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(民衆闘争報道 さよなら原発 3.9関西行動 20143月9日)


     さよなら原発 3.9関西行動(報告・講演と示威行動 )於大阪

                   −全ての命と未来の為に―


@ 福島からの報告―地脇美和(福島原発告訴団事務局


A 講演―小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)

       「子供達を放射能から守る為」 

上写真―39日、大阪市「北区民センター」ならびに扇町公園の二つの会場で、講演と示威行動が行われた。それぞれ800名と2000名の労働者・学生・市民が参加した。(写真出処―柴野貞夫時事研)

 

写真− 扇町公園示威会場での小出裕章氏(写真出処―柴野貞夫時事研)


講演会場を埋めた市民達((写真出処―柴野貞夫時事研)


@福島からの報告―地脇美和(福島原発告訴団事務局)


福島に心を寄せ、特に子供達への数々のご支援、本当に有難うございます。この場をかりて御礼申し上げます。

東電福島原発事故は、いまだ、全く終息していません。今も綱渡りの作業が続いています。先月20日、4号機の使用済み核燃料プールの冷却が、一時停止しました。原因は、ケーブルを誤って損傷した為でした。又同じ日、圧力抑制室の水漏れの為、6号機の使用済み核燃料プールの冷却も一時停止しました。今も緊張状態が続いています。私達は、ガソリンを何時も満タンにして、非常時に備えています。
ここで働く作業員は、一日3000人です。7割近くが福島県民と言われています。

しかし、その労働実態は、多重派遣構造によって、その健康管理・労働安全衛生法の遵守などで、不法・不当行為がまかり通っている実態があきらかになっています。被曝作業員の増大で、労働者の入れ替えなどにより熟練作業員の不足、また危険作業に対する人員確保の困難性など、問題が次から次に生じています。高濃度の汚染水は、溜まり続けています。

● 避難基準を、チェルノブイリより4倍も緩(ゆる)めて
<帰還政策>を進める日本政府


これ(表以下)は、チェルノブイリと日本の、避難基準の比較です。


チェルノブイリでは、5ミリシーベルト/年以上が義務的避難の基準です。また、土壌中のセチューム濃度、内部被曝についても考慮されています。一方日本の避難基準は、20ミリシーベルト/年以上として、今<帰還政策>が進められています。

昨年夏、飯舘村のゲート前は、103マイクロシーベルト/h(注・902ミリシーベルト/年)ありました。避難地域の再編が行われ、同じ区域でも区域割りが違う為、様々な軋轢が生まれています。再編には住民の声が反映されていないのです。

20119月、鹿島市・大波地区住民は、自ら線量マークを作り、特定避難勧奨地域に指定して欲しいと要望しました。行政は“経済が縮小するから”と言う理由で指定しませんでした。その後、大波小学校の生徒は減り続け、今年に入って休校となりました。
除染は継続され、放射線ごみは増え続け、集落の中、民家の庭、学校のグランド、公園の隅などに埋められています。除染の限界は誰の目にも明らかです。
除染作業員も、雇用条件でも労働安全衛生条件からでも、派遣会社同士のトラブルもあり、労働者としての権利が守られて居ません。


201194日 <福島民報>記事

 政府によって条件を付けられ、中身を骨抜きにされた「原発事故子供・被災者支援法」とその「基本方針」

20126月に市民が声を上げ、超党派の議員を後押しし、<原発事故子供・被災者支援法>が成立しました。避難の権利を認め、被害の立証責任は国にあるとしました。

医療費の減免、ストレスによる健康被害を認め、事故当時の子供や胎児は医療費を無料とし、避難した人も、しなかった人も、生活支援や<被曝軽減の保養支援>を行う―と言う、画期的な法律だと考えられました。この瞬間、希望の光が見えたかに思えました。

しかしこの法律は、時限立法なので、基本的な施策を各省庁に要求しなければなりません。要求したところ、当初付いていた予算は零円でした。この頃、復興予算の不適切使用が発覚していました。調査捕鯨や核融合研究、原発輸出の調査費、そんなものにまで復興予算が回されていました。多くの抗議の前にして、<原発事故子供・被災者支援法>の基本方針が出されました。

