ホームページ タイトル

 

(民衆報道闘争 安保法制に反対する<沖縄の高江・辺野古につながる奈良の会>の街頭宣伝用ビラ 2015614日)


     他国(米国)が引き起こす戦争に、日本が参加しても良いのですか  

私達は、憲法九条1項、2項を踏みにじる「安保法制(案)」に、断固として反対します


                                        沖縄の高江・辺野古につながる奈良の会

 

● 憲法の制約(九条)を、政府の恣意的判断だけで破った違憲立法(案)

2014年7月1日、安倍政権は「集団的自衛権容認」の閣議決定をしました。そして、2015428日、集団的自衛権を織り込んだ日米新ガイドラインがワシントンで合意され、その実効化を図るための関連国内法の改定(1件の新法と10件の改定法案−安保法制)が、今安倍政権によって国会に提出されました。
日米新ガイドラインは、旧ガイドラインにあった「日本国憲法の制約の下に」と言う文言を全て削除しました。憲法9条は、第1項で、「国際紛争を解決する手段としての武力の行使」を禁じています。第2項で、「戦力と交戦権の放棄」を謳っています。このことは、これまでに多くの議論がありましたが、自国の自衛の為の「最低限度の戦力の保持と武力の行使だけは容認される」として来ました。それを、「専守防衛・非核三原則」と言う表現による「国是」として確認されてきました。
この様に、憲法は、「個別的自衛権」を認めても「集団的自衛権」は、他国の戦争に参加するものであり、絶対に認めていません。
511日、自民・公明両党が合意した、新法・「海外派兵法」と、10件の関連改定法制(一括法)を貫く主要な論点は、大きく分けて、二つに絞られます。
一つは、彼らによって自衛隊による<武力の行使>は、どのような「根拠」で許容され様としているのか?であり、二つ目は、他国軍隊に対する<後方支援>をどのように位置付け、どの様な「根拠」で実行しようとしているのか?です。
言葉を代えて言えば、(「安保法制」(案)で、安倍政権がその概念規定した)@政府が、他国に対する「武力攻撃事態」なるものが、日本の「存立危機事態」なるものになったと判断した時に「認める」武力行使と、A「武力攻撃事態」でなくとも、恒常的に、他国の戦争行為を支援する<後方支援>が可能であると言う、彼等のそれぞれの論拠を、(11件の安保法制案の中から典型例として)二つの安保法制(案)―●「武力攻撃事態法」(案)と●< 海外派兵恒久法(案)>を取り上げ、明らかにしたいと思います。
他の9つの安保関連法制案は、この二つの法制案から派生し、或いは関連したものとして、「集団的自衛権の行使」を主軸に、それを実効化する物として法制化されたものであると考える事ができます。
それらは全て、如何に憲法9条をないがしろにする安倍政権の不法行為であるかを、示すものとなっています。

● 他国の戦争に参加する事を義務づける「武力攻撃事態法(案)」

「武力攻撃事態法(案)」(略称)で、自衛隊の主任務を、<自国防衛>でなく、<他国防衛>の為の武力行使としました
彼らの言い分はこうです。「今まで、<武力の行使>が許容されるのは、わが国に対する武力攻撃が発生した場合に限られると考えてきたが、今後他国に対して発生する武力であっても、その目的、規模、態様等によっては、わが国の存立を脅かすことも現実に起こり得る。」これを「武力攻撃事態」と規定し、これによって、わが国の「存立危機事態」が発生すれば、自衛隊の出動を命じると言うのです。この場合、集団的自衛権行使の判断に対し、新しい三つの要件があると言います。
@わが国の存立と国民の人権が覆される明白な危険があり、A他に適当な手段がなく、B最小必要限度の武力行使にとどめるーこれらの要件を判断するのに、「すべての情報を総合して、客観的、合理的に判断される」と言うのです。しかし、誰が一体その事を「判断」するのでしょう。
これは、日本国憲法が、国際紛争の手段としての他国に対する戦争行為を明確に禁じており、「存立危機事態対処」なる、曖昧且つ、国家の恣意的判断にしか頼れない条件で武力行使に突入した場合、歯止めのない戦争状態へと発展し、断じて許されません。また、他国に対する攻撃に、武力を行使することは、自国の防衛と無縁の<他衛>であり憲法違反だと、66日に開かれた「衆議院憲法調査会参考人質疑」で、憲法学者、早稲田大学教授・長谷部恭男氏(自民党推薦人)までが指摘しています。

