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(世界の新聞/「朝米対話が進捗しないのは、誰が原因なのか」 労働新聞 2018年918日付)
http://www.uriminzokkiri.com/index.php?ptype=igisa2&no=1159100&pagenum=5


          朝米対話が進捗しないのは、誰が原因なのか

(注/訳文終わりに、当研究会の解説があります)

朝米協議の合意を、何一つ履行しない米国

シンガポール朝米首脳の対面と会談が進行され、共同声明が採択された時から、か月と言う月日が流れた。当時、世界は朝米首脳の対面と共同声明採択に熱狂的な支持と歓迎の意思を表示しながら、重大な意義を持つ大きな世界史的事変、歴史的里程標だと一様に評価した。
国際社会は、朝米共同声明が成功裏に履行され、最も先鋭に対立して来た朝米間の極端な敵対関係が一日も早くケリがついて、朝鮮半島と地域に恒久的で強固な、平和と安全が宿る事を願った。
しかし、今日の現実は、人々の失望を醸し出している。朝米間の対話は、固着状態に入った。そうであれば、その原因はどこにあるのか。中国の、香港インターネット新聞、《DWnews》、米国のインターネット雑誌、《ボックス》、スイスの新聞《ノイエチューリッヒチャイツン》など、世界の多くの国々の言論は、朝米協議が進捗していない主たる原因は米国にある、米国のトランプ大統領は朝米首脳会談の早い時期に終戦宣言を宣布すると約束した、しかし、それ以後米国は一方的に朝鮮が核兵器を廃棄する事だけを絶えず要求している、この事が現在も朝米協議が進捗していない原因だ、米国が朝鮮とした約束を破った、米国は嘘を吐いた、朝鮮がこれに激怒しているのは正当であると報道した。あまりにも、当然な主張だ。朝米協議が進捗していない責任は、全的に米国にある。

平和体制の構築に向けた相互の約束履行こそが、全ての前提である

米国が、彼らが公約した終戦宣言宣布を始めとして、信頼醸成の意思は見えず、去る時期に、朝米対話で排撃された(朝鮮の)《先核放棄》の主張だけを固執し、我が国家が《検証可能で、後戻り出来ない完全な核放棄》をした後で、(初めて)他の問題を論議する事が出来ると言う、常識外の横車を押すところに原因がある。
去る6月、シンガポール朝米首脳会談では、新しい朝米関係の樹立と、朝鮮半島での恒久的で強固な平和体制構築に関する問題に対する、包括的で深度ある論議が進行された。我が国家は、米国が、関係改善の為の真情な信頼構築を取って行くならば、それに相応して引き続き、次の段階の追加的な善意の措置を取って行く事が出来ると言う立場も明らかにした。ところが今、米国はどの様に出ているのか。
彼等は動かず、我々だけが行動せよと、一方的で強盗的な要求をしている。ここに、米国の保守政客たちが先頭に立って暴れている。彼等は“朝鮮との非核化協議は、最初から失敗が予定されていた。
”朝鮮の非核化約束が、どんな意味もない事は、誰も知っている”、“大統領が、危険千万な賭博をしている”と言う根拠のない空言を拡散し、《先核放棄》〈訳注・―方的に北側に核を放棄させる意味>の嘘喇叭を吹きまくっている。まことに、万人を唖然とさせる奇怪な醜態に違いない。


