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(民衆闘争報道 「日韓平和連帯」結成の集い−韓国進歩連帯・ハン・チュンモク(韓忠穆)氏の記念講演)2016年2月23日)

    
       戦争法廃止と朝米平和協定の締結で、東アジアの平和を実現しよう
     「日韓平和連帯」結成の集いが開催された
 



 写真上 2016年2月23日 大阪市内、「エルおおさか」で、「日韓平和連帯」結成の集いが開かれた
(写真出処 柴野貞夫時事問題研究会)

2月23日、大阪市内、「エルおおさか」で、「日韓平和連帯」結成の集いが開かれた

2009年以来、「東北アジアの平和のための日韓社会団体の交流」を、韓国進歩連帯、民主労総、民主労働党などと精力的に行ってきた「日韓平和連帯」は、安倍政権による「戦争法」の強行採決や、朝鮮半島における、米国と韓国・朴政権による朝鮮民主主義人民共和国への露骨な核戦争準備の動きに対し、東アジアに恒久平和を打ち立てるための、国際的組織の結成を、韓国の平和進歩団体との連携で実現することを呼びかけた。
2月23日、韓国「戦争反対平和実現国民運動」共同代表で、韓国進歩連帯のハン・チュンモク(韓忠穆)氏を招請し、「日韓平和連帯」を正式結成することにした。参加者は、全港湾、全日建、女性会議など数十団体と、個人である。
結成集会では、とりわけ3月9日から始まる、韓米合同軍事演習が、人工衛星と水爆実験を口実にした朝鮮に対する露骨な挑発的核侵略戦争演習であり、朝鮮半島に一触触発の危機を生み出す原因であることが指弾された。朝鮮半島における戦争の危機は、東北アジアの危機であり、日本の安倍政権の戦争国家への歯止めなき暴走を誘発するものである事が指摘された。韓国の朴政権に対する戦いは、日本の安倍政権に対する戦いと深く連帯する国際的戦いでなければならないことが確認された。結成宣言の後、「戦争反対平和実現国民運動」共同代表ハン・チュンモク(韓忠穆)氏の記念講演が行われた。


<記念講演>

[東アジアの危機とこれからの日韓民衆連帯]

            「戦争反対平和実現国民運動」 共同代表 韓国進歩連帯・ハン・チュンモク(韓忠穆)
           (同時通訳 韓青同委員長) 

朴政権と米国による、北への侵略的挑発的核戦争演習―韓米合同軍事演習の強行を許さない!
 

写真上 韓国進歩連帯・ハン・チュンモク(韓忠穆)氏(写真出処 柴野貞夫時事研)

韓国の情勢は、今日・明日にでも戦争が起こるかもしれない危機的状況だ

ただ今、ご紹介頂いた「戦争反対平和実現国民運動」共同代表のハン・チュンモク(韓忠穆)です。(大きな拍手)
久しぶりに、韓国から大阪に来ました。皆さんもメデイアでご存知かと思いますが、今日は、韓国の危機的な状況についてお話ししたいと思います。
情勢認識は見方によって変わるものですが、私は、進歩連帯の代表として、民衆運動の観点からお話しします。したがって私の話は、他の市民団体や野党の人々と異なるかも知れませんが、韓国の民衆運動の中で、私達の考え方として示して行きたいと思います。また、その様なものとして理解してくだされば、今後の連帯運動の助けになると思います。
今、韓国の情勢は、一言で言って、今日、明日にでも戦争が起こるかもしれないという、それ位の危機的状況だと認識していただければと思っています。
皆さんご存知の様に、1月6日北韓が水爆実験をしました。そして2月7日には、北が人工衛星と言い、韓国政府がミサイルと言っている−いずれにせよロケットが発射されました。特にパククネ政権は、我々の観点と全く違うのですが、この二つの出来事を契機として、「高高度核ミサイル・サード(THAAD」の配置強行と、ケソン(開城)工業団地の閉鎖措置を取りました。
更に、実質的な脱北者の支援法となる北朝鮮人権法を国会に通過させようとしています。また、私たちへの弾圧法となる“テロ支援法”を国会に上程しようとしています。