その内容は、支援対象地域を限定し、県外避難の補助を除外するなど、被災者が求めていた中身ではありませんでした。個人の選択を尊重すると言う、支援法の理念を全く無視するものでした。13の市町が批判をし、福島県外の自治体からも納得できないと言う意見が出ました。「基本方針」が閣議決定した次の朝、官邸前で抗議活動を行いました。

 
    国と自治体が福島県立医大と結託し、子供の甲状腺癌と原発事故との因果関係を隠蔽する為に画策福島県国民健康管理調査委員会の前に開かれた<秘密会>の狙い

今年2、<福島県国民健康管理調査検討委員会>は、子供達の甲状腺癌が確定したのは33名、疑いのあるもの41人で、合計74人と発表しました。子供の甲状腺癌は、通常では100万人に一人と言われています。

国、県、自治体は、“後で発見されるはずだった癌が、検査機器の向上でたまたま見つかっただけ”と言い張り、事故との関係を認め様としません。もし仮に、その通りだとしたら、何故全国の子供達に検査をしないのでしょうか?

毎日新聞のスクープで、福島県国民健康管理調査検討委員会>が開かれる前に、<秘密会>が行われていた事が発覚しました。
  癌の発生と原発事故の因果関係はないと、口裏を合わせ、市民の求める尿検査を回避し、SPEEDIの話題を避け、そらす事を求めていました。県が(調査委員会の)進行表を作り、振り付けも行っていました。秘密会の存在を隠し、口止めを行っていました。
  福島県民健康管理調査検討委員会の前に「準備会」(秘密会)で、見解をすり合わせ、「がん発生と原発事故因果関係はない」ことを、共通認識とする
  「秘密会」の存在を隠し、口止めする。
  県が「検討委員会」の進行表を作り、振り付けを行う。
  市民が求める尿検査を回避する言い訳を提示、検査機は牛肉の検査に?
  SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の話題を避け、話題をそらすようにする
また、福島医大の医師は、県民には、“安全だから沃素剤を服用しなくて良い”と言っていましたが、この医師の家族や学生には、事故直後の312日から、服用させていた事が発覚しました。かれらは、この事実を口外するなと指示していました。これは、郡山の医師、武本泰さんの情報公開請求で明らかになりました。三春町のみが、町の独自の判断で、服用していた事も明らかになりました。県の「放射線リスク健康アドバイザー」であった山下氏は、沃素剤は不要と強調していました。山下氏は、講演でも、子供は屋外で裸で遊んでいても問題ではないと話しています。

健康被害は、甲状腺被害だけに出るのではありません。子供にも大人にも様々な症状で表われる可能性があります。<支援法>の理念に基づき健康管理体制を確立すべきです。


写真解説<福島県国民健康管理調査検討委員会>に対する秘密会での確認事項20121056日毎日新聞のスクープ)

  福島に乗り込んできた原発推進勢力―IAEAICRPは、「事故の過小評価・安全神話の再構築と事実の隠蔽工作」に向け、国と県と推進派との連携を深めている

今、三春町に<環境創造センター>が建設される事になりました。この施設にはIAEA(国際原子力機構)とICRP(国際放射線防護委員会)が常駐し、「放射能の安全教育の場」として福島県の小学5年〜6年生には必ず訪問することになるそうです。

2012年には、IAEAと日本政府による原子力安全に関する「福島安全会議」なるものが開かれ、「世界に向けて、福島は復興をしつつあり、事故の知見を生かし安全を強化した原発を進める」などと言う宣言を出す場となりました。

この場で、IAEAと福島県、県立医大、外務省がそれぞれ協定を結んだが、その8条には、「秘密として指定された情報の秘密性を保持する」と書かれています。

歴史をたどれば、1955年、「原子力利用国際会議」で日本政府は、日本の科学者の原爆投下や核実験の被曝影響の発表を阻止したと言う文書が、最近アメリカ公文書館で見つかりました。

また、1959年、IAEAWHO(国際保険機構)が協定を結び、「WHOが放射線問題で発言するときは、事前にIAEAの同意を必要とする」などと取り決めました。

1986年、IAEAの事務局長−ハンス・ブリスクは、“原子力産業の重要性を考えると、チェルノブイリ事故が年1回程度あっても、良しとしなければならない”と発言しました。

