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(韓国・労働者民衆言論・チャムセサン 2010年5月7日)

http://www.newscham.net/news/view.php?board=news&nid=56649

 

 

 

 

―北・中首脳会談と韓半島の情勢―

 

 

○北・中首脳会談を通して、・・血盟として表現される両国の紐帯関係が国際社会に誇示された。

 

○イ・ミョンパクの対北政策の誤謬は、国際的な赤恥を晒す事となる。未だに、韓半島情勢を、米国に依存し、自分たちの思うがままに出来ると言う傲慢な考えをしている。(本文から―訳注)

 

 

 

ペ・ソンイン(編集委員)

 

南韓の保守勢力達が、戦車を押し立て、直ぐにでも北韓に攻め込むような気勢のなかで、北韓のキム・ジョンイル(金正日)国防委員長が中国を電撃訪問した。去る4月中旬に訪問すると言う予想を破って、それよりも少し遅い5月3日、史上6回目に中国の土地を踏んだ。

 

やはり、キム委員長に対する国際社会、特に東アジアの関心は、とりわけ大きいものがある。今回では、汽車を利用せず乗用車を利用しながら、行く先々で話題満発、認証ショット(本人かどうかの)炸裂だった。しかし、一面では多くの関心と憶測が横行しながら、米国、日本、南韓など強豪の鼓手たちが、日合を競う連中であることを彷彿とさせた。

 

去る5日、北京で開かれた北・中首脳会談は、両国間の独特な友誼を再確認しながら、6者会談再開問題と経済協力方案を、主に論議したと見える。6者会談問題と関連しては、キム委員長が、韓半島非核化履行意思を表明しながら中国主導の6者会談推進のために、参加の意思を伝達する事と見える。フ・ジンタオ(胡錦濤)主席は、大規模食糧支援と投資を約束したと見える。無論支援と投資が単純に6者会談参加に対する対価として単純化するのは困難だ。

 

大規模食糧支援では、1997年以後最悪に突っ走り続く北韓の現在の食糧事情を考慮せざるを得ない。今年に不足した食料だけで、100万トン以上と推算されている中で、6月を前後にして大規模の餓死者が発生するだろうと言う展望まで出ている。すぐに、これを打開する為に北韓が期待する事が出来るところは、現実的に中国だけだ。

 

その上、前の年11月断行した貨幣改革は失敗だと断定された事は困るが、まだ現れた成果がない。これによって、物資難は更に酷くなった。これは後継問題まで拡散される素地が大きい。従って中国が開発権を取ったナジン(羅津)港開発が先に論じられ、パッケイジとして東北3省の中国物流を、ナジン港側に回す事が出来るようにしてもらうことも出来るのだ。去る3日、中国がキム委員長訪中に合わせて、北韓との国境貿易で、元貨決済を許容すると発表した事を見れば、(その事が)予測可能だ。

 

同様に、キム委員長の大連市と天津市訪問は、北韓の訪中のポイントが、経済協力と投資誘致に合わせられていることを、明らかにしたのだ。中国資本を引きいれ、ナジン(羅津)の先鋒特区開発に拍車を加えたいと言う意味と読めるのだ。これによって、北韓の外貨不足に息の根が止められる事はないと見る。

 

この様に、キム委員長の訪中は、すでに予想されたものの様に、現在の北韓が置かれている対内外的な状況と関係深い。だから、首脳会談の結果が、それ程新しくはない。国際社会が、キム・ジョンイル委員長を注目する事の中の一つは、彼の度量ある大きな決断を期待する為だ。

しかしこんな期待は、遙かに遠いだけだ。

 

それは、イ・ミョンパク政権の対北政策が、自ら招いた為だ。

 

イ・ミョンパク政権は、北韓を意図的に無視し締め付けながら待てば、武装解除出来ると考えたが、今回むしろ不意の一撃を食らった。

北韓が、キム委員長の訪中直前にクムガンサン(金剛山)の不動産を凍結没収し、ケソン(開城)工業団地通行遮断の可能性を示唆したことに対しても、あまり神経を使わずに、むしろ「天安艦」事態の‘犯人’(?)として北を威圧する愚を犯す事で、南北関係を断絶させた。

 

ここに、キム委員長の中国訪問に対して、何かさびしい感情を表示するなど、幼稚で拙劣な外交的行動を見せ、恥をさらした。イ・ミョンパク政権は、韓中関係が北中関係を飛び越えたと自慢したのか、それとも、米国の中国牽制の役割に依存したのか知れないが、世界情勢に対する安易な認識と判断能力を見せてくれた。

 

反面、北韓は今回、北中首脳会談を通して、対内外的に自信感を見せた。対内的には住民たちの動揺を防止し、社会的な統合を高める契機が準備されたのだ。そして、‘血盟’として表現される北中間の粘りある紐帯関係が、もう一度、国際社会に誇示された。中国はイ・ミョンパク政権の反撥を買いながらも、キム委員長の訪中の事実に徹底して口を閉じ、義理を守ったのだ。

 

当分の間、硬直された南北関係は長期化されるものと見える。イ・ミョンパク政権の対北政策の誤謬が明瞭に現れた為に、画期的な方案を模索しなければ国際的な赤恥を甘受しなければならないだろう。かれらは、未だに韓半島情勢を米国の力に依存し、自分たちの思うままに出来ると言う傲慢な考えをしている様だ。「天安艦」事態によって、反北感情を高揚させ安保政局を主導したが、その結果は、彼ら(イ・ミョンパク政権)の胸に、悲愁となって突き刺さると言うことを、肝に銘じなければならない。



(訳 柴野貞夫 2010・5・8)