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世界の新聞/「キム・ジョンウン委員長とポンペオ米国務長官との会見」 労働新聞 201810日付) http://www.uriminzokkiri.com/index.php?ptype=great&subtype=songunload&no=6523

 最高指導者キム・ジョンウン同志 が、我が国を訪問した米国国務長官と接見した

文末に【柴野貞夫時事問題研究会による解説】があります。

【要約】

● 肯定的に変化発展している半島地域情勢について評価し、非核化を解決するための方案と双方の懸念事項について詳細に説明して、建設的な意見を交換し、第2次朝米首脳会談の開催に関連して提起された問題に対する、両国の最高指導部の立場を通報し、真摯な討議を行った。
● キム・ジョンウン委員長は、ポンペオ国務長官と、非常に生産的で優れた談話を進行しながら、お互いの立場を十分に理解し、意見を交換出来る事になった事について高く評価し、満足の意を表した。
● キム・ジョンウン委員長は、“近いうちに第2次朝米首脳会談と関連した優れた計画が用意されるだろう”と言う確信を表明した。
● 第2次朝米首脳会談の準備のための実務交渉を、早期開催することについて合意し、それに関連した手続き的な問題と方法にについて早期に話し合う事について合意した。
● キム・ジョンウン委員長は、「第2次朝米首脳会談を契機に世界の焦眉の関心事となる問題の解決と、過去の会談で提示した目標の達成で必ず大きな前進が成し遂げされることの意志と確信を表明した」
● 昼食会では、「(二次)朝米首脳会談の成功と朝米の関係発展のために、双方の間に意思疎通と接触、往来を、更に活性化して行く事に関する、興味深々たる意見が交換された」と。

▲会合に先立って握手をする金委員長とポンペオ長官 [キャプチャ - 労働新聞]

▲会合に先立って握手をする金委員長とポンぺオ国務長官  [キャプチャ - 労働新聞]

【本文】
朝鮮労働党書記であり、朝鮮民主主義人民共和国・国務委員長である、我が党と国家、軍隊の最高指導者 、キム・ジョンウン(金正恩)同志は107日、我が国を訪問した米国国務長官マイク・ポンペオを接見した。
最高指導者同志は、百花園迎賓館でマイク・ポンペオ米国国務長官を温かく迎え、挨拶を交わしながら記念撮影をした。最高指導者同志は、マイク・ポンペオ国務長官が、歴史的な朝米首脳対面と二国間の関係の発展のために、何度も平壌を往来し精力的に活動していることを高く評価しながら、彼の、我が国訪問を熱烈歓迎した。最高指導者同志は続いて、マイク・ポンペオ、アメリカ合衆国国務長官との談話を行なった。

▲面談には、朝鮮側からキム・ヨジョン(金与正)労働党中央委第1副部長が、アメリカ側からスティーブンビーガン国務省対北朝鮮政策特別代表、アンドリュー・キム中央情報局(CIA)コリアミッションセンター長が同席した。  [キャプチャ - 労働新聞]

▲昼食会 [キャプチャ - 労働新聞]

敬愛する 最高指導者同志は席上で、第1次朝米首脳会談で合意された、612共同声明履行において、進展が遂げられている事について評価し、その為に心からの努力を傾けているトランプ大統領に謝意を表し、自身の挨拶を伝える事を願うと、温かく述べた。
敬愛する 最高指導者同志は、マイク・ポンペオ国務長官と、肯定的に変化発展している半島地域情勢について評価し、非核化を解決するための方案と双方の懸念事項について詳細に説明して、建設的な意見を交換し、第2次朝米首脳会談の開催に関連して提起された問題に対する、両国の最高指導部の立場を通報し、真摯な討議を行った。
最高指導者同志は、予定されている第2次朝米首脳会談を契機に、世界中の焦眉の関心事となる問題の解決と、過去の会談で提示した目標の達成で、必ず大きな前進が成し遂げられると言う意思と確信を表明した。席上では、第2次朝米首脳会談の準備のための実務交渉を早期に開催することについて合意し、それに関連する手続き問題と方法についても論議された。
最高指導者同志は、マイク・ポンペオ国務長官と、非常に生産的で優れた談話を進行しながら、お互いの立場を十分に理解し、意見を交換出来る事になった事について高く評価し、満足の意を表した。
非常に生産的で優れた談話を進行しながら、お互いの立場を十分に理解し、意見を交換出来る様になった事に対し、高く評価し満足の意を表した。
最高指導者同志はこの日、米国代表団の宿舎である百花園迎賓館での昼食会を開催した。
昼食会では、朝米首脳会談の成功と朝米の関係発展のために、双方の間に意思疎通と接触、往来を、更に活性化して行く事に関する、興味深々たる意見が交換された。
最高指導者同志は、両国の最高首脳の間の強固な信頼に基づいている朝米間の対話と交渉が、今後も引き続き、立派につながって行くものであり、遠からず、第2次朝米首脳会談に関連した優れた計画が用意されるものと確信し、マイク・ポンペオ、アメリカ合衆国国務長官との別れの挨拶を交わした。
                                                      (訳 柴野貞夫)

