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社会主義の展望シリーズ 第6弾



社会主義革命の展望シリーズ

 

 

(韓国・労働解放実践連帯―「社会主義綱領を討論しよう」より)

http://www.hbyd.org/site2/index.php

http://programto.net/wordpress/?page_id=24

 

 

<訳者注釈>

 

○この文書は、労働者階級の階級的立場に立脚せず、議会主義と民族主義によって韓国資本主義体制から労働者階級を解放する如何なる展望も持たない、既存の「左翼勢力」―民主労働党や進歩政党に代わり、真の革命的労働者政党の建設を目指す韓国の諸政派の一つである「労働放実践連帯」が主導する「社会主義綱領を討論しよう」編集部によって提議された「韓国社会主義労働者党綱領草案」(当研究会では、3回に分けて連載)である。

 

○韓国の、社会主義と真の労働者革命政党の建設を目指す諸グループ、特にこの「草案」を提議した「労働解放実践連帯」のほかに、「社会主義労働者連合」、「社会主義労働者政党建設準備会」(旧・労働者の力)等は、紆余曲折を経ながら「綱領」と社会主義労働者政党の「創党」に向かう共同の討論と協議を開始している。

 

○彼らに共通する視点は、人類の史上初めて、「資本主義世界の一角」に労働者階級の権力である「労働者政府」を樹立した、ロシア10月革命を正しく評価し、それを継承する点にある。

10月革命の成果を歪曲したスターリン分派とスターリン官僚体制、その理論的根拠としての一国社会主義論と国際主義の放棄に対する批判。

スターリン分派から労働者民主主義とソビエト制度を擁護して戦ったトロツキー分派の戦いの歴史的検証などである。

しかし、韓国のこれら「革命的グループ」間には、深刻な理論的相違や、党運営上の手法の違いから、既に対立が生まれていることは否めない。「ソビエト国家」の評価に対する世界の革命的諸派で長く継続してきた論争でもある「国家資本主義論」をめぐる論争も、その一つである。

 

○しかし、彼らは、この革命的労働者政党の建設と党綱領の確立を、政派を超えて、公開的な場での討論会を含む共同の作業を通して行おうとしていることは、日本の「革命的」諸グループが見習うべき点であり、正しい結論を生み出す力となる事は疑いがない。


     pyosi

(仮称)韓国社会主義労働者党綱領草案

 

 

提出者:労働解放実践連帯(準)党建設事業推進団

 

 

[T]

 

1、  資本主義と社会主義革命

 

 

1-1   人間は、誰も人間として尊重され、人間らしく生きようとする欲求をもっているし、この正当な欲求は社会が保障しなければならない。しかし、現実は決してそうではない。社会的富は絶え間なく拡大されて行くが、数多い人々が、富んだ国、貧しい国を問わず、働く場さえ持つことが出来ない状態は持続的に継続される。既存の職場は、ますます非正規職化する。生活の不安は縮小される事が無く、ますますより一層拡大される。貧富格差と社会的不平等は、ますます大きくなる。労働するほど、労働大衆の人生は豊饒(ほうじょう)になる事が無く、より一層屈辱的なものになる。こんな非人間的な現状が改善されず、より一層悪化されていく理由の大部分は、資本があらゆる事に優先する資本主義社会にある。

 

 

1-2 資本主義的商品生産社会で、生産手段の主要な部分は、数的に少数である資本家階級と地主階級が所有し、人口の多数を占める労働者階級は、生産手段の所有から排除される。こんな経済的地位の為に、労働者達は自身の労働力を資本家達に販売し、労働力の価値である賃金を受け取る代わり、それ以上の価値を創出してこそ、自身の家族と共に生存する事が出来るのであり、これら剰余価値は、資産所有者階級の分け前となり彼らの富を形成する。賃金労働制は、あらゆる資本主義的搾取と抑圧の根源である。

 

 

