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(韓国・ハンギョレ 社説 2008年5月26日付)
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/289786.html



                 国民の声に耳を塞いだ政府


米国産牛肉輸入の再協議を迫って、街に出た市民達を無差別逮捕した政府が、もう一度不法集会の厳正対処の方針を警告してだした。現行集会と示威に関する法律が、国民の集会と示威に関する自由を保障することに相当不十分なのは事実であるが、不法集会を妨害する政府の意思を、無条件に咎めることはない。
しかし、“法律に従い主導者は無論、扇動・背後操縦した人間まであくまで検挙し、厳正に処理せよ”と言った、キム・キョンハン法務長官の発言に現れる現政府の事態認識は、嘆かわしいこと計り知れない。蝋燭集会が自発的な民心の表現であったことは、敢えて再論する必要もない。政府が韓・米牛肉協議で、国民の健康権を(米国に)引き渡してやるようにする事実が明らかになるや、世の人々を中心に再協議迫る署名運動と蝋燭示威が始められた。政府は彼等の憂慮を‘怪談’と謗ろうとしたが、結局大統領が出て謝らなければ為らなかった。
問題は、大統領の謝罪が、言葉だけの謝罪だったのではないか、実際は韓・米自由貿易協定通過の要請だったと言う点だ。20日近く、数多い国民がソウル・チョンゲ(清渓)広場を初めとする全国各地で、蝋燭火を持って訴え、80l近い国民が再協議を願っている事にも、彼等の意見はほとんど受容されなかった。農林水産食品部は2830日の間に協議結果を告示するとまで明らかにした。
大統領は、疎通を言うが国民は疎通を感じることは出来ない状況だ。そうだと、協議の責任者であるチョン・ウンチョン長官に対する解任決議案も通過させることが出来ない国会を信じることも出来ない。週末、青瓦台への街頭行進は、疎通の挫折と既成政治に対する不信の表出に違いなかった。政府は、示威の背後うんぬんと言うが警察調査結果の週末示威の連行者68名の中で、社会団体所属や過激示威前歴者は、ただの一人もいなかった。示威の背後があるとすれば、それは国民の声に耳を塞いだ政府と政治圏だ。
そうであるが、国民と政府が直接対決する状況は、結局望ましくない。牛肉協議だけではなく公共機関の構造調整、学校自律化、大運河など、現政府が対決的状況をつくりあげた事は一つ二つではない。国民と政府の直接対決による破局を防ごうとすれば、政治圏は国民の意見を正しく代弁しなければならず、政府は真剣に耳を開かなければならない。告示を延期して再協議に進む一方、連行された示威者らを釈放することが、そんな努力の始まりだ。
                                                         (訳 柴野貞夫)