ケソン工業団地を閉鎖し北との緊張を演出−中小企業(進出企業)の損害を放置するパククネ政権

ケソン工業団地の閉鎖の日、正確な数は分かりませんが、504名の韓国企業の長や従業員が、休戦ラインを越えて韓国に戻ってきました。その504名の人々は、ケソン団地を振り返り、目に涙をいっぱい浮かべながら戻ってきました。今、ケソン団地に進出していた企業は124社ありましたが、その殆どは規模の小さい中小企業です。
それぞれ、時計とか衣料品、日用雑貨を作っていましたが、今回のパククネ政権による閉鎖措置で、大きな損失と打撃を受けることとなりました。
この団地に52000人もの北の労働者が働いています。北の労働者は、一日10時間働いているという事です。この労働者の一年間の人件費は、1億ドル、日本縁で100億円程ですが、一方南の企業が投資した費用は、工場設置、機械の仕入れ等、11億ドルになるということです。ケソン団地は、外国への輸出品を主に作っているのですが、彼らは、当然、外国企業との間で納品時期などを契約しています。それらをすべて破棄しなければならない事になります。それらすべてを合算すると損害額は30億ドル超になります。
私が申し上げたいのは、朝鮮側に入っていく金より遥かに多い金が出て行き、パククネがそれを、124の中小企業に背負わせようとしていること。またこの事に関して、韓国政府が当事者に知らせず、秘密裏に処理してきた事実です。

北の脅威を煽り立てる保守メデイア

今、韓国の保守的メデイアは、チョジュンドン(訳者注 ???―とは、韓国の三大保守反共系新聞である、朝鮮日報、中央日報、東亜日報のそれぞれの頭文字を合わせた呼び名である)と呼ばれています。
彼らが連日報道しているのが、キム・ジョンウン第一書記が軍部に、南に反北的人士を送り込み、テロが起きるかも知れないと言う‘噂’を流し、脱北者の中の主要人物に二人の警備員をつけるというなど、物々しい騒ぎを起こしています。この様に“テロが想定されるのでテロ防止法が必要だ”と。“国家情報院の情報収集能力を強化し、権限を強めなければならない。そうして初めて、国民を守ることが出来る”などと言う宣伝・扇動をしています。この様な宣伝を世界に向かって公開的に行ってます。

北の平和協定締結提案を拒否し侵略的挑発的な核戦争演習を強行する朴政権

果たしてこれが、事実なのかどうか、我々が知ることはできません。こんな噂を保守反共メデイアを使って流しながら、北の水素爆弾・人工衛星発射に対応するのだと、3月7日から米韓合同軍事演習をする、「キーリゾブル・ポクソリ」を行うなどと言っています。そして、キーリゾブル合同軍事演習の際に、核兵器を搭載出来る空母、核潜水艦、核兵器搭載のB−52戦略爆撃機を参加させると言っています。
更に具体的に、韓・米軍が、朝鮮北部のウオンサン(元山)という港町に上陸して、ピョンヤン(平壌)に向かい、政府首脳を殺戮してピョンヤンを接収すると言うなど、侵略的挑発的な、核戦争演習計画を公言しているのです。
そして、その訓練に3000名の米海兵隊が参加するというのですが、これは通常の3倍の人員です。私の記憶によると、かってのパク・チョンヒ(朴・正煕)軍事政権の時に言っていたのが、“共産主義に勝利して統一する”というものだった。
それ以前のイ・スンマン(李承晩)政権の時は、“滅共―共産主義を滅ぼして統一する”というものだった。共産主義を滅亡させた後に、統一するというものだった。
パク・クネ政権の対北政策をみると、パク・チョンヒの時代に戻るどころか、その前の“滅共”を叫んでいたイ・スンマン時代に匹敵するものであります。
具体的には、米国と朴政権は“北の指導部を斬首する”と言う言葉まで使って、この韓米合同軍事演習の目的を公言しているのです。北と、韓・米のどちらが‘挑発者’なのでしょうか。
これに対し、朝鮮指導部は一貫して、停戦協定を平和協定締結に変えるべきだと。米国は、無条件の話し合いに応じるべきだと主張してきました。、今、朝鮮半島は極めて危険な状態にあります。