朝米首脳会談の成果を貶(おとし)める、米国の保守勢力

米国の保守勢力は、どうすれば、シンガポール朝米首脳会談の成果を貶(おとし)め、トランプ行政府を守勢に追い込み、彼らの不純な政治的野欲を実現しようと,水火も辞さないでいる。思考が乱れず、時勢を見る成り行きを,少しでも知る人々は、誰彼の区別なく、今までの過程を良く見渡せば、朝鮮が先に動いたことが多く、米国はたいしてした事がないと一様に言っている。事実がそうだ。
我々は、朝鮮半島と地域の堅固な平和保障を目的として、朝米間の敵対関係を清算し、新しい関係を樹立する為に、ロケット試験発射と核実験を中止し、北部核試験場を廃棄したのであり、反共和国敵対行為を敢行し抑留されていた米国人らを釈放すると言う、鷹揚な人道主義的雅量も見せた。
このあらゆる措置は、世界的に大きな歓迎と支持を受けた。我が国家の雅量と善意は、朝米会談が成功する基礎となったのであり、会談で共同の認識と合意が順調に達成される事となった。
我が国はその後、トランプ行政府と約束した通り、米軍の遺骨発掘とその送還問題を、速やかに解決する為の対策を立て、実践に移すことで、共同声明を誠実に履行しようとする確固たる意志を見せたのであり、これに対し、トランプ大統領も深い謝意を表した。


互いの敵対関係を解消しようとすれば、何よりも停戦協定を平和協定に変えなければならない

米国が、一方的に朝鮮を武装解除させ、他の目的を達成しようとする下心があるのかと言う、懸念の声が響き出ている。朝米共同声明が(朝鮮によって)履行されれば、他の一方である米国も、誠意をもって履行しなければならない。
朝米が、互いの敵対関係を解消しようとすれば、何よりも停戦協定を平和協定に変えなければならない。これは誰にも、容易く理解することが出来る、明白な理智である。それでも米国は、終戦宣言を、誰かに与える贈り物の様に考えている。ひいては(更には)、米国の保守政客達は、朝鮮が、彼らの要求通り動かなければ、制裁と圧迫の度数が更に高まるものと、我々を深く刺激する発言も憚らず吐き出している。
米国のこの様な行動が、果たして、我々や国際社会に納得されるだろうか。家を造ろうとすれば、基礎が無ければならず、それが丈夫でなければならない。国家間の関係も、同じだ。
今、世界の多くの専門家の中では、米国が終戦宣言宣布で、朝鮮との信頼の基礎を築く考えはせず、朝鮮に一方的で強盗的な要求だけを継続して要求すれば、朝米対話の前途は楽観する事は出来ない。米国が、一方的な強要で朝鮮を武装解除させ、他の目的を達成しようとする考えが有るのかと言う懸念の声が響き出ている。
今後、朝米対話が進捗するのか、しないのかと言うのは、全面的に米国がどんな立場に立って行動するのかに掛かっている。米国は、深思黙考して、真情性と大胆な決断を持って、誠実で勤勉な姿勢で、朝米対話に出なければならない。これは、米国の為にも有益な事だ。
                                                         (訳 柴野貞夫)

<労働新聞(評論)に対する、柴野貞夫時事問題研究会による解説

 「関係正常化を通した“朝鮮半島”の非核化」が、シンガポール朝米共同声明の核心である

918日から20日にかけて、南朝鮮大統領、ムン・ジェインは、平壌を訪問し、キム・ジョンウン国務委員長と北南首脳会談を行い、「9月平壌共同宣言」を発表した。
この会談に合わせる様に、918日、朝鮮労働党機関紙・「労働新聞」は、米国が「612−朝米共同宣言」で明記された合意、即ち、「朝鮮半島の平和体制の構築に向けた、朝・米相互の段階的同時履行」の約束を未だ実行しない不正常な事態を厳しく指摘した。
米国側の約束不履行の一方で、朝鮮側は、既に、シンガポール・朝米首脳会談の前に、米国系朝鮮人スパイの釈放、核実験とミサイルの試験発射の中断を継続し、524日、“後戻りできない非核化措置”の一環とも言うべき、プンゲリ(豊渓里)核実験場廃棄を、世界の報道陣注視の下で実行している。
また、朝米首脳会談直後、朝鮮戦争時の米兵遺骸送還の約束を履行した。更に、今回の北南首脳会談による「共同宣言」では、追加的な“あと戻り出来ない非核化措置”ともいうべき、トンチャンリ(東倉里)のエンジン試験場とミサイル発射台の完全廃棄まで約束した。

