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(韓国・社会主義政治組織・タハムケ機関紙-「レフト(左翼)21」2011/10/27付)
http://www.left21.com/article/10356

 

 

 

[10・26補欠選(前市長辞任に伴う、ソウル特別区市長選挙)の結果を評価する]

 

 

 

<訳者要約>

「○今回の選挙は、イ・ミョンパク政府4年間の継続された親企業・反民主的な‘富者を生かし、労働者を殺す’政策に対する憤怒を表出するまた一つの機会となった。

 

○民主言論市民連合(民言連)の調査を見れば、朝中東(朝鮮日報、中央日報、東亜日報の三大紙を指す―訳注)は、パク・ウォンスン当選者に対し、ナ・ギョンウォン(ハンナラ党市長候補)に比べ21倍も多い否定的報道をやり尽くした。

 

○今回の選挙は、ハンナラの敗北にとどまらず、民主党の敗北でもある。韓米FTAだけを見てみても、民主党は自ら掲げた再々協議さえ固守出来ず、ハンナラ党と妥協している。事実、韓米FTAは、民主党が‘生んだ’政策でもある。

 

○パク・ウォンスン当選者自身の穏健改革主義の政治も、矛盾を露呈した。

 

右派の偽善的で疎ましい非難は除いて置くとしても、財閥達の寄付と後援に依存する改革の限界は明らかだ。

ベンチャー企業で、青年の失業を解決すると言う市場依存的公約も失望する。

パク・ウォンスン候補が、韓米FTA反対の立場を鮮明に明らかにしない事や、遊説過程で非正規職集会や、‘99%行動’などと距離を置いたのも、批判を避ける事が出来ない。

 

○パク・ウォンスンが約束した、集会の権利の保障と広場の解放を利用し、直ちに韓米FTA阻止闘争、‘99%の抵抗運動’などを更に拡大しなければならない。そんな時、右派の敗退と進歩の前進は継続されるであろう。」

 

 

<本文>

 

1%の代弁勢力のぶざまな惨敗

 

 

 

‘まさか’と思い、気をもんだが、やはりイ・ミョンパク政府に対する憤怒と反感は相変わらずだったし、イ・ミョンパク政府とハンナラ党は惨敗した。特に、ソウル市長選挙で、‘1%の特権層’の誂(あつら)え候補、ナ・ギョンウォン(羅卿瑗)は見事に敗北した。

右派は、無償給食住民投票に引き続き、もう1度政治的に敗北した。

 


△26日午前0時頃、‘10・26再補欠選挙’でソウル市長当選が確定したパク・ウォンスン(朴元淳)ソウル市長候補が、選挙事務所が設けられたソウル・チョンロ区アングッ洞の‘希望のキャンプ’を訪ね、両手に花を持ち支持者達の歓呼に答えている。

 





△10・26ソウル市長補欠選挙で、放送3社の出口調査の結果、パク・ウォンスン汎野圏単一候補(野党統一候補の事-訳注)が圧勝を収めた事を公表するや、見守ったパク・ウォンスン候補と民主労働党イ・ジョンヒ代表など野圏代表と支持者達が歓呼している。

 

 

‘ネクタイ・ハイヒール部隊’が、今回も最終投票率を10%近く引き上げ、ハンナラ党の敗北に決定的役割をした。平日であるのに投票率も史上最高水準だった。20~40代でパク・ウォンスンに投票した比率は、ナ・ギョンウォンに比べ2~3倍に達した。若い青年・労働者達の‘階級投票’がパク・ウォンスン勝利の核心要因だったのだ。

 

ナ・ギョンウォンは、カンナム(江南)3区とヨンサン(龍山)でだけ先頭に立ったが、ナ・ギョンウォン支持票は、無償給食・住民投票の時に右派が集めた票よりもっと減った。自ら‘最善を尽くした’と評価しただけに、この結果が、もっとうずいて辛いものになるだろう。

 

本当であろう、ハンナラ党と右派は出来うるあらゆること事を、やり遂げた。‘それとも他に’式の、あらゆるネガティブと色彩論(アカ呼ばわり攻撃-訳注)を、なりふり構わずぶちまけた。