 

【柴野貞夫時事問題研究会による解説】
過去76日〜7日のポンペオの訪朝は、612日のシンガポール朝米首脳会談において合意された「朝米共同声明」を、両国が誠実に履行する為の、高位級実務者による最初の協議を目的にしたものであった。
シンガポール朝米首脳会談の歴史的合意は、「情勢の悪化と戦争を防止するための基本問題である、朝鮮半島の平和体制構築に向かって朝米双方が執るべき課題」を明確にした点にあった。朝鮮側は、既に核実験とICBM試験発射の中止を公表し、遡る524日、プンゲリ(豊渓里)核実験場廃棄を公開的に行った。また、米・CIAのスパイ名の釈放も行い、加えて、「非核化措置」の一環として、ICBMの生産中止を物理的に確証する為に、大出力エンジン試験場の廃棄を視野に入れた広範囲な行動を提起し、朝鮮戦争時の米軍兵士の遺骸の引き渡しも約束した。
一方、米国は、「合同軍事演習」の一時的中止と、朝鮮停戦協定締結65周年を契機として朝鮮半島における強固な平和体制構築の為の最初の行程である「終戦宣言」を約束した。過去76日〜7日のポンペイオの訪朝は、「共同声明」後、初めて行う、朝鮮半島の平和体制構築に向けての広範囲な双方の義務と課題を、より具体的に履行する為の、高位級実務協議の場であった「はず」であった。もちろん、それらの行動と義務は、「信頼醸成を前面に出しながら、段階的に同時行動原則で」取り組むべき行動であり、朝・米両国の一方だけに負わされたものでなく、双方が同時的に履行すべき行動である事は、「共同声明」で、明らかにしている。
しかし、76日〜7日のポンペイオの訪朝時における行動と態度は、シンガポールでの首脳会談の精神と約束に著しく反する内容であった。席上、ポンペイオは、朝鮮半島における戦争を防止するための基本問題である平和構築問題に対して一言も言及せず、また、既に合意されている「終戦宣言」も先送りする態度を露骨にした。
それどころか、米国(自国)に対する検証を一切拒否し、朝鮮に対する一方的な「先非核化要求」だけを主張する、「CVID(完全且つ、検証可能な後戻りしない非核化)」や、「FFVD(完全に検証された非核化)」を持ち出した。これ等の主張は、「六か国協議」を破綻に追い込んだ、‘敵対する相手に対する一方的武装解除’を意味する不正な主張であり、朝米首脳会談の精神を根底的に毀損する理念であった。
77日付朝鮮中央通信は、「朝鮮外務省スポークスマン、朝米高位級会談に言及」で次の様に指摘している。
「終戦宣言を一日も早く発表する事に対する問題で言えば、朝鮮半島での緊張を緩和し、強固な平和保障体制を構築するための最初の工程であると同時に、朝米間の信頼醸成のための優先的な要素であり、凡そ70年間持続されてきた、朝鮮半島の戦争状態を終結させる歴史的課題として、北南間の板門店宣言にも明示されて問題であり、朝米首脳会談でも、トランプ大統領が、更に熱意を見せた問題だ。
米国側が、会談で最後まで固執した問題は、過去、前行政府が固執し,対話の過程を全て台無しにして不信と戦争の危険だけを増幅させた癌的存在である。 米国側は今回の会談で、合同軍事演習を一つ二つ,一時的に取り消したことを大きな譲歩のように宣伝したが、銃一丁廃棄せず、全ての兵力を従前の自己位置のままにしている状態で、演習と言う一切れの動作だけを一時的に中止した事は、いつなんどき、これは、任意の瞬間に再開される極めて可逆的な措置であって、我々が執った核試験場の不可逆的な爆破廃棄措置に比べれば、対比さえ出来ない問題である。今回の会談の結果は、極めて憂慮すべきものと言わざるを得ない。」
朝鮮側の主張は、全く正当であると言わざるを得ない。一体、ポンペオは、何のために平壌を訪れたのであろうか。朝米間の、シンガポール朝米共同声明の履行が停滞する一方で、918日から20日にかけて、南朝鮮大統領、ムン・ジェインは、平壌を訪問し、キム・ジョンウン国務委員長と北南首脳会談を行い、「9月平壌共同宣言」を発表した。
ムン・ジェイン大統領は、南と北が韓半島で戦争を引き起こす可能性があるすべての危険性をなくすことに合意し、「南北軍事共同委員会」を稼動して、合意事項の履行のための常時協議を進めることにしたことに対して言及した。 南と北が、朝鮮半島の完全な非核化のために、国際社会と緊密に協議し協力していくことに対して語った。
朝米共同声明の履行を妨害する動きの一方で、朝鮮半島の民族自決と自主の動きが加速された。歴史的な板門店宣言以後、韓半島とその周辺には、巨大な歴史的な出来事が起きているとし、南と北が、交流と協力を更に増大させ、民族経済を均衡的に発展させるための実質的な対策を取る動きの中で、米国の孤立は明らかであった。世界の言論も、左右を問わず、シンガポール共同声明を履行しない米国への非難が沸き起こった。