●「武力事態」でなくとも、常時的に他国の戦争を兵站支援する< 海外派兵恒久法(案)>

「海外派兵恒久法(案)」(略称)で、地域と支援内容の制約を無くし、常時的に世界中で、他国の戦争のために、<後方支援>(兵站支援)をすると言っています。
二つ目の、「わが国にとって、武力攻撃事態に至らなくとも、他国に対する<後方支援>は、武力との一体化に配慮すれば、今後その活動領域を、<後方>とか、<戦闘地域>とかの区別をすることなく行うことが出来る」とした、他国軍隊への<後方支援>の考え方です。
この<後方支援>なる概念について、同じ「衆議院憲法調査会参考人質疑」における憲法学者・慶応大学名誉教授の小林節氏の発言を聞いて見ましょう。氏は、「<後方支援>というのは、日本の特殊概念だ。戦場に後ろから参戦する、前からは参戦しないですよと言うだけの話だ。そんなふざけたことで、言葉の遊びをやらないで欲しい。後方支援は、そもそも武力行使と一体的なものだ。兵站なしに戦闘が出来ますか?そういう意味では、これは露骨な戦争参加法案だ。」と指摘しています。この日、「参考人質疑に参加した憲法学者全員が、安保法制を憲法違反だと断定しました。
わが国が、安倍政権が言う「武力攻撃事態」に至らなくとも、軍事同盟を結ぶ「他国」が戦争を引き起こしている時は、何時も、不断に、恒常的に、世界中至る所で、<後方支援>支援をしなければならない。すなわち他国の戦争の為に、水も油も弾薬も、それを支える制限なき<兵站活動>をすると言っているのです。「これは露骨な戦争参加法案」そのものではないでしょうか。

● 安倍政権は、戦争をする権限を、「無条件に政府に委ねよ」と言っているに等しい全ての憲法学者は、安倍政権の「戦争参加法」を、「憲法を蹂躙するもの」と断定しています。

特に、小林節氏は、別の場所で、次のようにも指摘しました。
「集団的自衛権発動の新三要件をどう判断するかについて、<すべての情報を総合して、客観的、合理的に判断される>と言うが、これでは全く判断基準になっていない。法律学において、<すべての情報を総合して判断する>と言うことは、事前に何の基準も示さずに担当者に一任せよと言うに等しい。
これは、戦争と平和、つまり、国家の存続と各人の政治にかかわる決定を、無条件に政府に委ねよと言っているに等しい。人間社会において民法や刑法が不可欠な様に、本来不完全な人間が権力を預かる以上、その乱用を防ぐ為に憲法が不可欠なことが常識になっている現代にあって、無条件で戦争権限を政府に委ねよとは、論外である。しかも何の根拠もなく、勝手に<客観的、合理的に判断される>などと自画自賛している姿が恐ろしい」と指摘しました。

● 米国の、戦後世界での侵略戦争の歴史を見れば、日本が戦争協力することは、日本社会の破滅を意味します。

「安保法制による集団的自衛権の行使」によって、アメリカがこれからも引き起こすであろう世界での戦争に、日本が否応なく参加することになれば、日本社会の破滅になるのではありませんか?
19648月、アメリカは、ベトナム・トンキン湾で、北ヴェトナム艦艇の攻撃を受けたとするでっち上げで、北ベトナムへの空爆を開始しました。
200110月、911事件を口実に、アフガニスタンへの侵略戦争によって、今なお、アフガンの国民は苦難のどん底にあります。
2003年、アメリカ軍は、“大量破壊兵器がイラクにある”とする<証拠>を捏造し、バグダッドになだれ込んだ。この国への侵略戦争は、特に悲惨である。アメリカの侵略と、それに伴う占領の結果、死んだイラク人の数は、慎重に推定して450万から100万にのぼり、イラクの上・下水道システムを破壊し、発電所を不能にし、保健システムを衰退させ、イラク国民の教育システムを事実上破壊させました。
一つの完全な社会(それまで、イラクは中東で最も進んだ、教育システムと社会的インフラが整備された国家だった)が、暴力と犯罪行為によるこの様な組織的破壊の例は、第二次世界大戦でヒトラー軍がヨーロッパを荒廃させて以来であるといわれています。
イラクは今なお、もともとシリアのアサド政権崩壊を狙って米国が育てたISISによって地獄絵図が展開されています。
ソビエトの崩壊以降、アメリカは、巡航ミサイルやドローンを武器に、侵略と嘘で固めた国家転覆作戦によって、気に食わぬ国家の崩壊を次から次へ引き起こしてきました。コソボ、リビア、そして進行中のシリア、イランがそうです。アメリカ資本主義の地位の低下の中で、延命を図る政策としての軍事的挑発が、全世界で進行中です。アメリカは、再び世界を巻き込む戦争の火種を撒き散らしている国です。
こんな国に対して、恒久的に<兵站活動>を支援し、その侵略戦争に参加する事は、日本社会を破滅させると言うことではありませんか?
私たちは、皆さんと一緒に、安倍政権による憲法破壊の「戦争参加法案」を阻止する為、断固戦います!