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(ロシア「スプートニク」の記事/韓国「ミンプラス」から翻訳 2017913日付)
http://linkis.com/m.minplus.or.kr/news/rHXNh



         
朝鮮が「原油禁輸措置」を恐れない3つの理由

                               ドミトリー・ベルコツロフ(Dmitry Verkhoturov

ロシアの対朝鮮専門家は、“朝鮮は、2002年から、年間27万バレル(37800トン)を自国生産して来た” と指摘。
●北の石油埋蔵量は600〜900億バレルに達すると推定される。“安保理の石油禁輸措置は、北の原油生産を加速させるだけだ”と分析した。


去る12日、国連安全保障理事会で最終議決された新しい対朝鮮制裁措置には、当初、米国が意図した対朝鮮原油全面禁止措置は含まれなかった。
ところが、ロシアの或る朝鮮専門家が、朝鮮原油全面禁輸措置がとられても、朝鮮は恐れていないと言う分析記事を、最近、ロシアのインターネット媒体であるスプートニクに寄稿して目を引いた。 現在進行形である北米対立局面に関する読者の皆さんの理解を助けようと、翻訳した記事全文を掲載する。  [ミンプラス編集者]

 

    
      ▲写真:スプートニクのホームページ

米国は、朝鮮の最近の核実験以降、石油禁輸措置を含む新しい対北朝鮮経済制裁を進めている。 ロシア政治分析家であり、スプートニク・ライターのドミトリーベルコツロブ(Dmitry Verkhoturovは、この新たな措置が,なぜ、役に立たない、無駄で空しいことかを説明している。
韓国と米国は、朝鮮の核・ミサイルプログラムを中断させるために、北朝鮮に石油禁輸措置をする計画だ。 これは効果がないだろう。 ロシア政治分析家、ドミトリーベルコツロープが「スプートニク」に寄稿した。
先に南朝鮮は、朝鮮が大陸間弾道ミサイルに搭載する事が出来る水素爆弾を試験したと発表するや、対応措置として朝鮮に、原油供給を中断することを提案した。 ベルコツロープによると、この計画は、最小限、3つの理由のために失敗する他ないだろうという。
第一に、朝鮮民主主義人民共和国の貿易省(対外経済省)が独自推定した所によると、北の石油埋蔵量は600〜900億バレルに達する。 このような評価は、算して見たものだが明確な根拠があると、ベルコツロブは強調している。
1992年以来、オーストラリアのビーチ・ペトロリアム(Beach Petroleum NL)、スウェーデンのタウルス・ペトロリアム(Taurus Petroleum AB)、そして、マレーシアの系プスピタエマス(Puspita EmasSdn)など、数多くの石油会社が、朝鮮で地質探査作業を行った。 そして、このような調査通して、北に炭化水素(hydrocarbon)が存在することを確認した。
1998年イギリスの会社であるソコインターナショナル(SOCO International PLC)は、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)が、ルーマニアから引き受けた掘削装備を利用し、北の潜在的な油田の一つに、4,300mの深さの油井を掘削した。  2004,東海上の大陸棚を探査した英国の会社であるアミネクス(Aminex PLC)は、その敷地に約40〜50億バレルの原油が埋蔵されていることを確認した。
似たような時期に、モンゴルの会社であるエイチビオイル(HBOil)は、平壌の南の地域での探査活動を繰り広げ、22個の油井を掘った。 油井の多くは、原油を含有していたし、北が各油井で、一日平均75バレルを抽出することができた。
第二に、朝鮮指導部は、石油探査の最高の難工程では、外国の石油会社を活用した。 しかし、一度炭化水素堆積物が確認されて、石油やガスの最初の部分が抽出されると、北は、さまざまな口実を掲げて契約を解約し、自力で現場を続け探査した。
第三に、朝鮮は、1991年以前に、旧ソ連やルーマニア産の掘削装置を多数確保したという消息筋の伝言を紹介しながら、ベルコツロブは、北が掘削装備を持っていることはあり得ない言う判断は,ありふれた誤解だと指摘した。
彼は1998年、朝鮮で行われたソコインターナショナル(SOCO International PLC)の探査作業を言及しながら、この装置は4000〜4500mの深さの油井を掘削することができるとした。 また、装置が摩耗しても、北朝鮮が独自に複製装置を作ることは十分に可能である。
“朝鮮の発達したエンジニアリング産業を考える時、北がルーマニア掘削装備を複製して、近代化し、容量を増やし、スペアパーツなどを生産することは難しくないだろう”とベルコツローブは言った。 北が新しいミサイルと核兵器の生産に関心を払うことと同じくらい、エネルギー問題にも多くの関心を傾ける可能性が高いと彼は見た。
彼は北が2001年から2002年まで、モンゴルの会社が掘削した油井を含め、自国の油田からの石油の抽出を既に開始したと推定した。 また、“一日75バレルの生産能力を備えた油井は、年間27000バレルを生産し、10個の油井が年間27万バレル(37800トン)を生産することができる”とし“これは、極めて最小限であり、北朝鮮は、より多くの石油を保有している可能性が高い”と述べた。
結局、石油禁輸措置は、朝鮮が自国の原油生産に多くの努力を傾けることになるだけで、北の石油埋蔵量は600〜900億バレルに達すると、彼は結論付けた。
ニッキー・ヘイリー国連駐在米国大使は6日、国連安保理が来週に米国が草案を作成した新しい対北朝鮮制裁決議案を採決する予定だと発表した。 この決議案の草案には、対北朝鮮石油禁輸措置を取らなければならないという韓国の提案が盛り込まれている。 また、草案はキム・ジョンウン、朝鮮の指導者の資産を遮断し、他の国に派遣された朝鮮労働者の対北送金停止措置も盛り込んでいる。
セルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)ロシアの外相は、このような米国の決議案を慎重に検討することを確認した。 ドミトリーフェスコープ(Dmitry Peskov)ロシアのスポークスマンは、会見で、新しい対北朝鮮制裁措置についての結論や評価は時期尚早だと述べた。
最近、ロシアのプーチン大統領は、ロシアは北朝鮮の核保有を認めないが、対朝鮮経済制裁が、朝鮮の核とミサイルプログラムを防ぐことはできないと強調している。 制裁が終わった次の段階は、「墓地に招待すること」であるため、ロシアは交渉を通じて紛争を解決することを支持すると彼は強調した。
                                             (訳 柴野貞夫 2017915日)