この会談に合わせる様に、918日、朝鮮労働党機関紙・「労働新聞」は、米国が「612−朝米共同宣言」で明記された合意、即ち、「朝鮮半島の平和体制の構築に向けた、朝・米相互の段階的同時履行」の約束を未だ実行しない不正常な事態を厳しく指摘した。
「今、世界の多くの専門家の中では、米国が終戦宣言宣布で、朝鮮との信頼の基礎を築く考えはせず、朝鮮に一方的で強盗的な要求だけを継続して要求すれば、朝米対話の前途は楽観する事は出来ない。米国が、一方的な強要で朝鮮を武装解除させ、他の目的を達成しようとする考えが有るのかと言う懸念の声が響き出ている」と、米国に警告をした。
「他の目的を達成しようとする考えが有るのかと言う懸念」とは、朝鮮の‘先制的平和措置’による恩恵だけを取り込み、朝鮮の善意を利用して、一方的な核放棄を通して武装解除を狙う米国の底意を予感せざるを得ないと言う「懸念」である。ポンペオの、シンガポール首脳会談共同声明の合意と精神を真っ向から否定する行動は、朝鮮側によって、“強盗的主張”だとして、全面批判を受けた。
107日、ポンペオは、朝鮮半島を巡る情勢の変化の中で、前回の訪朝時と大きく変化した態度と行動を取らざるを得なかった。107日、平壌を訪問した米国・ポンペイオ国務長官は、前回訪朝時(7月6日〜7日)に拒否された、キム・ジョンウン委員長との面談が実現した。
今回のキム・ジョンウン委員長との面談と昼食は、合計3時間30分の間続いた。 面談には、北朝鮮側からキム・ヨジョン(金与正)労働党中央委第1副部長が、アメリカ側からスティーブンビーガン国務省対北朝鮮政策特別代表、アンドリュー・キム中央情報局(CIA)コリアミッションセンター長同席した。
今回のポンペオの訪朝に対する朝鮮側の対応は、米国側が、「両国の信頼関係を前提とした朝鮮半島の平和体制の構築」と言う、「共同声明」の原則に立ち返る限りにおいて、協議に応じたものであると考えられる。
我々は、これ等の報道から、停滞する朝米交渉が、第2次朝米首脳会談の開催を巡る交渉の中で、第1次首脳会談の原則に立ち戻り、再び動き始めた事だけは確認できる。929日の国連総会で、リ・ヨンホ外相は、世界に向かって次の様に呼び掛けた。
“朝米共同声明の履行が膠着に直面した原因は、米国が信頼醸成に(力を入れる代わりに)致命的な強権の方法にだけ縛られ、ぶら下がっているからです。 最近、北南関係で示された急速な改善と協力の雰囲気は、信頼醸成が決定的な役割を発揮することが出来ているかをよく示しています。米国に対する信頼がない我が国家の安全に対する確信はあり得ないのです。こんな状態で、私たちが一方的に先に核武装を解除することは絶対にありません。 非核化を実現しようとする、私達共和国政府の意志は確固不動ですが、これは、米国が、私たちにとって、十分な信頼感を持つ事となる時にのみ可能です。米国は、私たちよりも先に核兵器を保有しており、世界で唯一、核兵器を実戦に使用した国です。 米国は、70年前に我が共和国が誕生した最初の日から、私達に敵対視政策を実施しており、自国の企業が、我が国とネジ一個取引しないように徹底した経済封鎖を敢行している国です。私達は、米国の地に、石ころ一つ運んだことがありませんが、米国は朝鮮戦争時期、我が国に数十発の原爆を落とすと恫喝した事のある国であり、それ以降、私達の敷居に、絶える事無く、核戦略資産を引き込んだ国です。万一、朝米両国が過去にだけ執着しながら、互いに相手側を無闇に疑心だけしようとすれば、今回の朝米共同声明も、過去時期の失敗した他の朝米合意と同じ運命を免れる事は出来なくなるでしょう。”
朝鮮は、20171119日、米全域を射程圏内に収める能力と、核弾頭搭載の技術的課題も解決した「火星15号」の発射に成功した。帝国主義に対する朝鮮の「軍事的均衡」を確立した壮挙であった。体制崩壊を狙った70年に亘る「対北敵視政策」の破綻が明らかになった。トランプが、朝米首脳会談を提起した真の理由は、米本土を射程に収めた朝鮮の、ICBMの脅威から自国を守らなければならなくなった点に集約できる。2次朝米首脳会談を、朝米合意の完全な履行を通して成功させなければならない根拠が、ここにある。

<参考サイト>
☆644 トランプ政府は終戦宣言の約束を履行せよ(韓国・ミンプラス 2018年7月27日付)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_644.html

☆645 対朝鮮制裁・圧迫騒動が共同声明の履行を妨害している(朝鮮中央通信2018年8月9日付)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_645.html

☆648 トランプが終戦宣言署名の約束を反故に(韓国・ハンギョレ 2018年8月30日付)

http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_648.html