ホームページ タイトル



(韓国・民主労働党ニュース 4月17日)



 「“一心会”宣告公判、“一心会”は無かった。利敵団体構成など重要嫌疑無罪判決」(いわゆる、386世代北韓スパイ事件について)



16日に開かれたいわゆる“一心会”事件1審判決で、一部活動に対し違法を主張し、実刑宣告が下されたが利敵団体構成の嫌疑に対し、無罪宣告が下されて検挙と国家情報院の不実捜査をめぐって論議が生じている。

ソウル中央司法刑事合議25部(キム・トンオ部長判事)は、16日国家保安法違反嫌疑(スパイ・特殊参入)で、拘束起訴された一心会、チャンミンホ氏に懲役9年、資格停止9年、また同じ嫌疑で拘束起訴されたイ・ジョンホン民主労働党員とソン・ジョンモク氏に各々懲役6年をイ・ジンガン氏とチェ・ギョン前民主労働党事務部総長に各々、懲役5年と4年を宣告してこれら全てに懲役刑とまた同じ期間の間の資格停止形を宣告した。

裁判部は、判決文を通して、“チャン・ミンホ”被告人外に残りの被告人らは個別的に活動して、一心会と言う組織の存在の事実と綱領などを具体的に分らないなど“一心会”が国家保安法上一定した偽計体系を備えた組織と見る事は難しいと明らかにした。

更に、国家機密に対しても検察がチャン・ミンホ氏など関連者5名が北韓に渡した文書の相当部分を無罪と認定して“スパイ団”は結局、実体がないと露見したのだ。

これに対して、民主労働党は16日、午後、国会正論館でブリーフィングを持って、“386世代が網羅されたスパイ団事件と言って騒ぎ立てた事とは異なり、スパイ団は言うまでもなく、独裁時代民主化運動の陣営を弾圧する為に良く使った利敵団体嫌疑でも無罪判決が出た”が、“そうであるにも拘らず、事務部総長に4年の懲役を宣告して多くは9年に至る苛酷な刑量を宣告したことは、一心会事件が捜査捏造されたのを覆い隠そうとする政治判決とと見るしかない”と言った。

続いて、民主労働党は“今日の判決を通して我が社会の司法部の改革と民主化に更に拍車を加えねばならぬ事を切実に悟る。民主労働党は、司法部改革と不当な国家保安法の拘束者を、1日も早く釈放させる事に努力を更に加える事だと明らかにして、守旧公安勢力がいくら民主労働党を毀損しようとしても、結局、傷を受けるのは自分自身だということを悟って、以後、むやみに影で騒がないことを警告する。(訳 柴野貞夫)





解説 2006年12月、北朝鮮のスパイとして民主労働党の現役幹部を含む5名が“北朝鮮スパイ”として国家情報院に逮捕され、今回、第一審としてソウル中央司法によって判決が下された。このスパイ事件の根拠となった“国家保安法”は1972年、朴正熙による“維新クーデター”時代、韓国国民のあらゆる人間的諸権利を抑圧し、“電気拷問と水攻め”による究極のファシズム支配を支えた法であった。

それは、数々の“司法殺人”(死刑宣告)を韓国民衆の民主化運動に対して積み重ねてきた。“保安法”は、金大中・ノムヒョン民主化体制下でも、ハンナラ党を始めとする朴軍事独裁時代の流れを汲む保守野党の抵抗によって廃止には至っていない。韓国社会は一方で、過去の軍事独裁の“罪行の清算”を行いつつも、他方で過去の独裁時代の法の支配から抜け出せないという右と左の不安定なバランスシートの上に立っている。(日本は、安倍総理のファシズムの台頭期である事を自覚しなければならない。)

このスパイ事件で明らかになった嫌疑とした内容とは、一般新聞紙上の記事と変わらぬ、すでに明らかな情報であった事は保守紙も含めて、伝えているところである。
(2006年12月8日付け 韓国・ハンギョレ紙 「386スパイ団事件、主張し裏付けようとした検察」 参照

ノムヒョン大統領が、「“国家保安法”をケースに入れて博物館に収蔵すべき」と主張して来た代物であるにも関わらず、このスパイ事件以外にも、民主化体制以降にも2006年5月26日“韓国戦争”は、北朝鮮指導部による統一戦争との“歴史の解釈”を行った東国大教授のカン・ジョング氏が、北朝鮮を利するものとして“国家保安法”違反として懲役2年(執行猶予3年)の判決を受け、ノムヒョン政権は司法に対して「学問の自由と表現の自由」を侵すものと抗議している。“国家保安法”は1929年、改訂施行された日本の治安維持法、別名“死刑法”と称した思想を死刑で裁いた法律をベースとしている事に、我々日本人は思いを致さねばならない。

戦前、日本軍国主義天皇制国家時代、日本における治安維持法による検挙者は、2000人で獄中での虐殺・獄死はあったが死刑執行はゼロであった。しかし、朝鮮・台湾等の植民地においては、1925年当初の治安維持法が日本と同時に“天皇勅令”により施行され、“朝鮮半島では45の死刑執行が行われた”。(京都大学人文科学研究所 水野直樹助教授 「日本の朝鮮支配と治安維持法」)