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(世界の新聞/「朝鮮外務省スポークスマン、朝米高位級会談に言及」朝鮮中央通信77日付)
http://www.uriminzokkiri.com/index.php?ptype=igisa3&no=1155312

         朝鮮外務省スポークスマン、朝米高位級会談に言及


米国側は、シンガポール首脳会談の精神に反する<一方的且つ強盗的な非核化要求>だけ持ち出してきた

 

▲去る6日〜7日開かれた朝米高位級会談で、キム・ヨンチョル労働党副委員長(左)と、チェ・ソンヒ(崔善姫)次官。後ろ姿は、米国のポンペイオ国務委員長

【要約】
6日〜7日に行われた、最初の朝米高位級会談における、米国側の態度と立場は、実に遺憾極まりないものだ。
●米国側は、シンガポール首脳対面と会談の精神に反する、一方的であって、強盗的な、(朝鮮に対する)非核化要求だけ持ち出してきた。
●米国側は、朝鮮半島での緊張を緩和し、強固な平和保障体制を構築するための最初の工程である終戦宣言に対し、首脳会談で既に合意されたものであるにも拘らず、あれこれ条件と口実をつけながら、遠くへ先送りしようとする立場をとった。
●米国側は、合同軍事演習を一時的に取り消したことを大きな譲歩のように宣伝したが、銃一丁廃棄せず、全ての兵力を従前の自己位置のままにしている状態では、任意の瞬間に再開される極めて可逆的な措置であって、我々が執った核試験場の不可逆的な爆破廃棄措置に比べれば、対比さえ出来ない問題である。
●米国側が、焦燥感に捉われ、以前の行政府(政権)が執って来た古い方式を、我々に強要しようとすれば、問題解決にどんな助けにもならないだろう。それが悲劇的な結果へと繋がらないと言う担保は何処にもない。
●信頼醸成を前面に出しながら、段階的に同時行動原則で解くことができる問題から一つずつ解決していくことが、朝鮮半島の非核化実現の最も近道である。
●我々は、トランプ大統領に対する信頼心を、まだ、そのまま大切にしまっている。


