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(韓国民衆言論<統一ニュース>文在寅の<韓半島平和構想>が見過ごしたもの 2017717日付)
http://www.tongilnews.com/news/articleView.html?idxno=121452



          文在寅の<韓半島平和構想>が見過ごしたもの


朝鮮側の核が韓半島の平和の脅威と言うなら、韓米両国の核の傘も韓半島の平和を脅かしているのだ

                            ジャン・チャンジュン/同胞運動本部平和研究センター研究員


  ムン・ジェインが、朝鮮側の核放棄が、韓半島平和の絶対的条件と言うなら、米国の対北敵対政策の撤回もやはり韓半島平和の絶対的な条件だ。
  ムン・ジェインが、朝鮮側の核が、韓半島の平和の脅威と言うなら、韓米両国の核の傘もやはり韓半島の平和を脅かす。
  米国と日本が推進する《韓米日軍事協力》は、朝鮮を敵と想定して推進することであり、ムン・ジェインがこれを認める事は、韓国の安保政策を、日米同盟の付属品に転落させるものだ。

文在寅(ムン・ジェイン)政府が、717日、軍事当局者会談と赤十字会談を同時に提案した。政治軍事会談と人道主義問題協議を同時に提案することで、南側と、朝鮮側の要求を同時に満足させるものとみられる。また、軍事当局会談を721日に開催しようとすることで、休戦協定締結日の727日から、軍事的な敵対行為を中断しようとした‘ベルリン平和構想’を具体化しようとする積極的な意思の表現とも解釈される。特に、軍事的緊張状態の緩和に向けた南北軍事当局会談は昨年、朝鮮側が7回党大会に言及した事でもある。
朝鮮が会談の提案を受け入れるかをめぐって、見通しは食い違っている。ところが、朝鮮側の受け入れの可否と関係なく、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がベルリンで明らかにした‘韓半島平和構想’で、必ず問いただすべき点がある。
ムン・ジェイン大統領は、ベルリンで韓半島平和構想を発表し、“私たちが追求するものは平和です”と強調した。自信が感じられる文章だ。
そんな自信は、韓米首脳会談を‘成功的'で終わらせたという評価に基づいている。実のところ、 ‘乱暴者・トランプ'の口から、“韓半島平和統一環境を造成するうえで、大韓民国の主導的役割を支持”と言う返事を引き出したのだから、自信を持つのも不思議ではない。
だから、文在寅が発表した‘韓半島平和構想’は、韓米首脳会談の共同声明と共に読めば、その意味を正確に把握できる。
問題は、ワシントンで始まってベルリンで結論を下した、‘ムン・ジェインの韓半島平和構想’は、‘ひとえに、韓半島平和'を実現することから、重要ないくつかの内容を見過ごしているということだ。


