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(韓国民衆言論 ハンギョレ 国際ニュース 2014128日付)http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/621762.html

 

 

 

‘妄言会長’を任命したNHKの経営委員は、‘安倍落下傘の巣窟’だ

 


‘安部式放送掌握’の結果である籾井勝人<NHK>会長の、日本軍慰安婦発言の波紋が、手の施しようも無く拡散されるや、彼を任命した経営委員会が28日定例委員会を開き、この問題を扱う事とした。

しかし、この会議に期待を掛ける人は多くない。すでに、昨年11月、経営委員会に安倍総理と政治色が一致する4名の‘落下傘部隊’が大挙投入された為だ。

<これ等の面々を、一人ずつ見渡して見よう。>

まず、哲学者である長谷川美智子埼玉大学名誉教授が目につく。彼女は、右翼改憲団体である‘日本会議’の代表委員を務める代表的な改憲論者だ。

こんな平素の所信を剥き出す様に、昨年430日<産経新聞>の寄稿で、“平和主義は国家主権の放棄だ。現行憲法は滅茶苦茶な憲法だ。”と主張した。

去る6月の寄稿では、それよりも一層酷くなって、“(男は外に出て仕事をし、女は家で子供を育てると言う)性別力学分担は、哺乳類の一員である人間に極めて自然なこと“だとし、低出産〔少子化〕の原因を‘男女雇用機会均等法’〔1972年施行〕など、男女差別を無くそうと努力して来た、日本の社会政策のせいにした。

また、他の経営委員である作家の百田尚樹は、海軍神風特攻隊の事情を描き400万部を越える販売高を記録している小説<永遠の零>の著者だ。

この小説は、神風特攻隊を取り出して、称揚もしないが、大切な若者の生命を道具にした神風作戦に対する反省を迫る事もない。こんな保守的な気質(性向)を曝け出す様に、彼は18日、自身のツイッターで、29日行われる東京都知事選挙に出馬した田母神俊夫 前航空幕僚長(わが国の空軍参謀総長)を支持すると言う文を載せ、物議を醸した。

田母神候補は、石原慎太郎前東京都知事の支持を受けている極右候補に分類される。彼は、政治的公正性を重視しなければならない<NHK>経営委員が、こんな見解を公開的に明らかにすることは、好ましい事ではないと言う指摘が続くや、(溢れるいろんな批判に対し)“まとめて答えてやる。問題ない!”と言う回答をした。これに対し、共産党機関紙<赤旗>は、“極めて質が落ちる反論”だと批判した。

他の2名の経営委員である、本田克彦 日本たばこ産業顧問は、安倍総理の初等学校時代の家庭教師、中島直政 海洋学院中等教育学校長は、安倍総理と近い財界人士の集まりである‘四季節の集まり’の主要メンバーだ。

最近の状況に対し、日本の与圏内部でも“安倍総理周辺には、その様に、人がいないのか?”と言う溜息が漏れる理由だ。

‘どの国でも戦争中には、慰安婦が居た’と言う籾井勝人<NHK>会長の発言に対する反発が、相次ぐや、浜田源一郎経営委員会委員長は、28日付<東京新聞>とのインタビューで、“国家が主張する事を言っては(放送しては)ならないと言う事はないが、微妙な問題もある”と、それとなく批判の意味を明らかにした。

経営委員会は、28日、籾井会長を呼び所信表明を要請した状態だ。日本の言論では、退陣を含む論議が行われる可能性があると報道しているが、現在の委員会の構成を見る時、そんな可能性は高くないと見える。

一方、<NHK>には、籾井会長の発言に対する視聴者達の抗議が、1000余件、支持が300400件程度受け付けていると明らかにした。経営委員会は<NHK>の最高意思決定機構として<韓国放送>の理事会に該当する。定員は12名だ。

(訳 柴野貞夫 2014130日)

 

 

<訳者解題>

 

●安倍は、20072月、NHKドキュメンタリー番組「ETV2001〜問われる戦時暴力」の放送に対し番組制作者に不法な政治的圧力を加えたとして、東京高等裁判所で、事実上有罪判決を受けている事実を忘れるな!!

安倍は、小泉政権の副官房長官時、2001130日放送の、日本軍慰安婦を扱ったNHKドキュメンタリー番組「ETV2001〜問われる戦時暴力」の放送に対し、番組制作者に不法な政治的圧力を加えて製作者の意図を捻じ曲げた作品に仕上げた。市民団体の告発を受けて、2007213日、東京高等裁判所は、NHKに対し、政治家に依る編集内容への介入を指摘し200万円の損害賠償を命じた。当初シラを切っていたNHK幹部と安倍は、最終的に介入の事実を認めた。

問題は、彼等が今回、一度は法廷に突き出されて白日の下に糾弾された“密やかな”<放送への政治的介入>を、今度は、会長と経営委員人事において、“公然”と、経営と編集権を動かすことで、企んでいると言う点である。

籾井会長は、25日の就任記者見で、「慰安婦はどのにもあった」「(韓は慰安婦問題について)金を出せ、補償をするようにせよと、に解決みの問題を持ち出している」と主張し、日本軍のアジアにおける性奴隷制度を肯定し、ひいては、日本国家のアジア侵略戦争の正当化に結びつける意図をもった極めて露骨な政治的発言を披瀝した

しかも、「政府が右と言うものを、左と言う訳にはいかない」と言う発言に至っては、NHKの編集権にまで、国家が介入すべきと言う発言と同義語である。放送の不偏不党、真実及び自律」を定めた、<放送法第1条2項>を公然と否定し、不法行為を確信的に実行する決意を示した。籾井は、国家のプロパガンダ放送としてのNHKを狙う、安倍政権の意に沿って走り始めた。こんな不法行為を許すわけにはいかない。

また、NHKの経営委員会委員は、放送法によって「公正、不偏不党な立場に立たければならない」と規定されながら、安倍が経営委員に指名した百田尚樹に至っては、118日、自分のツイッターに「田母神支持」を公然と表明、また、それへの抗議に「NHKの経営委員がそんな事をツイートして良いのかって?まとめて答えてやる!イインダよ!」−この品性下劣にして、一党派の政治的発言を「経営委員」として具体化しようと企む極右作家をのさばらせる如何なる理由もない。

 

 

<関連サイト>

☆NHKへの、安倍首相の「政治介入」と「放送命令」(3)