【本文】

朝鮮民主主義人民共和国外務省のスポークスマンは7日、次のような談話を発表した。 歴史的な、最初の朝米首脳対面と会談が行われた後、国際社会の期待と関心は、朝米首脳会談の共同声明の履行の為の朝米高位級会談に注がれた。
我々は、米国側が朝米首脳対面と会談の精神に沿って、信頼醸成に助けとなる,建設的な方案を持って来ると期待し、それに相応(ふさわ)しいものを出す事も考えていた。
しかし、6日と7日に行われた最初の朝米高位級会談で示された、米国側の態度と立場は、実に,遺憾極まりないものであった。我々側は、朝米首脳対面と会談の、精神と合意事項を、誠実に履行する変わらぬ意志から、今回の会談で、共同声明のすべての条項の、均衡のとれた履行のための、建設的な方途を提起した。
朝米関係改善の為の、多方面的な交流を実現する事に対する問題と、朝鮮半島での平和体制構築のために、まず、朝鮮停戦協定締結65周年を契機として、終戦宣言を発表するという問題、非核化措置の一環として、ICBMの生産中止を物理的に確証するために、大出力エンジン試験場を廃棄する問題、米軍遺骨発掘のための実務協議を早急に開始する事に対する問題など、広範囲な行動措置などを、それぞれ同時的に執る問題を討議する事を提起した。
会談に先立ち、朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長であるキム・ジョンウン同志が、トランプ大統領に送られる親書を、委任に基づいて、我々側の首席代表であるキム・ヨンチョル党中央委員会副委員長が、米国側の首席代表であるポムペイオ国務長官に丁寧に伝達した。
国務委員会委員長同志は、シンガポール首脳対面と会談を通じて、トランプ大統領と結んだ素晴らしい親交関係と、大統領に対する信頼の感情が、今回の高位級会談をはじめとする今後の対話のプロセスを通じて、より強固化されると言う期待と確信を表明された。
しかし、米国側は、シンガポール首脳対面と会談の精神に背馳される(反する)、CVIDとか、申告だとか、検証だとか言いながら、一方的であって、強盗的な、(朝鮮に対する)非核化要求だけ持ち出してきた。 情勢の悪化と戦争を防止するための基本問題である、朝鮮半島平和体制構築問題に対しては一切言及せず、既に合意された終戦宣言問題まで、あれこれ条件と口実をつけながら、遠くへ先送りしようとする立場をとった。
終戦宣言を一日も早く発表する事に対する問題で言えば、朝鮮半島での緊張を緩和し、強固な平和保障体制を構築するための最初の工程であると同時に、朝米間の信頼醸成のための優先的な要素であり、凡そ70年間持続されてきた、朝鮮半島の戦争状態を終結させる歴史的課題として、北南間の板門店宣言にも明示されて問題であり、朝米首脳会談でも、トランプ大統領が、更に熱意を見せた問題だ。
米国側が、会談で最後まで固執した問題は、過去、前行政府が固執し,対話の過程を全て台無しにして不信と戦争の危険だけを増幅させた癌的存在である。 米国側は今回の会談で、合同軍事演習を一つ二つ,一時的に取り消したことを大きな譲歩のように宣伝したが、銃一丁廃棄せず、全ての兵力を従前の自己位置のままにしている状態で、練習と言う一切れの動作だけを一時的に中止した事は、いつなんどき、これは、任意の瞬間に再開される極めて可逆的な措置であって、我々が執った核試験場の不可逆的な爆破廃棄措置に比べれば、対比さえ出来ない問題である。
今回の会談の結果は、極めて憂慮すべきものと言わざるを得ない。 米国側が、朝米首脳対面と会談の精神に合致するよう、建設的な方案を持って来ると思っていた我々の期待と希望は、愚かと言うほど無邪気なものであった。 古い方式では絶対に新しいものを創造することができないのであり、百戦百敗した、かび臭い方式を踏襲すると、また失敗しか行き渡らない。
朝米関係史上初めてとなる、シンガポール首脳会談で、短い時間での貴重な合意が達成されたのも、まさにトランプ大統領自身が、朝米関係と朝鮮半島の非核化問題を、新しい方法で解いて行こうとしたからだ。
双方が、首脳級で合意した新しい方法を、実務的な専門家級で流してしまって、古い方式に戻っていけば、両国人民の利益と世界の平和と安全のための新しい未来を切り開いていこうとする、首脳の方々の決断と意志によって設けされた世紀のシンガポール首脳対面は、無意味となる事になる。
今回、初めての朝米高位級高官会談を通じて、朝米間の信頼はより強固化される事になるどころか、むしろ、確固不動だった我々の非核化の意志が、揺れ動く危険な局面に直面する事となった。 我々は、ここ数か月間、出来る限りの善意の措置を、予め執りながら、最大の忍耐を持って、米国を注視してきた。
しかし、米国は、私たちの善意と忍耐を間違って理解したようだ。 米国(朝鮮外務省は、まだ、ポンペイオを、名指ししていない。)は、彼らの強盗的心理が反映された要求条件までも、我々が、忍耐から受け入れるだろうと思うぐらい、根本的に間違った考えをしている。
朝米間の根強い不信を解消し、信頼を造成し、この為に、失敗だけを記録した過去の方式から大胆に抜け出し、既成にいらわれない、まったく新しい方法で解決していくこと、信頼醸成を前面に出しながら、段階的に同時行動原則で解くことができる問題から一つずつ解決していくことが、朝鮮半島の非核化実現の最も近道である。
しかし、米国側が焦燥感に捉われ、以前の行政府(政権)が執って来た古い方式を、我々に強要しようとすれば、問題解決にどんな助けにもならないだろう。我々の意志とは別に、非核化の実現に符合される客観的環境が造成されなければ、むしろ、うまく始まった二国間関係の発展の気流が大混乱する事になる。
逆風が吹き始めれば、朝米両国には無論、世界平和と安全を願う国際社会にも、とても大きな失望を抱かせ、その様に成れば、結局、他の選択を模索する事となり、それが悲劇的な結果へと繋がらないと言う担保は何処にもない。我々は、トランプ大統領に対する信頼心を、まだ、そのまま大切にしまっている。
米国(訳注―朝鮮外務省は、ポンペイオを、まだ名指しして批判していない。)は、首脳の方々の意志とは異なり、逆風を許す事が果たして、世界の人民の志向と期待に符合し、自国の利益にも合致するのかを慎重に問いただして見なければない。
                                              (訳 柴野貞夫 201879日)

 

<参考サイト>
☆  米副大統領ペンスは、その言葉が招く恐ろしい結果について熟考すべきだ
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_631.html

☆ 一方的な核放棄だけを強要するのであれば、我々はそうした対話に興味を持たない(ウリミンゾクキリ 2018年5月16日付)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_629.html


[論考B]シンガポール朝米会談で、何が合意されたのか<その3>(柴野貞夫時事問題研究会 2018年7月5日)

http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_67.html

☆[論考A]シンガポール朝米首脳会談で、何が合意されたか<その2>(柴野貞夫時事問題研究会 2018年6月20日)

http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_66.html

☆[論考@] シンガポール朝米会談で、何が合意されたか<その1>(柴野貞夫時事問題研究会 2018年6月20日)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_65.html

[論考@] 朝・米首脳会談の主要議題は両国の関係正常化の一括合意であり、その先に「朝鮮半島の非核化」を実現する事にある(1)(柴野貞夫時事問題研究会 2018年3月28日)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_62.html

[論考A] 朝・米首脳会談の目的は、米国に対して核脅威による「対北敵視政策」を放棄させる事にある(柴野貞夫時事問題研究会 2018年4月13日)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_63.html

[論考@] 朝米首脳会談における米国の義務は、朝米関係正常化を実現することだ(柴野貞夫時事問題研究会 2018年6月10日)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_64.html

☆ 論考/「社会主義・朝鮮の崩壊を妄想し、67年間に亘って核威嚇を繰り返してきた米帝国主義の対北政策の敗北」(柴野貞夫時事問題研究会  20171210日)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_60.html