文在寅の‘韓半島平和構想’が欠落している根本的な問題点

●第一に、“完全かつ検証可能で不可逆的な非核化”は、韓半島の平和を実現できるのか? “完全かつ検証可能で不可逆的な非核化”を、朝鮮に対してだけ要求して来た韓・米の主張は、破綻している
韓米首脳の共同声明とベルリン平和構想で共通的に登場する文句がある。“完全かつ検証可能で、不可逆的である韓半島非核化”がそれだ。'北朝鮮の非核化'ではなく、'韓半島非核化'という表現が目立った。'韓半島非核化''北朝鮮の非核化'はその形式と内容が全く違う概念であるからだ。しかし、'韓半島非核化'と‘朝鮮の非核化'の違いはすぐ消えてしまった。
康京和(カン・ギョンファ)外交部長官の、“G20会議に行ってきて”という《ソウル経済》への特別寄稿文で、‘朝鮮の非核化'という単語が、‘韓半島非核化’を代替えしたからだ。(即ち、‘韓半島全体の非核化’が、‘朝鮮の非核化'にすり替えられた。)
結局、焦点は“完全かつ検証可能で不可逆的"という単語に当てられている。耳に慣れている。ブッシュ政府が20036者協議を開始する際、北朝鮮の核問題解決策として“完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄”を主張しながら、数多く聞いて来た文句だ。問題はCVID(CompleteVerifiable and Irreversible Dismantlement)としても知られている“完全かつ検証可能で不可逆的”という用語は、朝鮮核問題を解決するよりは、悪化させる要因として作動したという点だ。20059.19共同声明が採択されることができた重要な理由の一つが、米国のCVIDの主張の撤回にあったと言う事は、あまりにも、知られた事実だ。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府が、ブッシュ政府のCVIDの要求を撤回するため、どれほど多くの外交的努力を傾けたのか、文在寅大統領、或いはその参謀達が、知らないのだろうか?そうでなければ、そのような事実を知ってもCVIDを通じた韓半島平和を話しているのだろうか。
●第二に、朝鮮側の核放棄は、韓半島の平和の絶対条件なのか?朝鮮側の核が、韓半島の平和を脅かすと言うなら、韓米両国の核の傘もやはり韓半島の平和を脅かしている。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、ベルリン平和構想で“完全かつ検証可能で不可逆的である韓半島非核化は国際社会の一致した要求であり、韓半島平和のための絶対条件”とまで強調した。果たして朝鮮側が核を放棄すれば、韓半島平和は完成されるのか?
朝鮮側が核兵器を追求する前まで、韓半島が平和状態だったなら、その言葉は、一抹の真実性を持っと見る事が出来る。朝鮮側が核兵器を開発し始めたのは、推測すれば、核兵器を製作する目的でプルトニウムを確保し始めたと疑いを受けた1990年代前半だと言える。しかし、北朝鮮が核兵器を開発する前だった1980年代にも韓半島は平和状態がなかった。
金大中(キム・デジュン)前大統領と林東源(イム・ドンウォン)前統一部長官が強調したように、朝鮮側の核開発は‘北・米敵対関係'の産物だ。もちろん、金大中(キム・デジュン)政府時代に比べて、北朝鮮側は核兵器とミサイルを高度化させており、最近ICBMまで発射した。それにもかかわらず、朝・米敵対関係から出発した韓半島危機の構造は変わっておらず、朝鮮側の核兵器の高度化も、やはり北・米敵対関係の産物という事実もまた変わっていない。
朝鮮側の核放棄が韓半島平和の絶対的条件なら、米国の対北朝鮮敵対政策の撤回も、やはり韓半島平和の絶対的な条件だ。朝鮮側の核が、韓半島の平和を脅かした場合、韓米両国の核の傘もやはり韓半島の平和を脅かす。
●第三に、韓日軍事協力は韓半島の平和に役立つのか?米国と日本が強調する韓米日軍事協力は、朝鮮を敵と想定して推進することだ。
韓米首脳会談の共同声明は“3国(米・韓・日)の安全保障および防衛協力が、朝鮮側の脅威に対応して抑止力と防衛力を増進させるのに寄与していることを確認”したと言うことで、安保領域において、日本との協力を公式化した。
その脈絡で、二つのマスコミ報道が注目される。一つは、“韓・日国防長官が直接通話することができるホットラインを今秋開設することで合意した”と言う日本のメディアの報道であり、もう一つは、最近、朝鮮側のICBMと関連して、“韓・日間で十分な情報のやりとりをしている”という李K羲(イ・チョルヒ)民主党国防委員会所属の議員のインタビュー発言だ。
日本マスコミが言及した韓国の国防部長官は、韓民九(ハン・ミング)だ。したがって、宋永武(ソン・ヨンム)国防部長官体制が登場すれば、韓日国防部長官のホットラインの構築は再議論されかねないという解釈が可能だ。しかし、李K羲(イ・チョルヒ)民主党議員のインタビューは、与党民主党で、すでに韓日軍事情報包括保護協定を既成事実化しているものと見る事が一節だ。
事実このような懸念は、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官の聴聞会から提起されたものだった。韓日慰安婦の合意については、康京和(カン・ギョンファ)外交通商部長官候補者は、聴聞会で、“法的拘束力がない”と明確に発言した。しかし、韓日軍事情報包括保護協定については、主務省庁である国防部、ソン・ヨンム長官候補聴聞会では質問も、回答も出なかった。
民主党は、01611月韓日軍事情報包括保護協定が朴槿恵(パク・クンヘ)政府下の閣議で議決されると、“国政運営の資格もない大統領による拙速・売国交渉”と激しく非難した。‘国政運営の資格がある大統領'が登場したせいだろうか。文在寅(ムン・ジェイン)政府発足後、韓日の慰安婦の合意については再交渉の声を高めながら、韓日軍事情報包括保護協定については、政府も、与党も一言半句ない。与えられた現実として認めようというようだ。
米国と日本が強調する韓米日軍事協力は、朝鮮を敵と想定して推進することだ。韓米首脳会談で、韓米日三国軍事協力を合意して、韓日軍事情報包括保護協定を認めた瞬間、韓国の国防安保政策は、日米同盟の付属品に転落してしまう。ひとえに、韓半島の平和。この構想と目標に反対することは決してない。ただ、CVIDを強調した場合、韓半島核問題は、かえって泥沼に陥りかねないということを指摘することだ。韓半島危機は、北米敵対関係に根源を置いているという事実を、朝鮮の核開発は敵対関係の産物であることを想起しようと言う事だ。韓日軍事情報包括保護協定も、朝鮮と中国を軍事的に牽制し、圧力を加えるという米国の政策から派生したという点で、これを与えられたものとみなしてはならないということを強調しているのだ。
ベルリンで発表された文在寅(ムン・ジェイン)、韓半島平和構想が、このような内容を修正せずそのまま推進される場合、韓半島は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が‘希望’とは反対に、‘ひたすら平和へ’ではなく、‘ひたすらに対決へ'の空間になることを憂慮するのだ。

                                                         (訳 柴野貞夫)

<参考>

●朝鮮半島の平和と統一のための進路は何なのか、はっきり知らなければならない( 労働新聞 2017年7月15日付)
http://vpack.shibanojijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_586.html

●全民族の名において、南朝鮮当局に問う( ウリミンジョクキリ 2017年6月23日付)
http://vpack.shibanojijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_584.html

●[論考]/「朝鮮半島の統一を妨げる「国家保安法」と、民衆弾圧立法の「共謀法」を廃棄せよ(柴野時事問題研究会 2017年6月22日)
http://vpack.shibano-jijiken.com/nihon_o_miru_jijitokusyu_148.html