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(民衆闘争報道)「朝日放送の、沖縄県民に対する差別報道に対する再度の抗議及び謝罪要求」(奈良―沖縄連帯委員会) 2015年12月8日

         朝日放送に対する再度の抗議及び謝罪要求

                                              奈良−沖縄連帯委員会

   

写真上 辺野古新基地建設の阻止に向けガンバロー三唱する「オール沖縄会議」の結成大会=14日午後8時20分すぎ、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター劇場棟(琉球新報)


朝日放送(株)代表取締役 脇阪 
「教えてニュースライブ正義のミカタ」制作担当者 様
朝日放送(株)広報部長 井上 隆史 様

                     奈良−沖縄連帯委員会
                           代表 崎浜 盛喜
                           事務局 奈良市法蓮町432−1 中企連内
                           TEL 0742−34−7007 FAX 0742−33−8154
                                             2015年12月8日

 11月1日に「抗議声明及び公開質問状−朝日放送『教えてニュースライブ正義のミカタ』−翁長沖縄県知事と県民を愚弄する差別放送を糾弾する! 篠原の『元々普天間基地はいも畑』『県民はたかりの名人』発言をはじめ、司会者・出演者の事実を歪曲し、悪質で意図的なヘイトスピーチを許さない!」を貴社宛に提出しました。この抗議声明にもとづいて11月19日に貴社社内にて抗議と要求を行い、これに対して11月30日に朝日放送(株)広報部長井上隆史様から以下の回答を頂きました。

 

 

 

我々の抗議に対する朝日放送の回答書

 

2015年11月30日

奈良―沖縄連帯委員会 代表・崎浜 盛喜様    

 

朝日放送株式会社

広報部長 井上 隆史

 

貴団体が、11月19日に当社に要求された事項につきまして回答いたします。
当社は10月24日放送の「教えて!NEWSライブ 正義のミカタ」で沖縄基地問題を取り上げ、専門家の意見を一つの見方として紹介しました。さらに11月14日の放送では別の専門家の出演を依頼し、違った見方を紹介しました。これはニュースについて「正しい」「間違っている」と結論づけるのでではなく、賛成・反対を含めニュースの様々な見方を教えてもらって、みんなで考えていくという番組スタイルに則ったものです。
当社は、今後も自主・自律で番組を編集し、適切な番組を視聴者の皆様にお届けしてまいります。
以上
(原文のまま)

 回答の内容を拝見して愕然としました。読み返していると、これが朝日放送の真の姿なのか、と沸々と怒りが込み上げてきました。
 11月19日の抗議行動には、当委員会を始め部落解放同盟奈良県連合会、奈良平和フオーラム、全日本建設運輸連帯労働組合、全日本港湾労働組合、しないさせない戦争協力関西ネットワークの各団体代表が参加して、貴社の10月24日放送の「正義のミカタ」の問題点を糺しました。しかしながら、今回の貴社の回答は不誠実どころか、再び沖縄人と県民、そして翁長県知事を愚弄する回答であると言わざるを得ません。
 ここに、抗議声明と抗議行動を振り返りながら、改めて厳しく抗議すると共に、貴社の差別放送が明らかに「放送法」の第2章放送番組の編集等に関する通則の(国内放送等の放送番組の編集等)の第4条、第3項「(3)報道は事実をまげないでする事」に明らかに違反しています。また、日本国憲法第14条【法の下の平等】「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」に違反し、2010年3月、第76会期国連人種差別撤廃委員会の勧告にも違反しています。
 放送局としての社会的使命に基づいた責任ある謝罪を改めて要求いたします。

