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(論考/「蝋燭蜂起の民意を踏みにじるムン・ジェイン政府」 2017628日)



         蝋燭蜂起の民意を踏みにじるムン・ジェイン政府

「韓米同盟の堅持」と「制裁の同意」は、朝鮮半島の核戦争と南北関係の破局を推し進める


                                                  柴野貞夫時事問題研究会

キャンドル蜂起が、ムン・ジェインに与えた歴史的な責任と義務

南朝鮮民衆のキャンドル闘争は、過去10年、朝鮮半島での先鋭な政治的・軍事的対決政策を米国と共に推し進めて来たパククネに、NOを突き付ける大衆蜂起だった。南朝鮮におけるムン・ジェイン政権の登場は、このキャンドル民心200万の、力と要求が押し上げた政権に他ならない。
ムン・ジェインの当選には、「資本主義野党―民主党」と言う出目がどうであれ、米国とイ・ミョンパク→朴槿恵政権によって生み出された、<積弊>糾弾と、朝鮮半島の核戦争の危機と南北関係の破局を、平和へと転換しようとする、キャンドル闘争の民意が込められている。それが、キャンドル蜂起が、ムン・ジェインに与えた歴史的責任と義務である。

「6.15共同宣言」と「10.4宣言」は、民族同士の自主的力で南北の統一と和解を宣言した

2000年615日 金大中は、金正日委員長との間で、「南と北は国の統一問題を、その主人である我が民族同士で互いに力を合わせ、自主的に解決していくことにした」と確認し、「南と北は経済協力を通じて、民族経済を均衡的に発展させ、社会、文化、体育、保険、環境など諸般の分野での協力と交流を活性化させ、互いの信頼を高めていく」など、5項目の合意を発表した。南北は、外勢(米国や列強)などの外部勢力に影響されることなく、民族同士の自主的力と協力で、統一を実現しようとする南北和解の宣言をおこなったのである。
2007104日 廬武鉉は、金正日委員長と、「六・一五共同宣言の精神を再確認し、南北関係発展と朝鮮半島の平和、民族共同の繁栄と統一を実現するための諸般の問題を虚心坦懐に協議し」615共同宣言の具体的なロードマップで合意し、6.15共同宣言をより具体化した。
南北和解事業は、ケソン(開城)工業団地、離散家族の面会、金剛山観光事業へと発展して行った。南北和解に向かう自主的な政府間交渉は、1998年の長距離弾道ミサイルの発射(金大中執権時)や、200610月の地下核実験(廬武鉉執権時)も、南北対話と和解に向けての障害にはならなかった。当時米国のブッシュは、北朝鮮を'悪の枢軸'と規定して敵対政策を強力に実施したにもかかわらず、南北の<自主外交>は、それを乗り越えたのだ。

「6.4宣言」の明確な履行の意思を明らかにしないムン・ジェイン

しかし、今、ムン・ジェインは、この6.15共同宣言に対しても、また自らも(廬武鉉執権時)関与した10.4宣言に対しても、明確な履行の意思を明らかにしていない。ムン・ジェインの登場によって9年ぶりの開催が期待されていた「6.15共同宣言」共同事業は、ムン・ジェインによって無視された。
ムンは、それどころか、1976年に始まり、朝鮮半島を常時的な戦争状態に置き、核先制攻撃で朝鮮を威嚇する「米韓合同軍事演習」と、それに組み込まれた朝鮮に対する大規模なテロ戦略である「作戦計画5027、OPLAN5030」の中断こそが、これまでのイ・ミョンパク・朴槿恵の敵対的政策との決別であるにも拘らず、6月8日、パククネの対北敵対政策の継続を表明して次の様に主張した。朝鮮の巡行ミサイル試験発射は、国際社会への挑発行為である”。加えて、米国主導の国連安保理制裁に同意し、米国の「北圧迫政策」に全面的に賛同した。

「米韓合同軍事演習」の中止に言及しないムン・ジェイン

ムンが非難すべきは、朝鮮戦争以来、世界最大の武力を動員し、核の威嚇で朝鮮に対する侵略策動を繰り返して来た米国ではないのか!ムンが非難すべきは、停戦協定第2条13を蹂躙して、朝鮮半島に、ロナルド・レーガン、カールビンソンをはじめ核空母3隻も動員、B−1B戦略爆撃機 250発の核ミサイルを搭載する核潜水艦群によって、常時的な戦争挑発を繰り返す米軍とその「米韓合同軍事演習」ではないのか!
ムンは、朝鮮の核とミサイルが、米国の無法な侵略策動への自衛的対応であることに、触れようとしない。ムンは、過去40年間、朝鮮の民衆が「米韓軍事演習」の開始と共に、全ての日常を、戦時体制によって奪われてきた事実に、目を開き、思いを寄せ様としない。
地球上の何処を探しても、朝鮮半島の様に、巨大な核武力が1年の内、数か月にわたり、40数年間、核戦争威嚇を繰り返す様な異常な地域はない。
「韓米合同軍事演習」は、単なる「軍事演習」ではない。朝鮮半島における戦争が一時停止された「停戦状態」とは、そこで「軍事訓練」を開始すること自体が、既に戦争を意味している。そのために、一触即発状況を阻止する一つの手立てとして、「停戦協定第213項」は―国境外から、増員する軍事要員と新たな作戦飛行機戦、装甲車、武器弾薬の持ち込みを禁止したが、米国はすべて無視し、禁止された核兵器の搬入も強行した。また、外国軍の撤退に関した取り決めでも、朝鮮側は、全ての外国部隊の撤収を19581026日までに完了したが、米国だけは、現在も韓国に居座り続けている。
「南朝鮮当局が、米国の北侵略核戦争策動に加担しなければ、私達の核に対し、心配する事もないだろう」と言う民族和解協議会の ムン・ジェイン政権に対する公開質問状は、「米韓合同軍事演習」を容認するムン・ジェインに対する、朝鮮の痛烈な一撃である。
ムン・ジェインは、早くも、一方の南朝鮮資本家階級や軍部・保守勢力と米国政府、他方のキャンドル闘争の中心を担った労働者民衆を天秤にかけながら、足元をふら付かせている。
彼は、就任演説で、“自分は、進歩勢力だけの大統領ではない。保守勢力も尊重する大統領だ”と本音を公言した。ムン・ジェインは、既に大選選挙さなかに、星州のサード配置に対し、「反対」の意思を微妙にずらしながら、「国会の承認」について言及している。そして今は、“手続き上の正当性と透明性を確保するため国内上の手続きを進める”として、蝋燭闘争の民意と、星州住民の意思を踏みにじる決意だ。

核戦争の危機と南北関係の破局を平和へと転換しようとする南朝鮮民衆の意思

就任最初の訪問先に、選挙時の公約(ピョンヤン訪問)を破り捨て、真っ先に米国を選んだムンは、「韓米同盟の堅持」を公言している。
断絶した南北の和解と協力の再建は、「韓米同盟の堅持」と「制裁の同意」から、生み出される事はない。それらの清算からうまれなければならない。
蝋燭革命の意思を踏みにじり、米国訪問団に韓国資本家階級の経済ミッションを帯同するムンは、このままでは、蝋燭革命の民意に対する敵対者となるにちがいない。
朝鮮半島の核戦争の危機と南北関係の破局を平和へと転換しようとする、南朝鮮民衆の意思を曲げる事はもはや出来ないであろう。

<参考サイト

☆482 朝鮮を狙った米国の核兵器は、どれ程のものなのか(労働新聞 2015年2月6日〜12日付)

http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_482.html