民主言論市民連合(民言連)の調査を見れば、朝中東(朝鮮日報、中央日報、東亜日報の三大紙を指す―訳注)は、パク・ウォンスンに対し、ナ・ギョンウォンに比べ21倍も多い否定的報道をやり尽くした。

 

“従北市長(北韓に従う市長)”,“ピョンヤン(平壌)市長”、“サタン(悪魔)・マクゥイ(悪神)に属する人間”と言う非難までした。

 

この様に、総攻勢を広げたのに、若い層の投票熱気を覆す事が出来ず、また右派さえ成功的に結集する事が出来なかったのだ。

 

今回の選挙が、始めからオ・セフン(前ソウル特別市の市長)の‘自殺ゴール’(自分が仕掛けた、無償給食の是非を問う住民投票で敗北し、辞職に追い込まれたー訳者注)の為にする事となった、ハンナラ党が‘負ける他はない’選挙だった為だ。

 

だから、今回の選挙は、イ・ミョンパク政府4年間の継続された親企業・反民主的な‘富者を生かし、労働者を殺す’政策に対する憤怒を表出するまた一つの機会となった。その上、折よく噴き出た‘ネゴクドン・ゲート’(国有地をめぐり、イ・ミョンパクの家族が不正に取得したとの疑惑―訳注)は、人々の憤怒に油を注ぎ、‘1億の皮膚管理’疑惑はナ・ギョンウォンに対する階級的憎悪感を増幅させた決定打だった。ネガティブ戦略がブーメランとして帰って来たものだ。

 

何より今回の選挙は、世界的経済危機とそれに立ち向かった‘ウォール街占領’など、世界的抵抗の拡散の中で行われた。かくて<ウォールストリートジャーナル>も‘1%特権層と99%の間の格差’を批判するパク・ウォンスンの主張を紹介し、“ソウル市長選挙で叛逆の雰囲気が覗われる”と言った。

 

今回の選挙は、来年の二大選挙の試金石であった事に、今イ・ミョンパク政府とハンナラ党は、一層また深い泥沼へはまり込む事となるだろう。

 

来年の選挙の敗色も濃くなった。残った任期の間、親企業・反労働政策を押しまくる力も減ってくる他はない。側近の外れた道理などに蓋を被せて置く事は、もっと大変な事になるだろう。

 

右派達がしがみついた‘パク・クンヘ(朴槿惠)大勢論’(軍事政権・第9代大統領朴正煕の長女にして、ハンナラ党前党首―が前面に出て応援すれば選挙に勝つと言う期待論を指すー訳注)も、また打撃を受けた。

 

パク・クンヘは、今回敗色が濃いと考えながらも、‘大統領選の前哨戦’を避ける事が出来ない為に、(選挙と言うボクシングの)リングに上がらざるを得なかった。

しかし、(ハンナラ党内の)‘親イ(李)と親パク(朴)が,せっかく力を合わせた’のに、役不足にすぎなかった。

 

パク・クンヘの良い効果が、受け入れられないと言う事を悟ったナ・ギョンウォンは、土壇場の新聞選挙広告からパク・クンヘの写真を取り外してしまったりした。結局、‘選挙の女王’だったパク・クンヘによる総力支援は、アン・チョルス(安哲秀―ソウル大教授-訳注)の手がみ1枚(パク・ウォンスンに対する支持表明-訳注)よりも効果がなかった。

 

パク・クンヘ のこんな屈辱を見ながら、来年の総選挙でパク・クンヘ効果だけ信じていた首都圏ハンナラ党議員達は、足もとが崩壊する気分であろう。ハンナラ党のホン・ジョンウクは、“牛を失ってから(逃げてから)久しい。牛小屋を直す事が出来るのだろうか・・(本来は‘牛が逃げてから壊れた小屋を直しても遅い’の意味-訳注)”と恨み嘆いた。

 

したがって、保守右派の危機と分裂は、さらに深刻な水準に加速

化するだろう。ハンナラ党が党名を変えて、SNSに駆け込むとしても危機を抜け出す事は難しいと見える。

 

