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(韓国・ハンギョレ 社説 200866日)
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/291937.html



                李明博は広場に出てこい
                       −民心と世論はここにある


72時間リレーの国民行動が継続されている。時間が行くほど規模が大きくなり、拡散速度は速くなる。21年前6月(軍事独裁政権を倒した19876月抗争の民衆街頭示威を言うー訳注)を連想させる。しかし、重要なのは規模と速度ではない。国民の思いと意思はすでに現れた。大統領の真正な謝罪と国政刷新がそれだ。今、重要なのは大統領の選択だ。不幸な事に、大統領はまだ国民の訴えに耳を傾けない。言葉では青瓦台にインターネットの世論担当者を置き、各界元老達の助言を聞いて刷新案を準備すると言う。顕忠日の追念辞では、‘更に低い姿勢で耳を開き、国民の声を聞いて国民と一心になるようにする’とも言った。そう、まだ国民の意思をわからないと言うのか。そのうえ、みみっちいやり口に見える諸事はずっとひろがる。
数日前、国民行動の始まりの初日、特殊任務遂行者会(軍事独裁政権時代、北韓に対する破壊工作組織に関わった者の会―訳注)幹部と一部会員達は、蝋燭文化祭行事場を先占した。4日、大統領と会った直後、すでにずいぶん前に告示された顕忠日行事会場をソウル広場に急にかえたのだ。この団体は‘大統領殿、頑張ってください。我々がいるじゃない’と言う、拡げ幕まで掲げて応援してきた。青瓦台が、仏教界をスタートに準備した各界人士の助言を聞く場所が、説得用であるとか時間稼ぎ用として映るのは、こんなことのためだ。
実際かれは、仏教界との出会いで再協議(米国とのBSE再協議)不可の立場を明らかにした。協議の間違いに対しても謝罪しなければならないのに、国際関係に対する無知だけ悟らせようとした。青瓦台の秘書室長と首席秘書官が辞意を表明した。しかしこの大統領が変わることはない。国民と一心云々と言う修辞が増えただけだ。
こんな大統領に、更にどんな言葉を言うのか。しかし、世論を聞くと言ったのだからもう一度提案してみよう。就任後、かれは楽しんで現場を訪れた。幼児誘拐未遂事件が起こった時や鳥類インフルエンザが発生したときや、仕方なく、中国訪問時も大地震被害現場である四川を訪問した。しかし、国民が懇切に訴えその上憤怒する現場を避けた。“私は、この時代が生んだびっこの私生児”と言う、大鎮圧機動警察の痛切な自責も聞こえないのだ。
(李明博は)時間が薬だと、考えているのかもしれない。しかし、李大統領に時間は毒だ。国民行動が、今は祝祭のように進行されているが、いつ戦闘警察らの盾越しに氾濫するかもしれない。青瓦台ではなく広場へ出よ。そこに民心があり世論がある。
                                              (訳 柴野貞夫)


8日午前、米国産牛肉輸入反対蝋燭示威隊がソウル・クアンファムン(光化門)十字路で警察と激烈に対置した途中、撒かれた消火器の粉末が道を覆っている。(ソウル=ヨンハップニュース)

          
△米牛肉輸入反対72時間ローソク集会が続いた週末の7日夜、ソウル市庁広場で、ナムデムン(南大門)まで繋がったテピョン路に‘協議無効、告示撤回’`李明博OUT’などのスローガンと蝋燭が波打っている。(ヨンハップ)

<解説>

524日からソウルを中心に始まった米国産牛肉輸入協議撤回闘争は、65日夜から始まった72時間連続示威運動で連日10万人規模の巨大な、李明博政権を揺るがす民衆運動に発展した。5日、政府はブッシュと語らって、月齢30ヶ月以上の牛肉と牛海綿状脳症特定危険部位(BSE)を、「民間の自主規制』で乗り切ろうとしたが、民衆を騙すことは出来なかった。つぎは内閣改造による政治危機の回避をはかろうとしている。しかし、4日の地方首長と議員の選挙で惨敗し、支持率10%台に転落した李と与党ハンナラの危機と全国的な民衆運動の高揚の真の理由は、BSE問題だけにあるのではない。
それは、韓国民衆が、李明博政権によって『実利主義』と言い換えられた新自由主義に基く全政策が、自分達の犠牲によって遂行され始めたことに、生存の危機を感じたからに他ならない。米国産牛肉輸入協議撤回問題は、この民衆反乱の単なる象徴にすぎない。「蝋燭文化祭」示威運動の参加各団体は、次の示威運動を610日と定め100万人集会を呼びかけている。
その日は、現在の政権与党ハンナラ党が、軍政与党であった1987610日の、軍事独裁打倒の口火となった30万の学生市民の6月抗争の日でもある。(69日、ヨンセ(延世)大、イ・ハンヨル(李韓烈)が戦闘警察に殺されたことも端緒となって、市内は明け方まで市街戦さながらの状況と為った。)
今後、韓国の広場と街頭での民衆示威運動が、「新自由主義」と戦う生産点での韓国労働者階級の戦いと連係したとき、単なる『市民運動』は、社会変革に向かう階級運動に発展するに違いない。日本の働く民衆も、この韓国民衆の継続的にして粘り強い反乱に続かなければならない。