1.「沖縄問題」は、「安保・軍事基地」問題でもあるが、本質的な問題は「差別・人権」問題です。
 2007年の国連総会において「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が、採択され、先住民族には「自己決定権、平和的生存権、文化権」等々あらゆる権利を有すると明記されました。さらに琉球(沖縄)に関しては、前述の第76会期国連人種差別撤廃委員会が次のような勧告を日本政府に行いました。
「ユネスコが数多くの琉球の言語(2009年)そして沖縄の人びとの独自の民族性、歴史、文化、伝統を認知したことを強調しつつ、委員会は、沖縄の独自性について当然払うべき認識に関する締約国の態度を遺憾に思うとともに、沖縄の人びとが被っている根強い差別に懸念を表明する。委員会はさらに、沖縄への軍事基地の不釣り合いな集中が、住民の経済的・社会的・文化的な権利の享受に否定的な影響を与えているという、現代的形態の人種主義に関する特別報告者の分析をここで繰り返す」と。

  つまり国連は琉球人を独自の民族として認識し、米軍基地の押しつけを人種差別として考え、義務教育のなかで琉球語による教育を求めるとともに、差別の監視や権利保護に関して琉球側と協議するように日本政府に勧告したのです。
この「勧告」について朝日放送の見解を質したところ、認識していないとのことでした。沖縄問題の極めて重要な「差別と人権」問題に対する無知、無理解、無関心が、今回の「差別放送」の根底にあると思います。

2.放送法違反(事実の歪曲)、かつ沖縄人・県民、そして翁長県知事を侮辱したヘイトスピーチそのものです。
 貴社の回答にあります「ニュースについては、「正しい」「間違っている」と結論づけるのではなく、賛成反対も含めニュースの様々な見方」という見解については、11月19日の抗議行動当日にも指摘したとおり、大きな疑義と問題点があります。報道倫理に照らしても、報道は事実を述べなければなりません。その事実に照らして視聴者や国民がどのように考えるのか、判断するのかが重要な問題であると考えています。しかしながら今回の放送は現在問われている「沖縄基地問題」について、基本的な事実をねじ曲げ、改竄したことが放送局として許されない問題であること、なおかつこの差別言動によって沖縄人と県民、翁長県知事を侮辱し、差別した行為が問われている事を糾弾しました。主な内容を、あらためて以下に列挙します。もう一度確かめてください。

(1)「元々普天間基地はいも畑」 〜沖縄基地問題の原点を歪曲〜
「沖縄のスペシャリスト篠原章先生」は、手書きのテロップ「翁長知事は実は辺野古移設を望んでいる。県民も移設に大賛成」を示した上で次のような発言をしました。
「沖縄県や知事なんかは新基地だと言ってるけど、新基地じゃなくて改築なんです。」

 これは事実と明らかに違います。現在のキャンプ・シュワブには、滑走路や軍港は一切存在しません。オスプレイが離発着する1800mV字型滑走路、海兵隊の強襲揚陸艦が寄港する軍港が建設されるのです。これが新基地でなくてなんなのでしょうか。
 「元々普天間基地の周りはサトーキビ畑と、あの・・・いも畑、まあ百田さんはそれ で虐められたんですけども、ほんとにさつまいも畑だったんですよ。」「事実です。田 んぼもありましたけども」