国も福島県も、県立医大も、低線量被曝による健康被害データはないので、心配しなくても良い。心配しすぎるとストレスの方が悪いと盛んに宣伝しています。

歴史を見れば明らかな様に、事故の実態と被害は、過小評価され、隠蔽され、偽の情報が流され続けられています。何時の間にか、“心配しすぎる人”と“心配しない人”の対立へと置き換えられ、物が言えない雰囲気が作られ、不安や苦しみを抱かえたまま押し黙るしかありません。毎日毎日、次から次へと問題がおきます。

IAEAが福島に常駐すると分かった時、<フクシマ・アクション・プロジェクト>を作り、監視・抗議活動も始めました。

 再除染を認めず、汚染地域への<帰還政策>の強行によって、新たな安全神話と隠蔽を画策する安倍政権

今年政府は、41日に旧警戒区域の田村市都路(みやこじ)地区の、避難指示解除を発表しました。2014年度を「福島が大きく動く1年」(根本匠復興相)などと位置づけ、住民が望む地区内の再除染を認めず、各個人が線量を監視せよなどと言っています。

子供達は学校が再開されるので、スクールバスに乗って元の学校に通う事になっています。国は、<帰還政策>を進めるに当たって、帰還に向けた放射線リスクコミユニケーションを発表し、本腰を入れて草の根からリスクコミユニケーションの名の下に、新たな放射能安全神話を植えつける<安全対策>を押し付けようとしています。安全神話の建設に、巨額の投資を考えています。

また、ICRP(国際放射線防護委員会)も、福島医大と覚書を締結、IAEA(国際原子力機構)とICRPと言う原子力推進勢力が、福島に張り込んで、国と一体となって、安全神話の復活を画策し始めています。チェルノブイリ事故後、彼らが行ったのは事故の過小評価・隠蔽・被害者の切捨てです。福島でまた、同じ事が繰り返されると私達は危惧しています。

 



●福島原発告訴団は、東電の経営幹部と原子力政策に関ってきた政府関係者、学者達、法人としての東京電力を、不起訴とした検察に抗議し、東京検察審査会に申し立てた。

2012年、私達は泣き寝入りしてはいけないと、東電の原発事故の刑事責任を問う為に、福島原発告訴団を結成しました。その後全国に広まり、14,716人による告訴を行いました。

相手は、東電の経営幹部と原子力政策に関ってきた政府関係者、学者達、法人としての東京電力です。罪状は、業務上過失致死罪、公害罪、劇物破裂罪等、この事故は、決して想定外の事故ではないと言う点を、上申書で幾度と無く強調しました。この25年間、脱原発フクシマネットワークが、毎月東電と交渉してきた記録が、これら罪行の何よりの証拠です。

201399日、福島地検が事件を東京地検へ送付し、その約1時間後、東京地検は全員の不起訴を決定しました。真相究明の家宅捜査、強制捜査も行わず、県内各市町村長の怒りの抗議が起こりました。

不起訴処分説明会での検事の態度は、加害者である東電を庇う姿から、まるで東電の顧問弁護士の様でした。

ただ彼らも東電がさすがに白とは言い切れず、灰色だと発言、私達はこれを不服として東京電力の役員6人にしぼって東京検察審査会に740人で申し立てを行いました。同時に汚水問題でも、福島県警に刑事告発しました。この件は、“東電が、汚水対策の必要性を十分認識しながら1000億の金をケチり、対策を怠った為だと考えています。また、検察庁は、告訴告発を受けながら厳正な捜査を行わず、東京電力に罪の責任と自覚を持たせる事なく、慢心を与えた為に発生したものとかんがえます。

以上のことは、被害と苦しみのほんの一部分に過ぎません。取り返しの付かない事故を冒したにも拘らず、原発再稼動の企みや、海外への輸出を画策するなど、決して許されるものではありません。被害者が泣き寝入りすることなど、絶対に出来ません。無責任体質は、新たな被害を生み出します。皆さんと一緒に考え、行動し、何とか生き延びて行く方法を考えたいとおもいます。どうぞこれからも宜しくお願いします。
(大きな拍手−文責柴野)


<次回>
A講演―小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)