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(民衆闘争報道 韓国民衆言論ミンプラス 20175月31日)
http://linkis.com/m.minplus.or.kr/news/rHXNh


       <‘朝鮮の核問題’に対する批判的小考
             中国外交部の対朝鮮政策は、最初から間違っていた
(その2)

 本当の‘挑発の主体は誰か

                                     清華大学招聘教授 チョン・キョル

   

▲ 1953727日、朝鮮、中国、米国が、停戦協定を締結している

中国とロシアは、ワシントンに言葉/抗議/批判すらしなかった

過去はさておき、朝鮮の‘核問題’が生み出された25年、朝鮮()に一方的な核侵略戦争の脅威と挑発を繰り返した、本当の'挑発の主体'であるワシントンに対し、中国、ロシアは言葉/抗議/批判すら一度もしなかった。
抗議、批判はさておいて、むしろ60年以上、核侵略戦争の脅威の中に生きている朝鮮に、逆に米・英・仏だけでなく、中・露さえ、(朝鮮に対し)自分を守るための最小限の武器さえ、下に置け!"と圧力を加えた。
 “泥棒(強盗)は、そのまま残して、逆に、被害者を絶えず締め付ける”状況が、朝鮮の核問題25年の歴史だ。 いわゆる‘朝鮮の核問題'に関連して、朝鮮が、中国、ロシアを含む6者協議で、他の当事国と決して同意できなかった実際の理由だと考える。
再び強調する。 朝鮮の核問題は、一方的に果てしなく加えられた核侵略戦争の脅威[今日の‘核の先制打撃'はもちろん、甚だしくは、‘首切り作戦'に至るまでの、言葉に尽くせない‘挑発'と脅迫を事とする,帝国主義、国際連合勢力]から、自分を守るための‘自衛力としての核抑止力'開発問題だった。
ちなみに(参考として)、中国もまた、1960年代、朝鮮()が置かれた同じ状況で、‘米・英・ソ連'を相手に繰り返し経験した問題だ。
 2000年代に入ってから、すでにアフガニスタン、イラク、リビア、スーダン、シリア、イエメンなど、自分を自ら守り抜くことができなかった、即ち、‘自衛力を備えていない'国や国家指導者たちが、帝国主義、国際連合勢力によってどのように破壊、虐殺され、彼らの富(資源)がどのように略奪、収奪されたか、全ての世上天地が知っている。


《朝鮮の核問題》は、強盗が天使に変身して、天使が強盗の濡れ衣を着せられた歴史

 

2次世界大戦の前は差し置いて、第2次大戦後だけでも、“約70年、およそ1億近い無辜の生命”が、世上天地のいたるところで破壊された。 リビアのように頭から、国と民族全体が無惨に殺戮されて踏みつけられ、歴史の舞台から消えたことも珍しくない。
一体全体、誰が誰に向かって‘挑発を事としている'と、責めることができるのか?  朝鮮の核25年世界史は、公正、公平、良心はさておいて、すべてが180%、完全にひっくり返った歴史だった。 強盗が天使に変身して天使が強盗の濡れ衣を着せられた歴史だ。 価値の極端な転倒だ。 その様に評価して間違いはない。 千辛万苦の末に成し遂げた朝鮮()の核兵器開発は、“帝国主義、国際連合勢力の絶え間なき核侵略戦争の脅威から自分を守るために、やむを得ず取るしかなかった極めて正当な自衛策”という朝鮮の主張は、従って、間違いはない。
 誰に依存することなく、自らの力で自分を守るため、即ち、自衛力としての核抑止力を備えるために、数千万人の朝鮮の人々が流した血と汗が、どれ程のものかを、世上はまだまだ覚えている。 ‘自衛的な核抑制力'を備えるまで、数十年支払った朝鮮の人たちのあらゆる犠牲を、言葉で言い表し難い。
再び整理しよう。 朝鮮の核問題に対する見方、姿勢、観点から、6者協議当事国と核心当事国・朝鮮の差が、あまりにも大きかったのだ。 その間隙は、言葉で縫合される問題ではない。 朝鮮と他の当事国間の葛藤と不和、不信がついて回った事は、従って始めから当然予想された結果だった。 むろん、米国が予想した結果だ。 彼らが目的とした事だ。 上記で(触れた様に)“中国外交調整3要点の実現可能性が最初からなかった”と解釈することになった根拠だ。
朝鮮の核問題関連の核心当事国と周辺の国々との差、その間隙は(中国が)3要点で主張する‘相互信頼'で解決できる問題ではないためだ。 つまり‘信頼構築に役立つ仕事を多くする'と、解決できると言う問題ではないと言う事だ。