 これらは、あまりにも沖縄を愚弄する発言です。百田氏の「差別・暴言発言」を擁護する発言は、篠原氏が「(政府に反対する)マスコミは潰してしまえ」と同じ考え方だということです。普天間基地が存在する宜野湾市役所に再確認をしたら「元々宜野湾村の人々が生活、住んでいた地域(新城地区等)を、沖縄戦の時米軍が占領して普天間基地が造られた」との回答でした。この差別放送は歴史を無視するどころか、書き換える「虚言」「暴言」による改竄そのものです。
 私の故郷は、沖縄県中頭郡北中城村瑞慶覧(ずけらん)。1945(昭和20)年4月1日沖縄島本島に上陸した米軍は、翌日瑞慶覧に侵攻し「名幸のガマ」にガス弾をぶち込み約80人もの人々を虐殺しました。住民を捕虜収容所に強制収用している間に133世帯の家々を焼き払い、米軍基地を建設したのです。現在の海兵隊基地、キャンプ・ズケランが私の故郷です。普天間基地はその南にあります。
 沖縄の米軍基地は、沖縄戦で勝ち誇った米軍が沖縄人の土地を強制接収し、「銃剣とブルドーザー」によって建設されたのです。ここに沖縄基地問題の原点があります。朝日放送や出演者の皆様方には、この歴史的事実が全く理解されていません。
 この米軍の軍事占領支配の下で、我々沖縄人と県民は、戦後70年もの長い間人権と生命を蹂躙されてきたのです。それは現在も変わりがありません。
 なお米国の海兵隊は、朝鮮戦争の時に米国本国から日本の岐阜県や静岡県等に移駐してきました。しかし、1950年代の「本土」における反基地闘争の激化を恐れた日米両政府が、50年代後半から60年代にかけて当時米軍の占領下にあった沖縄に海兵隊を再移駐させたのです。普天間基地には1960年に移駐し、空軍基地から海兵隊基地になったのです。沖縄の海兵隊は、元々「本土」に駐留していたのです。元の「本土」に返してあげたらどうですか。

(2)辺野古の漁民と土建業者がぼろ儲け〜悪質な侮辱発言
<漁業補償金>について、篠原氏は、次のように発言されました。
「支払われた漁業補償は32億円。」「平均は3000万円ですけども辺野古の漁業組合員は5000万円から7000万円で基地と関係がない西海岸などの漁業の組合員は2000万から3000万くらい。」  

 名護市役所に尋ねると、「市役所には一切報告がない。漁業関係者の補償金の関係書類は、重要な箇所が黒色で塗りつぶされている」と、「基地対策係」の担当者の答えでした。篠原氏は、何を根拠に発言されたのですか。この補償金は、日本国民の貴重な税金です。
 沖縄防衛局(日本政府)は、漁業補償の経過や内容を名護市や沖縄県、そして全国民に全く説明せずに「裏金」のごとく扱っています。名護市民をいがみ合わせる卑劣な差別・分断政策を行っています。この沖縄防衛局(日本政府)の卑劣な政策こそ第一に問題すべきではないのでしょうか。
「沖縄の土建屋が儲かるために建設計画を現在の計画に変更した」

とも発言しました。美しい自然環境を破壊して、人殺しの軍事基地を建設する、それによって日本本土のゼネコンや地元の零細業者が儲かる。しかしながら軍事基地によって被害や犠牲を受けるのは一般県民です。こんな理不尽は許せません。だから、沖縄の人々は、新辺野古軍事基地建設は止めようと主張しているのです。
 現在マスコミ各社の県民世論調査では、約70%から80%の県民が新基地反対を訴えています。これが沖縄の民意と思いますが、この状況を直視すべきではないでしょうか。
「(埋め立て)土砂はタダ」
 この発言について沖縄防衛局に尋ねると、「そんな事ありません」との回答でした。大型トラック350万台分の土砂で大浦湾のちゅら海を破壊しようと企む日本政府の蛮行を批判することなく、「土砂はタダだから沖縄の土建屋が儲かる」、事実をねじ曲げた悪質な差別発言そのものです。


(3)沖縄人と県民はたかりの名人〜日本政府の沖縄差別政策を意図的に隠蔽す差別発言
 さらに篠原氏は次の発言を行いました。
「(沖縄振興予算)これは47都道府県ありますが沖縄だけに特別に認められている振興予算でして毎年3000億円以上なんです。」「基地の見返りです。ですから基地反対運動が激化するとこの予算は増える傾向にあるわけです。国の方がより沢山小遣いを上げる。」
 これに賛成するかのように、司会者の東野さんは次の発言を行いました。
「反対、反対、と言葉は悪いですが、ごねればごねるほど金額が上がっていく。」
 引き続いてテロップ「基地が無くなった方が経済が活性化して儲かる。沖縄は年間1兆円の経済効果が見込まれる。」を流した上で、 高橋洋一氏が下記の発言を行いました。
「こんなにも経済効果があるのなら沖縄予算なんか無くなっちゃいますよ。・・・沖縄予算を増やすためになら言っちゃたらまずいですよ。」
 まさに、沖縄人と県民は、「お金のためには、どんな悪どい事もする、低劣な人間だ。」と言わんばかりの悪意に満ちた差別発言の乱発、ヘイトスピーチそのものである、と断じざるをえません。あのメア元沖縄総領事の差別発言「沖縄人はごまかしとゆすりの名人」と同根にほかなりません。