「北風」を煽り立て長期政権を狙う朴政権の政策−ケソン工業団地の閉鎖とサードの配置

皆さんもご存知の通り、朴政権とは米国は、北のロケット発射に対応するとして、高高度核ミサイル−サード(THAAD)を配置する方向で、韓米が協議に入っている最中です。どこにするか、まで決めています。
これに対し、中国は激しく反発しています。もし、韓国が配置するなら経済的報復をするとまで言っています。今、中国と韓国の貿易高は、日本と米国を合わせたより遥かに多い額です。もし、サードを強行配置して中国から経済的制裁を受ければ、韓国はとても大きな経済難に直面することになります。にも拘らず何故朴政府は、経済的・外交的にも困難な選択肢を取ろうとしているのか、我々は極めて疑問に感じています。
この様に、ケソン工業団地を閉鎖したりサードを配置したりするのは、いわゆる「北風」と言う、北の脅威を煽り、朝鮮半島に緊張の雰囲気を作り上げることによって、自分達の長期政権化を狙うパククネの政策に基づいています。私達の韓国は分断国家ですが、これまでの歴史の中で、南北関係が緊張すると保守層に有利だと、保守層が強化されると言うのが一般的傾向です。今南北関係は、日に日に深刻になり、いつ戦争に火が付くのか分からないという状況がメデイアに一日中流されています。常識判断が困難と成ってきています。

今日の韓国は、労働者、農民、都市貧民の民生と生活が完全に破壊されている

現在の韓国社会の実態は、労働者、農民、都市貧民の民生と生活が、完全に破壊された状況です。その生活を守る戦いも、難しくなっています。
彼らが煽り立てる「北の脅威」なるものによって、韓国社会の民主主義や民生が出来ないなどと言う雰囲気作りが、政権と保守メデイアによって作られています。「内乱陰謀罪」の適用によって、進歩政党(民主労働党)が解散され、1970年代の軍事政権時代にまかり通った主張が、パククネ政権によって、行われています。つい最近では、全教組(全国教職員組合)が、‘合法的な組合出ない’との判決まで出され、司法と権力が一体となって労働者・農民・都市貧民層が攻撃にさらされています。
この様な形で、南北の対立−「北風」を利用して、平和、民政、民主主義を求める団体・組織を、すべて公安弾圧によって殲滅させようとしています。ですから今韓国では、平和運動は即ち民主化運動であり、民政を守り民主主義を守る戦いになっていると言っても過言ではありません。
この様な南北の対決状況を、和解と協力に、平和と統一に転換させることが、韓国では、民主主義を守り、民政を向上させることに繋がるのです。私達は、日本に来て「平和連帯の必要性を訴えるのは、韓国で民主主義を回復させ、民政を回復させる道であると言う切迫した思いがあるのです。

労働改悪反対に集まった10万人のソウル―11.14民衆総決起大会 

韓国では、野党が分裂しているという話は、よく聞くと思います。進歩陣営では、進歩党(民主労働党)が解散させられた事で始まり、先ほど申し上げた「全教組」が司法によって「合法的でない組合」と指定されたり、公務員労組が弾圧されたり、いわゆる進歩勢力が次々に攻撃に晒されています。この様に、戦う組織が弾圧され、組織力が毀損された事実がこの様な状況を生んだと言う事実があります。
しかし、我々の民主主義を回復する意思が折られたわけではありません。昨年11月14日、ソウル光化門で13万の民衆による総決起を開催しました。我々主催者側は、この総決起に13万名の労働者、農民、市民が参加したと評価しましたが、警察側は85000人が参加したと評価しました。しかし、11万人以上が参加したのは間違いありません。私達が10万名集会を決意した時は、恐らく3万名程と考えていました。労働者・農民の活動家達が立ち上がりました。 11万人以上が結集する集会となりました。http://www.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_516.html


上写真「民衆総決起大会」が開かれた14日午後、ソウル光化門(クァンファムン)広場近隣で、警察が車壁を作り放水銃を撃って市民の行進を阻んでいる (キム・ソングァン記者/ハンギョレ)