 

 

○民主党も敗北した

 

今回の補選は、民主党の敗北でもある。第一野党と言う民主党は、今回選挙の核だったソウル市長選挙で、候補も出す事が出来なかった。そして、自分の庭の全羅道を除いては、すべての選挙区でハンナラ党に敗退した。ソウルでもパク・ウォンスンに投票した人々が民主党候補には投票しない態度を見せた。こんな現象は反イ・ミョンパク情緒を持った多くの人々が、それを民主党を通して表出することを躊躇したと言う事を見せてくれる。

 

これは、民主党の執権10年の暗澹たる記憶が完全に消えなかった為であろう。プサンでムン・ジェインが積極支援した民主党候補が勝利出来なかったのも、これと関連があると見える。

 

民主党執権時代の暗澹たる記憶は、民主党が、イ・ミョンパクの4年間見せた実践を通して、あまり解消されなかった。韓米FTAだけを見てみても、民主党は自ら掲げた再々協議さえ固守出来ず、ハンナラ党と妥協している。事実、韓米FTAは、民主党が‘生んだ’政策でもある。

 

こんなパターンは、イ・ミョンパク政権の終始に、反復されてきた。

人々は自分たちが反対する嫌な政策の種が、民主党の執権時に播かれた事を、たびたび発見したりした。その上民主党は、そんな政策を反対する途中でも繰り返し動揺した後、結局右派に妥協した。

 

だから、(民衆の中で)ハンナラ党は嫌いだが、民主党も気乗りしないと言う‘反ハンナラ党、非民主党’の空間が大きくなって来たのだ。

 

今回で、その空間を埋めたのはNGO出身のパク・ウォンスンだった。

<フィナンシャルタイムス>も、パク・ウォンスンの勝利は“韓国の野党体制に対する、前例無い抗議投票となるもの”だと予測した。‘パク・ウォンスンは、アン・チョルスが候補を譲歩してから、大きい関心と支持を受けた。国民競選の過程で パク・ウォンスンを支持しようと、チャンチュン(奨忠)体育館へ若い層が集まってくる姿は印象的だった。それは‘バス貸切’した民主党組織票と対象された。

 

人々はパク・ウォンスン候補が、イ・ミョンパクに対決し、民主党と区別される鮮明な代案を提示してくれるのを期待した。

 

実際に、パク・ウォンスン候補は、公共部門の非正規職の正規職化、私立大半額登録金、全面無償給食など、進歩的公約を提示することもした。

 

しかし多くの残念さがあったのは事実だ。パク・ウォンスン候補は、民主党に入党しない代わりに、選本(選挙本部)の主導権を民主党に委ねた。そこでパク・ウォンスン選本の政策と基調で、民主党の色調が濃い反面、進歩陣営の声と鮮明な進歩的代案は良く見えなかった。

 

パク・ウォンスン自身の穏健改革主義の政治も、矛盾を露呈した。

 

右派の偽善的で疎ましい非難は除いて置くとしても、財閥達の寄付と後援に依存する改革の限界は明らかだ。

ベンチャー企業で、青年の失業を解決すると言う市場依存的公約も失望する。

パク・ウォンスン候補が、韓米FTA反対の立場を鮮明に明らかにしない事や、遊説過程で非正規職集会や、‘99%行動’などと距離を置いたのも、批判を避ける事が出来ない。

 

事実、最初に、‘負ける事が出来ない選挙’で追撃を許したのも、即ちこんな穏健な態度のためだった。心中明快に、右派連中を暴露・批判しながら鮮明な代案を提示することが出来ない態度に対する渇きのために、TV討論会が終われば支持者達の抗議電話が降り注いだと言う。そして、これは進歩の空席(真の進歩の候補がいない事)に対する残念さを、更に大きくした。

 

 

 

○進歩政党の空席と課題

 

事実、‘反ハンナラ党、非民主党’の空間が大きいと言う事は、進歩政党にとって決して悪い知らせではない。その空白を進歩政党が埋める事が出来る為だ。

 