(4)「沖縄振興予算で沖縄は優遇されている」〜虚言を弄し、県民を愚弄する差別扇動発言
<「沖縄振興予算」とは、沖縄だけ通常予算にプラスしてもらっているという意味のお金ではありません。他の都道府県ももらっている「国庫支出金」とほぼ同義のお金です。内閣府の沖縄担当部局が窓口になり、各省庁の予算をまとめて一括計上しているという特殊な仕組みの予算にすぎません。>
<もともとは27年間、米軍占領下にあったために遅れた、道路や橋などの社会資本や生活基盤の整備を進めて、他の都道府県と同じレベルにするためのものです。>
<3千億円前後の沖縄振興予算も含め、国から沖縄県に入ったお金は、1人当たりで計算すると、被災3県を除いて、島根、高知、鳥取、秋田、青森に次ぐ6番目。1位の島根県(69万4千円)の4分の3にとどまります。>
 この現実と事実をどのように考えますか。我々沖縄人と県民は、「振興予算はいりません。軍事基地を無くしてください」と主張しているのです。
 今までは自民党沖縄県連と日本の自民党本部が手を組んで(これこそ軍事基地で金儲けをしたのだが)「米軍基地によって沖縄は潤う」政策が中心でした。
  しかし、1972年の沖縄返還当時は沖縄経済全体の約15.5%を占めていた基地経済は、現在では約5%前後で推移しています。返還された軍用地の跡地利用は、那覇市新都心地区では雇用者数が93倍の1万5560人となり、税収効果をみても16億円から199億円と31倍に増加するという絶大な経済効果を生みだしています。
 現在では、翁長県知事をはじめ「米軍基地は沖縄経済発展の阻害要因」と断言しています。「沖縄は米軍基地のおかげで潤っている」は、もはや「神話」となりました。


(5)「県民の総意である新基地反対運動への誹謗・中傷
「辺野古の反対運動の3分の2は本土から。仕事です、日当も労働組合から出ています」
 沖縄の民意として辺野古新基地反対運動は「島ぐるみ」で闘われている。
○ 「島ぐるみ会議」(<普天間基地の県内移設断念とオスプレイ配備撤回を掲げる「沖縄建白書」を実現を目指し、未来を拓く島ぐるみ会議>)の活動
@  市町村レベルで結成し、各市町村ごとに辺野古行動日を決めて、バスで辺野古への抗議行動を行っている。
A 那覇から辺野古直行バスを毎日運行している。
B 沖縄県民はもちろんの事、「本土」からの抗議行動参加者も増加している。「普天間・辺野古問題」は、日本全国民の問題だ。「本土」から抗議行動に参加するのは当然の事であり、むしろ知らんふりし、無視している大多数の日本本土国民こそ問題ではないか。
C 毎日2〜300人が座り込みの抗議行動を行っている。これらの人権と平和を守る崇高な運動に対して「3分の2は本土から」とか「労働組合から日当が出ている」といった、全く事実無根、事実をねじ曲げて反対運動を誹謗中傷する言動は、この番組に一貫している「沖縄人と県民を、さらには翁長県知事を侮辱し、愚弄するヘイトスピーチ」そのものであり、決して許されるものではありません。