‘帝国主義を力で強制’しない限り、絶対に解決出来ない

数百年、西欧帝国主義問題は、言葉で解決できる問題では無い為だ。 帝国主義問題は[中国外交調整3要点が主張する様な]帝国主義勢力と“妥協して交渉し”解決できる問題ではないと言う事だ。 帝国主義問題関連の諸国と民族は勿論、人類全体の生死存亡がかかった問題は、言葉で〔原則と根本を見捨てたまま、“対話、交渉”のようなもので]解決できる問題ではない。
帝国主義問題は、数百年の反帝自主闘争の歴史が、血で証言する様に、言葉で解決される問題ではない。 70年の朝米の歴史が、血と汗で証言する真理だ。 言葉で解決できる問題では決してない。 ただ‘力'[北の表現で'総隊'あるいは'先軍']で、それも‘自分の独立した力で'70年の米朝の歴史のように‘帝国主義を力で強制’しない限り、絶対に解決できる問題ではない。 帝国主義問題は‘妥協や交渉'で解決できる問題では絶対ないということだ。 ‘自主的な力が強制する'のであり、“行動対行動”だけで解決できる問題だ。 決して、言葉で、対話で、交渉で、解決できる問題ではない。
長くは70年、短くて25年の朝米対決の歴史が、雄弁に語る真理だ。 朝鮮は、そのような意味で、人類史に今日、一つの‘新しい典型'[Prototype]、或いは一つの‘新しい模範'[ExampleRole Model]を創出しているわけだ。 帝国主義をどう打ち倒さなければならないか、即ち、‘反帝自主’とは何かを、70年にわたって全身で実践し、今日、‘新しい人類史'を書いているのだ。

1990年代の世界史を振り返る必要がある

特定の目的によって、操作[製造]された朝鮮核問題が、世の中に生まれた20世紀末、当時、あらゆるものが漆黒のようだった国際情勢を参考に、振り返る必要がある。 朝鮮の核問題発生の背景を正しく理解するため、暗闇がすべてを支配した1990年代、将にその時代に対する、新たな客観的な歴史認識が必要だ。 その時期は、ソ連・米の対決が、ソ連邦の崩壊、解体で終わり、歴史上初の‘世界唯一の超強国'が誕生した時期だ。
中国は当時、‘改革開放'[“中国特色の社会主義市場経済”]戦略で、国のすべてが経済問題に注がれていた時だ。“ドル、核兵器”を前面に出して、半世紀ぶりに世界中を乗っ取った、歴史上,前代未聞の“21世紀帝国”ワシントンに、しかし、唯一つ解決しない宿題があった。
古い宿題だ。‘朝鮮問題'だ。 201010月、“抗米援朝[抗美援朝]戦争”参戦60周年記念史で、当時、習近平副主席が、‘(抗米援朝戦争は)正義の戦争'だと定義した。米軍が、朝鮮を38度線の北側にそのまま置いて、後へ退かなければならなかった恥辱の古い宿題だ。
‘国連軍'の帽子かぶせた15の追従国家を連れて入っていったのも足りず、戦争勃発6ヵ月も経たない5011月からは“素手”で戦った同然の、‘新生独立国家'朝鮮(北朝鮮)を、“核兵器”で果てしなく脅迫した“極端な絶対的非対称戦争”でも、結局、成し遂げられなかった宿題だ。米国にとって受け入れ難いが、厳密に言えば、ワシントンにその恥辱は"歴史上初の敗戦"だったからだ。
1953年に署名したマーク・クラーク(米国陸軍大将兼国連軍総司令官)が、自叙伝に自らを“米国の戦争史上、最初の敗戦将軍”と書いた様に、ワシントンはその戦争で、結局意思を果たせなかった。 恥辱だった。 それで挽回しなければならなかった。どうかして、その古い宿題を解決しなければならなかった。‘朝鮮の核問題'誕生の歴史的背景だ。