米国は、何時でも“後戻り出来る”《韓米合同軍事訓練の中断》に手を付けただけで、「615朝米共同声明」の約束を,一つとして履行していない。米国は、朝鮮の‘先制的平和措置’による恩恵だけを取り込み、朝鮮に対する一方的な‘先核放棄’を主張し、不正な事に、依然として朝鮮に対する制裁圧迫政策を継続している。
615朝米共同声明」は、朝鮮が従来から一貫して主張して来た、「非核化を通じた関係改善ではなく、関係正常化を通じた非核化」を、朝米双方が受け容れたものである。又、「非核化」とは、「朝鮮半島の非核化」であって、一方的な「朝鮮の非核化」を意味するものでなく、朝鮮半島とその周辺の米国による核の威嚇と恐喝を棚上げする事を意味せず、朝米双方の「非核化」を追求するものである。
朝鮮半島の<核問題>とは、朝鮮(北)が生み出したものではない。停戦協定に違反して核を持ちこみ、朝鮮半島で<核による先制攻撃>を政策化し、70有余年に亘って、朝鮮民族を核の恐怖に晒してきた米国と、日本列島に360箇所の米軍の核基地を提供して来た日本が、生み出したものだ。
「朝鮮の非核化〈核放棄〉」は、米国との関係正常化と同時に、南朝鮮の国土とその米軍基地、及び、朝鮮半島から指呼の間にある膨大な核破壊力を備える在日米軍基地からの、核による威嚇と恐喝を排除するものでなければならない。世界最大の核兵器保有国家であり、核による、<先制攻撃>を政策化した世界唯一の侵略国家―米国が、自らの核政策に1ミリも手を付けず、朝鮮に対し、〈先核放棄>を迫る如何なる道理もない。
920日、北南首脳会談を終えてソウルに戻った南朝鮮のムン・ジェイン大統領は、その「対国民報告」で、次の様に述べた。
“朝米首脳会談で合意した4つの事項は、同時に実施されるべきである。また、(北は、)米国が、その精神に基づいて対応する措置を取ってくれれば、寧辺の核施設の恒久的廃棄を含む追加の非核化措置をとり続けていく用意があることを表明した。朝鮮は既に、プンゲリ(豊渓里)核実験場を廃棄した。更に今回、関係国の専門家の参観の下、東倉里エンジン試験場とミサイル発射台の永久廃棄を約束することで、「未来の核能力」を放棄し、「さらに相応する措置があれば、」朝鮮の核の象徴とすることができる寧辺の核施設も、永久に廃棄する用意があると明らかにした”と強調した。
この様に、朝鮮側は、共同声明の約束を果たさない米国に対し、度が過ぎるほど、一方的な善意の「非核化」行動を履行している。世界の、特に日本と米国の資本主義言論媒体は、「朝鮮半島の非核化」を、「朝鮮国家の一方的な非核化―核武装解除」に歪曲化する不正な論陣を張っている。
世界最大の核武装国家である米国の核恐喝をそのままにして、朝鮮半島の非核化も、世界の<非核化>もあり得ない事は、赤子さえ理解できる真実だ。朝米協議の中味を虚偽と欺瞞で歪曲し、「北は、何一つ、シンガポール声明を守らず、実体ある非核化を実行していない」と叫び、米国の軍産共同体と、安倍好戦集団の太鼓持ちを展開している。これ程の不正な悪行は、何処の世界にも存在しない。

<関連サイト>

☆377 朝鮮半島における核問題の発生、その主犯は米国だ (ウリミンジョクキリ2013年1月29日付)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_377.html

☆648 トランプが終戦宣言署名の約束を反故に(韓国・ハンギョレ 2018年8月30日付)

http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_648.html

☆644 トランプ政府は終戦宣言の約束を履行せよ(韓国・ミンプラス 2018年7月27日付)

http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_644.html

☆641 朝鮮外務省スポークスマン、朝米高位級会談に言及(朝鮮中央通信 2018年7月7日付)

http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_641.html