(6)「翁長沖縄県知事はウソつき」、屈辱的差別発言を糾弾する
最後の場面がこの番組のクライマックス、象徴的場面です。篠原氏の発言です。
 「仲井真さんと翁長さんが仲が悪くなった。それで知事選で闘った。仲悪くなった理由はいろいろあって・・・」「(翁長知事は辺野古問題を)解決する気ないですよ。」「共産党や支持者に面目が立つ。」「(翁長知事は)誰も止めてくれないと文句を言っている」(出演者笑い)
 また、この番組の冒頭にほんこんさんは次の発言を行っています。
「翁長さんが言っているのは反対、反対で、その前の仲井真知事の時は推進派だったのに、コロッと変わっている。」「反対派の人のイントネーションがなんか沖縄っぽくない人もいるんですよ。」
 全く事実誤認・認識不足も甚だしい上に、 最後は笑いで終了ですか。「沖縄問題」を「お笑いのネタにした」ということですか。
 沖縄人と県民の民意と人間としての尊厳と人権を守るために全身全霊をかけて奮闘されている翁長県知事に対して、それも事実をねじ曲げて悪意に満ちた侮辱的、屈辱的差別発言は絶対に許せません。
 仲井真元知事と翁長さんは、元々辺野古反対論者であり、そもそも仲井真さんは県外移設を公約に掲げて当選しました。しかしながら、知事になった仲井真さんは、2013年12月に公約を破って「辺野古埋め立て承認」を行ったのです。しかも、自民党政府に脅かされ、「振興予算」をエサに、東京の病院に入院して(仮病?)の「決定」でした。政治家として、人間として、決して許されない恥ずべき行動でした。この県民への裏切り行為に怒った翁長雄志氏が、昨年の11月の県知事選に出馬して、約10万票という圧倒的大差で当選しました。名護市長選挙、県知事選挙、衆議院選挙、沖縄県民は「普天間飛行場即時撤去」「辺野古新基地建設反対」を選択したのです。これこそが「沖縄の民意」に他なりません。

(7)沖縄の願いは、人間としての尊厳と人権を尊重すること
翁長沖縄県知事は、9月21日、翁長県知事は国連人権理事会において次の声明を発表しました。
@ 沖縄人の自己決定権や人権がないがしろにされている現状と自己決定権確立。
A 米軍基地は沖縄人が自ら提供したものではなく、米軍によって強制収用されて造られたという歴史的原点の確認。
B 現在の軍事基地による事件・事故、深刻な人権侵害・環境問題。
C 自国民の自由、平等、人権、民主主義が守れない日本国がどうして世界の国々と価値観を共有できるのか、と批判。
D 日本政府は沖縄の民意を一顧だにせず、美しい辺野古の海を埋め立て、辺野古新基地建設作業を強行しようとしている。あらゆる手段を 使って阻止する、と宣言。
これらが翁長沖縄県知事の覚悟であり、沖縄県民の総意であります。翁長県知事と沖縄人、県民の願いは、蹂躙されている人間としての尊厳、人権を回復することです。 安倍自民党政府は、「沖縄県民に寄り添う」「基地負担軽減」等繰り返し、繰り返し強調してきました。しかし日本政府は、沖縄の民意を全く無視し、踏みにじって、辺野古新基地建設を強権発動=国家権力の暴力によって強行しています。
 先日、中谷防衛大臣は、佐賀県に「オスプレイ訓練の佐賀空港移転」を要請しました。しかし、佐賀県に「危険な訓練は受け入れられない」と断られると、いとも簡単に訓練要請を撤回しました。沖縄県の全市町村や議会の「オスプレイ反対」の意見を無視して配備を強行したのに、一体全体どういう事でしょうか。明らかに日本政府の沖縄差別政策です。
 朝日放送のこの番組は、このような安倍自民党政府のあからさまな沖縄差別政策に同調するかのごとく、我々の当然の願いを踏みにじり、事実を故意に歪曲し、「たかりの名人」と罵り、暴言を吐き、笑いものにしました。我々沖縄人と県民の人間としての尊厳と人権を泥靴で平然と蹂躙しました。報道機関として、人間として決して許されるものではありせん。