1-3 資本主義的生産関係で進行される持続的な技術の発展で、大規模生産の重要性は、次第に更に高くなり、それらによって小規模の独立的生産者達は、次第に、更に大きい規模で放逐され、彼らの中の一部は労働者に転換される。資本主義的生産関係が発展するほど、生産手段はますます少数の資本家階級に、集積、集中されて、労働大衆たちは又一層、資本に依存する事となる。

 

技術の進歩で、資本家達はより一層多くの女性と児童の労働を使用、搾取する事が出来る事となる。同時に技術の進歩で、労働力に対する資本家達の需要が相対的に減少し、労働力に対する需要は必然的にその供給に裏がえしとなり、その結果、労働大衆の資本に対する依存はより一層増加され、労働の搾取は更に高い水準に上昇する。

 

搾取の強化と労働力に対する需要の相対的減少、資本間の競争の持続的な増加は、生産された商品を資本家達が市場で販売することを、次第に一層難しくする。過剰生産は、先鋭な産業恐慌と引き続いた産業沈滞として現れるが、産業恐慌は資本主義の基本矛盾の不可避な結果だ。また、恐慌と産業沈滞は、資本主義的集積と集中をより一層深化させ、労働階級の生活条件の相対的、絶対的な悪化を惹起する。

 

かくして、資本主義社会では技術の改善は、人口の多数を占める労働大衆の富と幸福を増大させるのではなく、より一層大きな、社会的不平等と貧富格差、一層大きな不安定、失業、その他の労働大衆のすべての苦痛と屈辱の原因となる。労働大衆は、労働すればするほど自身の立場が良くなるのではなく、ますます疎外されていく。

 

 

1-4 しかし、これら資本主義的矛盾が成長し発展することに比例し、労働者階級の資本主義的既存秩序に対する不満と憤怒もまた増大し、労働者階級の資本家階級に対する闘争は次第に鋭い刃となる。同時に、資本主義的生産関係の発展は、生産過程、労働過程を次第に、更に社会化することで、資本主義的生産関係が社会主義的関係に替えられる物質的可能性、即ち、社会的革命を持ちこむ可能性を創出する。

 

労働者階級の社会的革命は、生産手段の私的所有を廃止し、これを社会的所有に取り替えることで、市場の為の生産、商品生産を、社会のあらゆる構成員の完全な福祉と、自由で全面的な発展を保障する社会的生産の計画的な組織化に取り替えることで、数千年間持続された階級としての分裂を完全に廃止し、被抑圧大衆全体を搾取と抑圧から解放させるであろう。

 

資本家階級に対立している階級の中で、ただ労働者階級だけが、真に革命的な階級である。

資本主義社会で、あらゆる他の階級は、労働者階級の観点に立つ場合にのみ革命的であることが出来る。又同様に、労働者階級の解放は、労働者階級自身の行為とならなければならない。

 

この様な社会的革命の必須的な政治的条件は、労働者階級をして、搾取者からのあらゆる抵抗を鎮圧する事が出来る様にする政治権力、階級の廃止と共にその必要性を終え、自ら消滅して行く政治権力を労働者階級が獲得する事、労働者階級が労働者国家を樹立する事だ。

 

 

1-5 社会主義者達は、労働者階級に、搾取者の利害と被搾取者の利害の間の、和解することが出来ない敵対を暴露し、社会的革命の歴史的意義、性格、前提を説明し、労働者階級を、あらゆる資本家政党に反対し、あらゆる形態の労働者階級闘争を指導する独自的な革命的階級政党に組織する。

 

資本主義的生産関係は、国際的交換と世界市場のための生産を持続的に発展させ、この生産関係に編入される、あらゆる民族の間に極めて密接な連関を作り出した結果、解放の為の労働者階級運動は本質的に国際的な性格を持つ事となっただけでなく、次第にもっと、その国際的性格が強化されている。この様な理由で、韓国の社会主義者達と韓国社会主義労働者党は、自身を労働者階級の世界軍隊の一部隊、国際的な社会主義者達の一部分として看做(みな)すと同時に、高度に進行された資本の世界化とは対照的に、数十年間存在しないインターナショナルを新しく創立する為に、戦闘的に闘争して行くだろう。

