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(韓国 ハンギョレ紙 国際記事 2008年12月29日付け)

http://www.hani.co.kr/arti/international/arabafrica/330135.html

 

 

 

 

 

ハマス除去は名分・・・執権党‘総選挙の得票’の狙い

 

 

 

 

イスラエル、ガザ空爆の背景・展望

 

極右野党に、立ち遅れた支持挽回をうかがい、レバノン戦争のように国際非難を受けても・・

 

 



△イスラエルの空爆で、阿鼻叫喚となったガザ地区南部・ラパで、27日パレスチナ住民達が空爆で死んだ犠牲者と負傷者達を運んでいる。記者/AP ヨンハップ

 

 

【背景】

 

ガザ地区では、最近6ヶ月休戦の期限が満了となった直後から、ハマスとイスラエルの間に多様な交戦が続いた。ハマスは休戦期間中、イスラエルがガザ封鎖解除などの条件を守らなかったとし、休戦延長を拒否した。反面イスラエルは“ガザ地区に対する部分的封鎖緩和を始めるが、ハマスがロケット攻撃と武器密輸を継続するなど休戦協定を違反した。”と、対立して大規模攻撃を予告して来た。

 

エフトゥ・オルメルトゥ総理は、去る25日異例的にサウジアラビアの<アルアラビア>放送に出演し、ガザ地区の住民達に“ハマスの支配を拒否せよ”と促し、“ハマスがロケット攻撃を止めなければ、ハマスに対する攻撃を躊躇しないだろう”と最後通蝶をした。

 

しかし今回の空襲は、イスラエルの国内外の政治状況と関連があると言う分析が説得力を持っている。イスラエルは、来年初め総選挙控えている。BBC放送は27日、“イスラエル国民は、政府がハマスをどんなに扱わねば為らないか特別の考えがないのであり、ベニャミン・ネタニャフが率いる極右・リクトゥ党の支持率が、現執権連政勢力より、前に立っている。”とし、今回の空襲に政治論理が介入された可能性を予測した。ホン・ビジョン韓国外国語大・中東研究所教授も“総選挙を控え、現在連立政府の主軸であるカディマ党と労働党が、国家安保に対する鮮明性を誇示することで、極右・リクドゥ党に劣勢である支持率を挽回しようとする側面がある。”と語った。

 

これと一緒に、ボラク・オバマ米国次期大統領が、ハマスとヒズボラなどイスラム武装勢力との対話必要性を、ほのめかした事に対する牽制も、今回の空襲の背景となったのだと言う観測も出る。

 

【展望】

 

両側の武力紛争は、暫く続くだろうと言う展望が優勢だ。エフドゥ・バラク、イスラエル国防長官は、27日“いまは、戦わなければならない時期”だとし、“必要があればガザでの軍事作戦を拡大・強化することができる。”と言った。名前を明かさないでくれと言うイスラエル軍高位官吏は、言論インタビュウで“我々は、ハマスが備蓄しておいたロケットを打つ前に、テロリスト達の軍事施設を攻撃する事を願う”と明らかにした。

 

ハマスも決死交戦を誓った。ガザ地区のハマス指導者イスマイル・ハニヤは、この日、テレビジョンの演説で“我々は、絞首台にぶらさがろうと、街が血の海になろうと、イスラエルと戦う事を神の前に誓う”と宣言した。シリアに亡命中のハマス最高指導者、カルレドゥ・マシャルは、<アルジャジーラ>とのインタビュウで、2005年以後自制して来た自爆攻撃の再開を含め、パレスチナのインティパダ(民衆武装蜂起)を促した。

 

しかしイスラエルの攻撃が短期に終ると言う展望も出る。ホン・ミジョン教授は“イスラエルは、パレスチナの団結と統合を願わないのであり、ハマス除去が究極的目標ではない”とし、“イスラエルとしては、パレスチナの不安定な状況を維持する必要がある。”と語った。

 

【第二のレバノン戦争?】

 

イスラエル軍の今回のガザ空襲は、2006年7月、イスラエルーレバノン戦争を思い起こさせる。イスラエル軍は当時、レバノンに拠点を置いたシーア派の政治勢力・ヒズボラが、自国兵士2名を拉致したことを理由に、レバノンを電撃侵攻した。

 

イスラエルは当時、ヒズボラをイスラエルの接境地域で、ミサイル射程圏の外に放逐すると言う軍事的目標と、レバノンに対するシリアとイランの影響力を弱化させ、ヒズボラの存立根拠を崩すと言う政治的目標を同時に狙った。しかし、イスラエルは圧倒的軍事優位にも拘わらず、国際的非難だけ買ったまま、別に成果なく撤収し、中東戦史上はじめて、敗北したと言う侮辱を受けた。

 

今回、ガザ空襲も、ハマスのロケット攻撃の無力化を理由に、ガザ地区とパレスチナ政派内で、ハマスの政治的支持基盤を去勢させると言う孤立化戦略の一つとして解説される。ハマスがこの戦争で生き残ったら、ヒズボラのように、更に強力な勢力として生まれ変わると言う指摘も出る。

 

チョ・イルジュン記者