日本で例えますと、東京での10万人集会は、大阪から2万人、名古屋から1万人数多い府県から数万人がバスや列車に乗って東京に集まる。集会をして、あくる日、それぞれの職場に帰っていくと言う様な事が、韓国で起こりました。私達は、この様に今日の韓国社会に憤激する民衆がいる限り、パククネ政権と戦うことが出来ますし、また戦わねばならないと、決意を新たにしました。


進歩的大衆政党の建設−既存の野党に民衆の運命を任せるわけには行かない

4月には、韓国で、国会議員選挙があります。韓国では野党が数多くあり、与党1人対複数の野党と言う構図の小選挙区制での選挙となります。
私達はこの2月27日に、第2次民衆総決起を計画しています。私たちはこの場で、12大要求というものを国民の前で発表します。総選挙で、すべての野党の候補者に、それを公約とするように要求し様と考えています。12大要求の中味は、例えば「労働法改悪反対」「不正規労働者問題」「失業問題」「平和問題」「セオル号真相究明」など、民衆が要求する問題を提示します。
これら賛成しない候補者もいるかと思いますが、特定の政党には通じると思っています。私達はこの要求に同意出来ない人々に対する「落選運動」をして行きます。しかし約束したとしても、野党候補が乱立しては、効果的な運動はできません。私達は、可能な地域から1対1の構造を作る努力を、諸組織と話し合い、野党の単一候補を出して行きたい。市民団体、宗教組織数多くの民衆組織が力を合わせなければならないと思います。
中長期的な労働者・農民などの民衆運動によって、守旧勢力と対決し、政権交代を実現する戦いを進めたい。今年11月には、20万人の総決起を組織します。その場で、労働者、農民が、民主主義、民生、平和のために戦う民衆連帯を組織しなければなりません。
その為には、数十万の民衆が共にする進歩的な大衆政党を新しく建設しなければなりません。朴政権によって解散させられた「進歩党」(民主労働党)は無く、今既存の野党だけを頼りにするわけにはいきません。そこに民衆の運命をすべて任せるわけには行きません。
労働者、農民、民衆達自らが戦う事によって、その権利を守ることが出来ます。その為、進歩民衆勢力が一つになって声を出す事によって、勝利が訪れます。2017年11月に大統領選があります。この大選においては、「野党圏」とは連帯しますが、その時々に我々民衆の要求が貫ける様にして行きたいと考えています。キム・デジュン、ノ・ムヒョン両政権時、「平和」に於いては一定の進歩がありました.しかし、新自由主義が広がるにあたって、労働者、農民の生活が一層苦しくなったと言う事実も否定出来ません。労働者・農民にとって、名分も実利もある様な選挙への参加でなくてはなりません。「労働地獄、資本天国」を代える戦いでなければなりません。


「日韓平和連帯」を「世界平和連帯」へ

今一度、大阪での「平和連帯」の結成には、非常に意味ある事だと考えます。韓国や東アジアの平和に向けて、韓国や日本だけでなく米国、ロシア、欧州、世界の多くの人々と連帯して行く必要があります。
平和連帯が結成されたこの地で、忘れず、公式に提案したい事があります。平和の為に戦う韓国の市民達とともに、韓半島、東アジアの国際的な平和連帯機構を作ることを提案します。かって、ベトナム戦争が起こったとき、世界的な平和連帯が生まれました。また、現在の中東事態に対し、平和を求める組織は数十個あると聞いています。
韓半島の平和のための政府次元では6者協議がありますが、民間の側から平和に対する方案、提案は、これまで無いのではないでしょうか。朝鮮半島の平和や、日本の平和憲法を守ることに誰が反対できるでしょうか。われわれの「平和連帯」は、世界に向かって普遍的な規模と力になると思います。朝鮮半島の分断は、より深刻なものとなっています韓・日・米と、中・ロという新しい冷戦体制に入ろうとしています。こんな状態が固定化されると、韓国の平和・民生・民主主義が大きく萎縮・破壊されます。
当然、日本でも保守反動政権が長期化されるであろうし、平和憲法が破壊されるに違いありません。今日結成された「日韓平和連帯」が、韓国へと繋がり、それがまた、国際的な平和運動へと広がる最初の一歩となるでしょう。
安倍政権と朴政権は、とてもよく似ています。我々が連帯することは、平和を守る為の契機であり、よき場所です。日本の皆さん有難うございました。(拍手)