 

 

2、  資本主義の帝国主義的段階と、プロレタリア社会主義革命時代の到来、革命と反革命

 

 

2-1 世界資本主義は、20世紀初半頃に帝国主義の段階に到達した。帝国主義は資本主義の独占段階として、この段階では、生産と資本の集積と集中が高度に発展し、経済生活で決定的役割を遂行する独占体を形成するに至ったし、銀行資本が産業資本と融合し金融資本に至り、これを基礎にして金融寡頭制が形成された。その上、この段階では、商品輸出と区別される資本輸出が特別な重要性を持つ事となり、国際的独占資本家団体が形成され、世界を分割し、資本主義列強による全世界の領土的分割が完了された。その結果、この段階で、帝国主義戦争、即ち、世界支配、金融資本の為の市場、小さく更に弱い民族の隷属化の為の戦争は、この様な事態の下で不可避となったが、1914−1918年の戦争は将にこの様な、最初の大規模帝国主義戦争だった。

 

世界資本主義が獲得した極めて高い発展水準、生産の社会化の急速な進展、資本主義内で成長した社会的統制機構の発展、独占の成長で惹起された労働階級に対する増大される抑圧、帝国主義戦争によって招来された悲惨さ、野蛮化などは、世界社会主義革命の主体的、客観的条件を高度に成熟させ、資本主義発展の帝国主義段階を、プロレタリア社会主義革命の時代に転化させた。

ロシア10月社会主義革命は、これを現実に見せてくれた。

 

 

2-2 ロシア10月社会主義革命は、世界資本主義と帝国主義の弱い環で発生した最初の社会主義革命として、これを契機に、ついに全世界的に、資本主義から社会主義への歴史的移行の時期が、現実に実際に始まった。

ロシア10月社会主義革命は、すでに資本主義が歴史の発展から、その進歩的役割を終え、反動的なものになった事を、すでに衰退して行く段階に踏み込んだ事を立証してくれたし、全世界の労働者階級と被抑圧民衆、被抑圧民族に、搾取と抑圧からの解放に対する希望と熱情を呼び起こし、資本主義諸国、特にドイツなど先進資本主義国での労働者階級の革命的闘争と、朝鮮、中国など、植民地、半植民地諸国での民族解放闘争一帯の高揚をもたらした。この過程で、国際的な革命的社会主義者達は、言葉では社会主義を主張するが、行動では国粋主義である社会国粋主義的傾向と、社会国粋主義者達との決別ではなく彼らとの団結を擁護し、第一次世界大戦での背信行為で、既に分解された第二インターナショナルの保存、或いは矯正を擁護する中央派的傾向と断固として断絶し、革命的な第三インターナショナルを創立し、世界社会主義革命を遂行する自身の隊伍を整備した。

 

 

2-3 資本主義から社会主義への歴史的移行時期が始まるが、革命的勢力と反革命的勢力の間には、死活を掛けた熾烈な闘争が展開された。

一方で、革命的勢力の闘争が高揚されたら、他方で、革命的勢力を圧殺しようとする反革命勢力の反動的な逆攻勢もますます広範になった。衰退する資本主義の危機の中で、資本家階級は革命を阻止する為に広範な反動化の道に踏み込み、ファシズムと軍国主義、人種主義が荒れ狂った。

ますます増幅される恐慌と、帝国主義勢力間の矛盾の深化は、結局人類をもう一度の帝国主義世界戦争、第二次帝国主義世界戦争の大量殺戮の惨禍へ追い込んだ。20世紀初めに、人類に提起された社会主義か、野蛮かと言う二者択一の岐路で世界社会主義革命が失敗する事で、人類は、又再び残酷な野蛮に直面する事となった。

 