そうであるが、進歩政党と(その)候補らは、今回の補選過程で存在感が微々たるものだった。野圏候補の競選で、民主労働党のチェ・キュウヨブ候補の支持率はあまりにも貧弱だったし、選挙運動でも進歩の声は良く聞こえなかった。

 

これは必然的な事ではなかった。民主労働党指導者達は民主党との野圏連帯だけを無批判的に絶対視した。民主党流と区分される鮮明な代案を提示するのではなく、むしろ綱領の後退と参与党との統合を推進しながら周辺化を自ら招いたのだ。

 

しかし、今回選挙で、民主党・参与党の貧弱な位置は、野圏連帯に対する盲目的信仰が根拠がないと言う事を見せてくれる。

 

民主党との無批判的野圏連帯は、進歩政党の存在感を損なってしまうだけではなく、進歩の分裂だけ生んだ。従って、参与党との統合に失敗し進歩の存在感が下落したと言う、民主労働党の一角の主張は全く説得力がない。

 

むしろ、進歩政党の指導者達が、民主党・参与党と区別される代案を提示しながら、反ハンナラ情緒に深く入り込んだなら、状況はどっしりしていただろう。進歩両党を中心にした進歩大統合が成功したなら、その効果はさらに大きかっただろう。

 

実際に、今回の補選でも民主労働党候補達は、全国的に平均25%程度を得票し、可能性を見せてくれた。民主党が候補を出す事が出来なかったソウル・ノウォンクでは、民主労働党候補が当選したし、インジェグンス(麟蹄軍需)、トンデムンク(東大門区)のソウル市議員選挙などでも民主労働党候補が民主党候補と競い、二つの席の少なくない得票率を記録した。ハンナラ党は嫌だが、民主党も気に入らず、進歩候補を支持した人々が少なくないのだ。

 


△26日、午前0時市庁広場で支持者達に当選演説をするパク・ウォンスン当選人。進歩陣営は、パク・ウォンスン当選が生んだ雰囲気と大衆の士気高潮を利用し、大衆行動を建設し、さらに多くの進歩と改革の要求をしなければならない。

 



 

従って、進歩政党と進歩陣営は、経済危機の苦痛転嫁に立ち向かった下からの行動を建設して行きながら、選挙でも避けられない場合がなければ、独自的な進歩の代案と候補を提示しなければならない。多くの青年・労働者達とともに、パク・ウォンスンの勝利を喜びながらも、闘争の課題を忘れてはいけない。

 

アン・チョルス(安哲秀)教授は、今回、投票を督励しながら、今回の選挙が‘富者と庶民、保守対進歩の対立でない’と言ったが、パク・ウォンスンを支持した多くの人々は富者と右派に立ち向かい、進歩的改革を期待している。そこで、無償福祉の拡大、非正規職の正規職化私立大の半額登録金などは、パク・ウォンスン個人の力にだけ期待することが出来る問題ではない。

 

財閥・右派達は無論、甚だしくは民主党が掌握したソウル市議会も、こんな政策の実現を妨げることがあり得る。こんな状況で、行動だけが、進歩的政策を実行することが出来る動力となる。

アン・チョルス教授が言った“55年前の黒人女性、ローザ・パクス”は、勇気ある行動を通して大きな大衆的反乱を触発したのであり、これが米国社会で進歩的改革を作り出した核心動力だった。

 

進歩陣営は、パク・ウォンスン当選が生んだ雰囲気と大衆の士気高潮を利用し、大衆行動を建設し、さらに多くの進歩と改革の拡大を要求しなければならない。パク・ウォンスン市長に無批判的に依存してはならず、彼がこんな要求を代弁しないようにすれば、批判を控えてはならない。

 

パク・ウォンスンが約束した、集会の権利の保障と広場の解放を利用し、直ちに韓米FTA阻止闘争、‘99%の抵抗運動’などを更に拡大しなければならない。そんな時、右派の敗退と進歩の前進は継続されるであろう。

 

(訳 柴野貞夫 2011/11/04)