<訳者解説

911日、国連安保理で朝鮮制裁決議2375が全会一致で採択された。93日の6回目となる核実験や、大陸間弾道ミサイル「火星14型」発射実験に対し、それが、国際的な不拡散体制に対する深刻な挑戦であり,累次の関連する安保理決議に明白に違反した事に対する「制裁」だと言う。
決議2375号は、朝鮮製の繊維製品の輸入禁止、同国への天然ガスの輸出禁止、石油精製品と原油の輸出制限(朝鮮に対する原油供給量を現在のレベルで凍結し、中国が丹東ー新義州のパイプラインで供給している原油以外の提供を禁止し、北朝鮮への石油供給を30%、精製済みの石油は55%削減する。これにより、精製済みの石油に200万バレルの上限が設ける)、また、朝鮮労働者の国外雇用禁止措置も強化し、国連安保理が定めた例外を除く、北朝鮮との合弁企業(ジョイントベンチャー)の閉鎖を要請すると言う、制裁対象を北朝鮮経済の複数部門に追加拡大し、朝鮮経済を国際社会から封鎖し、朝鮮国家の息の根を止めようとする、米帝国主義の非人倫的政策を容認する列強の蛮行である。
朝鮮国家は《核戦略報告書》を通じて、朝鮮を核先制攻撃対象リストに載せ、核兵器を使用することを明文化した戦争の文書まで作成した世界最大の核兵器保有国である米国によって、最大の核威嚇を受けている。
未だ戦時下にある朝鮮半島で、例年のごとく、朝鮮に対する先制攻撃を公言し、米韓合同軍事演習を繰り返している米国を何ら批判することもしない、列強と「国際世論」に、朝鮮の核武装と核実験を批判する資格は全くない。朝鮮が、加重される核の脅しに、核抑制力で対処することは、至極当前な自衛措置である。
今回の「2375号」決議は、社会経済活動の血液とも言うべき石油を、初めて「制裁対象」にした点において、人道的視点からも、到底許されない国家封鎖である。しかし、「スプートニク」の記事は、資源国家―朝鮮の、屈する事のない自立国家の姿が語られている。
過去、200510月、中国海洋石油総公司は、朝鮮領海の西海に、660憶バーレルの原油が埋もれている巨大な原油貯蔵地を発見したと発表したことがある。「スプートニク」の記述は、これを裏ずけている。サウジアラビアの原油埋蔵量が830億バーレルであるが、660億バーレルが事実であれば、米帝国主義を脅かす資源国家となるのも夢ではない。

<参考サイト>

☆ 国連による対北制裁は、米国による朝鮮( DPRK )の‘悪魔化’から始まった
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_532.html

☆ 光明星3号の政治経済的効果
http://vpack.shibano-jijiken.com/SEKAI%20O%20MIRU%20SEKAI%20NO%20SHINBUN%20339.html