し「合法化」した。全ての責任を、派遣元に転嫁出来るからだ。このような派遣受け入れ企業の「間接雇用」の容認は、企業から加えられる攻撃から労働者を守る最低限度の縛りさえも蹂躙した。

 

戦後勝ち取られた日本の労働諸法は、雇用の形態を、企業の支配者である経営者から労働者の権利を守る為、直接・常用を原則としてきた。中でも、労働基準法第6条(中間搾取の排除)は、「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得ては為らない」と定め、それを職業安定法第四十四条に於いて「何人も次条に規定する場合を除く外、労働者供給事業を行い又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。」と規定した。「労働者派遣法」は、日本の労働者の権利を守るあらゆる労働法を蹂躙する反労働法、反憲法的立法である。日本の労働者階級を、労働法無き世界に曝すものとなったのである。

 

28日、各言論は、契約、期間労働を含む非正規職労働者の雇い止め、中途契約解除等の首切りが、現段階でも來三月までに、三万人規模に上がると言う厚生省の調査結果を伝えている。

トヨタ、いすず,日産をはじめとする自動車産業だけでも、資本家どもは、既に一万人規模の非正規職労働者の首切り計画を発表した。

 


△「俺達非正規労働者は物ではない。人間だ!」森精機奈良第一工場前で

 

「労働者派遣法」によって、労働者の諸権利を蹂躙し、非正規職労働者を食い物にして、大儲けしてきたにも拘らず、さらに非正規職労働者を雇用調整弁に利用しようとしている資本家階級の典型が、即ちトヨタ自動車だ。

 

トヨタの内部留保は、13兆9000億円だ。この利益は、トヨタグループ全体で派遣期間社員を初めとする非正規職労働者(8万7千人)の給料が、トヨタ本体正社員(グループ31万6000人)の、3分の1以下に搾取されてきた事と大いに関係がある。同一労働で働く非正規職社員の平均賃金は220万円に対し、正社員は830万だ。儲けは非正規労働者から搾り取り、商品が売れなくなれば生産ラインの電気を切るように真っ先に非正規労働者の首を切るのだ。彼らが、資本家どもによる「合法的」な権利侵害から、もっとも弱い立場に曝されているからだ。

 

こんな馬鹿げた事が許されるものか!

 

森精機の、非正規職労働者の解雇撤回の戦いは、全産業と全国の、非正規職労働者の戦いを切り開く先駆的な戦いである。

それは、日本の労働者を労働法無き世界に曝している「労働者派遣法」の全面的撤廃に向かう戦いであり、正規労働者に、明日は我が身だと警鐘を鳴らす戦いである。

 

(2008年11月28日 柴野貞夫時事問題研究会)

 

 

〇激励先 関西合同労組大阪東部支部・技能育成センター分会

 


大阪府八尾市高砂町2−45 /fax 072−951−8177

 

 

<参考サイト>



C 労働法を否定する人身売買法、「労働者派遣法」を、即時廃棄せよ!!