ワシントンによる、朝鮮の‘悪魔化宣伝戦’にのみこまれた“社会主義血盟国家”中国

90年代初め、当時全世界を、全て飲み込むようにしながらも、ワシントンはしかし、朝鮮に対して依然として、半世紀前の恥辱は勿論、恐怖もまた忘れていなかったことは確実だ。 自分の願い通り、朝鮮に勝手に入り込んで乗っ取る事が出来なかったまま、‘チャンクエ―猿知恵'を使うのをみたらそうだ。 山のような体つきに似合わないように‘偽りの旗'[False Flag]として‘朝鮮の核問題'という浅知恵を働かせたのだ。 南の言葉で‘コムス―みみっちいやり口'を使ったのだ。
1990年代当時は、あらゆる世の中がすべて、ワシントンの顔色を窺っていた時だ。 1990年代その時も、しかしワシントンは、朝鮮の目を間直ぐに眺めなかったことがはっきりする。 信じ難いことだが、米国はその時も結局、朝鮮と正々堂々と戦いを開始出来なかったのである。 堂々と対抗する自分が、結局、無かったのだ。 そうだ。 信じ難い事である。
その信じ難い不思議な歴史は、しかし、朝鮮核問題25年の朝米対決の歴史が雄弁する、否定できない歴史的事実になった。 仮にも‘世界帝国'という存在が、顔が赤らむように、結局は自分や世の中の全てを欺く‘みみっちいやり方’を使う事となった理由だ。 結局、(米国は、その図体の割に、)一人前の用を成すことが出来なかったのだ。
朝鮮の前では、半世紀過ぎたその時も、米国は依然として‘張り子の虎'だったのだ。 朝鮮の核問題が誕生、製造[操作]された背景だ。 極めて恥ずかしく、卑怯な争い、即ち、“朝鮮の核問題”は、結局、世界帝国(米国)が書いた仮面に他ならなかった。
ワシントン帝国が選んだ戦法[みみっちいやり方]が、正々堂々たる戦いではなく、せいぜい‘(朝鮮の)悪魔化'を通しての“宣伝戦”[Psychological Warfare]の後ろに隠れて戦った、卑劣で卑怯な対決だった。ワシントンの所謂、朝鮮の核戦略は‘対決'という単語を書く事さえ恥ずかしい‘みみっちいやり方’作戦[偽りの旗]戦略だった。 “力ではどうしようもない”ことを‘悪魔化'して、中国、ロシアを含め、世の中から“孤立させて”究極的に“内部瓦解”["政権交代"]を目的にした浅知恵、姑息なやり方であった。
‘(その図体の割に)一人前の用を成すことが出来ない’という言葉を、ワシントンが避けられなくなったのだ。 そうだ。 戦争(1950-53)の敗北後、65年ずっと‘力の及ばない'状況で、窮余の策(窮餘之策)に選んだ戦略が、朝鮮の核戦略だったのだ。 米国式‘以夷制夷'[一つの勢力で、一つの勢力を制する]戦略はしかし、大成功を収めた。
対朝・対中・対ロシアに、離間の各個撃破戦略が、輝かしい成果を収めたからだ。 文字通り大成功だった。朝鮮の核問題全期間、ワシントンによる朝鮮の悪魔化宣伝戦は、赫々たる戦果を挙げた。
‘朝鮮民主主義人民共和国'は、70年の悪魔化宣伝戦の後、'世界第1の悪魔'[チュムウ]に‘製造された。'即ち悪魔化された。
他の国々はさておき、“隣人である、社会主義血盟国家”中国によっても、今日の朝鮮は、“自分の人民は飢えさせ、核兵器も開発して、ともすれば、‘挑発に明け暮れ、‘隣人をいじめる'やくざ国家'[Rogue State]”のように描写され理解された。
すべての事を“米国の視角”で見た結果だ。 対朝鮮の悪魔化宣伝戦が上げた成果だ。 期待以上の成果だ。 米国と世界は、それで長くは70年、短くは25年、朝鮮が、中から崩れる['内部崩壊']に首を長くした。