2-4 ロシア10月社会主義革命に引き続き、勃発するのを期待された西ヨーロッパ、特にドイツでの革命が失敗するや、ロシア革命は国際的に孤立されて、期待された先進国革命のロシア革命に対する物質的、政治的支援は、挫折された。さらに、長期間継続された内戦と帝国主義勢力の国際的干渉は、第一次世界大戦で疲弊するまま疲弊するロシア経済を、一層深刻な状況へ追いやった。ロシアの労働者階級は、内戦期間中の犠牲と都市での飢饉を避ける為の農村への移住で、階級として急速に解体され始めた。

 

この様な、不利な主観的・客観的条件の中で、革命過程で創出された最も民主的な形態の労働者国家であるソビエトは、形骸化され共産党の代理主義的実践が急速に強化された。党の代理主義的実践が強化されただけでなく、共産党はロシアで唯一の合法的政党となったのであり、この唯一の政党内で党内民主主義は制限されて行った。

内戦の終息とともに実施された新経済政策は、二つの政策方向の統一であるが、一つは、農民との同盟を強化する為に、農民に大幅な譲歩処置を取る事であったし、他のもう一つは、共産党一党制の強化と危機状況で党の分裂を阻止する為の処置として取った、党内分派形成権の一時的停止と言う党内民主主義の制限だった。一時的停止と言う但し書きが付いたが、この処置は、以後永久的処置として固定化され、党内多数分派が少数分派を連続的に排除、抑圧し、党内民主主義を速い速度で破壊して行く契機となった。

 

この様な一連の過程の中で、ロシア10月社会主義革命は、スターリン分派が最終的に勝利した1920年代後半に完全に変質され、ソ連社会は‘各自の自由な発展が、全体の自由な発展の条件となる連合体’に、発展して行く社会ではなく、労働過程は官僚的専制下に置かれ、党と国家が、特に、党が自立し社会全体に君臨する社会となった。

 

その結果、ソ連社会には、社会主義社会ではなく官僚が支配する共同生産体制に過ぎない社会が出現し、支配被支配関係と抑圧は、新しい形態でまた出現したし、‘社会主義’の名の下に、犯罪的な全体主義的野蛮が発生し、労働者、民衆は、名目上の主体に過ぎない支配と抑圧の対象に転落した。

 

ロシア10月社会主義革命の変質は、一国社会主義論と言う、労働者国際主義(インターナショナリズム)の歪曲としても現れた。一国社会主義論は、資本主義の不均等発展で社会主義革命が、一国或いは幾つかの国で先に発生し、これが拡散されて行く事が出来るし、一国での革命が一時的に勝利する事は出来るとしても、一国単位で革命が完全な勝利を収める事は出来ないと言う、明白な事実を否定した。

 

一国社会主義論は、不可避に、ソ連一国での社会主義建設と、‘社会主義祖国’の防衛を国際的連帯に優先する様にし、これに国際的連帯を従属させた。その結果、一国社会主義論は、資本主義世界体制との闘争は世界的次元の革命が勝利することによってのみ、究極的に勝利する事が出来ると言う展望から離脱し、国際的連帯を歪曲し、無妄な先進帝国主義国との国家的競争に埋没される事となった。これがソ連で無理な速度の蓄積と、暴力と、流血が飛び交った強制集産化が強行され、世界革命のために建設された組織、第3インターナショナルが、ソ連外交の下部機関へ転落した根本理由だ。

 

ロシア10月社会主義革命の変質は、20世紀後半に発生した‘現実社会主義’の分解の根源であり、社会主義者達は、新しい社会主義を実践して行く過程で、歴史的経験の徹底した評価を通してその教訓を自分のものにしなければならない。(続)

 

(訳 柴野貞夫 2009年12月11日)

 

 

<訳者注>

 

この訳文は、[(仮称)韓国社会主義労働者党綱領草案]全体の、3分の1を訳したに過ぎない。引き続き、順次訳文を掲載するので注目して頂きたい。