 以上のように朝日放送が10月24日(土)、「教えてニュースライブ正義のミカタ」の「翁長知事が辺野古埋め立て承認を取り消し。政府と対立で泥沼化・・・沖縄の民意は本当に移設反対なのか。翁長知事の本当の狙いとは」と題して放映した番組並びに11月30日付「回答書」は、以下に掲げるの点において極めて重大な疑義と問題点があります。

(1)人権問題としての沖縄基地問題に対する無知及び無理解
 2010年3月、第76会期国連人種差別撤廃委員会が次のような勧告を日本政府に行いました。「 沖縄の人びとが被っている根強い差別に懸念を表明する。委員会はさらに、沖縄への軍事基地の不釣り合いな集中が、住民の経済的・社会的・文化的な権利の享受に否定的な影響を与えているという、現代的形態の人種主義に関する特別報告者の分析をここで繰り返す。」と。
 従って「沖縄問題」は、極めて重大な差別・人権問題であるという認識が欠落していること。


(2)「放送法」違反が明白であるあること
 貴社の差別放送が、明らかに「放送法」の第2章放送番組の編集等に関する通則の(国内放送塔の放送番組の編集等)の第4条、第3項「(3)報道は事実をまげないでする事」から明白に乖離し、それに違反しています。放送局としての社会的使命に基づいた責任ある謝罪を改めて要求いたします。

(3)歴史的・現在的事実を歪曲し、沖縄人・県民全体を誹謗・中傷した一連の言動 は、明らかに差別・侮辱発言、ヘイトスピーチそのもの
 この番組に通底しているものは「沖縄問題」への反対意見ではありません。篠原氏を始め出演者は、まず「普天間基地は、元々いも畑であった。」などと主張する事によって、沖縄基地問題の本質を隠蔽しました。そして辺野古新基地反対運動を「一部の人々」と矮小化する事によって「沖縄の民意」を踏みにじりました。さらには新基地建設に「賛成」している「土建屋」「漁民」そして「沖縄県」を「ゆすりの名人」と揶揄することによって、沖縄人・県民全体を侮辱したのです。あげくの果てに、翁長沖縄県知事は「ウソつき」と悪罵を投げかけ、笑いものにしました。結局のところ、番組全体に通底している問題は、沖縄人と県民、そして翁長県知事を侮辱し、沖縄県民にとって屈辱的なヘイトスピーチ(差別憎悪扇動)となっている事に他なりません。

ここに改めて朝日放送がこの問題と真摯に向き合い、回答される事を要求します。
(1)今回の問題は、沖縄人と沖縄県民ならびに翁長知事に対する侮辱的・屈辱的な差別発言、ヘイトスピーチ(差別憎悪扇動)であるという、我々の抗議声明に対し て朝日放送としての見解を明らかにされたい。
(2)したがって沖縄人・県民、翁長県知事への謝罪と日本「本土」国民に誤解を与えたことへのお詫びをしてもらいたい。
(3)謝罪と反省に基づき、今後「沖縄問題」の根本的解決のために、沖縄への構造 的差別・自己決定権の侵害状況等の沖縄問題に関する番組を是非とも制作していただきたい。
(4)今後、このようなヘイトスピーチまがいの番組を放映しないためにも、局内の 体制作りをどのようにされるのか、明らかにされたい。
以上要求します。12月21日までに御回答頂きますようお願いいたします。

<参考サイト>

翁長沖縄県知事と県民を愚弄する朝日放送の差別報道を糾弾する(2015年11月5日)

11.22翁長沖縄県知事の辺野古埋め立て承認取り消しを支持する奈良県集会(その1) (2015年11月22日)