崩壊と政権交代はいつも南で進行している

李明博(イ・ミョンバク)・チェスンシル・朴槿恵(パク・クネ)・南在俊(ナム・ジェジュン)まで、この野郎も、あの野郎も、みんな寝ても覚めても‘23年で、朝鮮は崩壊する論'を詠った背景だ。 彼らは皆、止めどなく‘朝鮮の崩壊'を待っていた理由だ。 結果は、しかし、いつも正反対だった。 悪魔化宣伝戦の外の世界では受け入れられたが、[つまり世間の人大多数を‘馬鹿(パボ)'にしたが、]朝鮮内部の)“千万軍民の一心団結"は、塵ほども害することはできなかった。 逆説は‘崩壊'、つまり‘内部瓦解'、‘政権交代'は、朝鮮からではなく、逆に隣国(日本、南朝鮮)で継続された。
70年の朝米の対決史もまた、一つの逆説的状況だ。 イ・スンマン・朴正熙(パク・チョンヒ)、全斗煥(チョン・ドゥファン)そして今日イ・ミョンパク、パク・クネの亡国の時代に至るまで‘崩壊'は、朝鮮ではなく、いつも南側で継続された。
東京でも、自意半他意半(自分の意思が半分、他人の意思が半分)の‘政権交代'つまり権力崩壊が継続されたのは当然だ。 そして今日はワシントンでも'内部崩壊'が発生している。 トランプ時代は、始まる前から、‘内部崩壊'状態に置かれている。‘前代未聞の世界帝国'というワシントン帝国が、過去のローマ帝国の様に、今日の中からどのように崩れているかを克明に示す時代である。 ‘内部崩壊、政権交代'は、しかし、欧州でも発生している。ひいては(さらには)、ブレクシート[Brexit:“英国の欧州連合脱退”]という一大事件まで発生するほどだ。
核心は、中国、ロシアを含む世界中を動員した米国主導の70年の対北朝鮮敵対戦略[悪魔化、経済封鎖、金融制裁、核侵略戦争の脅威など]は、どんな手段、方法でも、朝鮮について、ワシントンは自分の意思を一度も貫徹させる事が出来なかったという事実だ。 不可思議だ。 そうだ。 信じがたいことである。
しかし、理由の如何を問わず、今日70年の米朝の対決は、“世界唯一の超大国”米国の、‘最高指導者'が、‘朝鮮の最高指導者に会うのが、栄光'とまで告白するようになった状況に至った。

6者協議当事国の対朝鮮政策/戦略は何故失敗したのか

● 第一に、朝鮮()をあまりにも知らなかった。
● 第二に、1億の南北・海外、すべての同胞の夢、念願とあまりにも違っていた。
● 第三に、ワシントンの[帝国主義勢力の‘以夷制夷戦略’]に踊らされた。
● 第四に、‘平和と安全'を、帝国主義と妥協し、譲歩して、物乞いしようとした。
● 第五に、他の国は別として、朝鮮()には全く効きもしない‘絶対不公正な国連安保理組織'を動員した。
● 第六に、朝鮮の核問題関連の国連安保理常任理事国[中国、ロシアを含む]すべてが、米国から自主的[独立的]であることが出来なかった。

言い換えれば、中国、ロシアを含む全ての国においても、朝鮮が守った様に、どんな状況でも屈することなく、<反帝自主原則>が徹底的に守られたら、‘朝鮮の核問題'という、異様な怪物は最初からこの世に生まれられなかった。
朝鮮の核問題が25年経った今も存在し続けるというのはその為だ。中国、ロシアを含む6者協議、すべての当事国[もちろん、朝鮮()は例外だみんなが米国から自主的/独立的でなかったという証拠だ。
(完)

                                              (訳 柴野貞夫 201768日)

<参考>

☆532 国連による対北制裁は、朝鮮の‘悪魔化’から始まった(韓国・プレシアン 2016年4月25日付)

http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_532.html
☆朝中関係の柱を切り倒す無謀な言行を、これ以上してはならない(朝鮮中央通信 2017年5月3日付)
http://vpack.shibanojijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_577.html
米国と世界の言論媒体がまき散らしてきた朝鮮関連の4つの嘘を廃棄せよ(韓国・ミンプラス 2017年5月13日付)
http://vpack.shibanojijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_580.html
☆問題は、朝鮮ではなく米国だ (<第4メディア>2017年4月20日付)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_575.html