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(民衆闘争報道/ 4・15総選挙の評価<その2>  韓国・チャジュシボ(自主時報) 2020年4月19日付)
http://www.jajusibo.com/50237


          韓国・4.15総選挙の評価 <その2>

[時事研編集部 注]
南朝鮮の民衆言論「自主時報」が発表した「4.15総選挙の評価」は、日本の言論界に出回る、「韓国国民が、ムン・ジェインの新型コロナウイルス対策を評価した結果である」とする低次元の政治分析とは、大きな隔たりがある。この論考は若干長文の為、3回に分けて、その訳文を日本の読者に提供するものである。

▲トランプ大統領は、今日(19日)も キム・ジョンウン委員長の親書を受け取ったと‘自慢’した。ただし、親書を受け取った日付は明らかにしなかった。

(承前)

北韓は、今年2月末から、ミサイル発射と砲射撃訓練など、各種軍事訓練を相次いで行った。総選挙を前にした時期だったので、以前だったら、保守積弊勢力が北韓の“挑発”を糾弾し、膺懲(ようちょう―こらしめ)を叫んだであろう。しかし、以外に静かに経過した。米国も、通常の訓練に過ぎないと、最大限の対応を自制した。
むしろトランプ大統領が、北韓に親書とか、ラブレターとかを送っては、喜んで自慢した。内容は公開しなかったが、誰が見ても、“大統領選挙が目前だ。今の訓練に対しては対応しない。 どうぞ、核実験や大陸間弾道ミサイル試験だけはしないでくれ”と言う要請だった事は知る事が出来る。
北韓は、総選挙の前日である14日にも、巡行ミサイルを複数発射した。しかし次の日、米合参議長(米合同参謀議長)は、“特別に大きなミサイルではない”とし、特に挑発的とか脅威的とかではない と明らかにした。言論媒体は、こんな内容を大きく取り上げず、キム・ナムク候補の争点だけを大書特筆した。もし、米国合同参謀議長が“挑発だ、懲らしめる”と、強硬な声を出したら、言論も大々的に取り上げ、投票場に出て来た有権者に最大限の影響を与えた事であろう。
<未来統合党>も総選挙当日、北韓とムンジェイン政府を糾弾する声を上げはしたが、さほど国民の目を引くことは出来なかった。その間、特に変わった声も出ず、終盤争点化を狙ったが失敗した。米国も途方に暮れる北韓に、大声を上げる<未来統合党>の姿は、国民の目に虚勢にしか見えなかった。この様に、二つ目の前提条件も消えた。

保守積弊勢力が掲げて来た親米、親日依存成長路線は、急激に力を失っている
次に、経済の領域を見て見よう。保守積弊勢力が掲げて来た親米、親日依存成長路線は、急激に力を失っている。
その理由は第一に、韓国経済に影響を与える外部要因を見れば、量的に検討してみると米国より中国が、更に大きくなったからだ。

韓国はいま、米国よりも中国と、より多くの経済交流をする。企業人の中にあっても、“米国と経済が断絶すれば、韓国経済は癌にかかる。 しかし、中国と断絶すれば即死する。”と言う言葉が出てくる。癌にかかるのも致命的だが、何とか治療しようと試みる事は出来る。しかし、即死すれば何もできない。韓国経済は、依然として米国から大きな影響を受けるが、中国に比べる程ではない状況となったのだ。こんな実情によって、<未来統合党>が、コロナ19事態を利用してムンジェイン政府を‘親中政府’として攻撃したが、思ったほどには相手にされなかった。
第二の理由は、米国、日本経済が、難しくなったからだ。
米国、日本に依存し、韓国経済を成長させようと言う主張は、米国、日本が豊かに暮らすときに通じる話だ。しかし、米国は2008年金融危機を経験しながら、元手が尽きてしまった。溢れる野宿者の姿、破産する地方都市、米国内で絶えること無き経済危機警告の声、コロナ19事態に対する嘆かわしい対処の姿などは、米国に経済依存すれば豊かに暮らせると言う考えを崩してしまった。日本もやはり、長期不況から抜け出せないでいる。その上に、米国、日本の経済が今後、良くなる見込みが見えるわけでもない。現在も難しいが、未来も不透明だ。米国、日本に経済を依存出来ない理由だ。

三つ目の理由は、米国、日本が、韓国経済を助けるどころか、略奪する為だ。
米国は、自国の経済危機を解決する為に、同盟国を略奪し始めた。不公正な韓米FTAを、韓国に更に不利に改定し、アップルを生かす為にサムスンを攻撃し、韓国の家電製品に高率関税を掛け、駐韓米軍支援金を5倍に上げると圧迫する。日本も強制徴用裁判を名分に、経済攻撃を敢行した。こんな国々に、経済依存しようとするのは、猫に魚屋を任せようと言うのと同じだ。

こんな理由で、親米・親日依存成長路線は、これ以上国民の同意を得る事は難しい。米国、日本に依存することが出来ないなら、中国はどうだろうか。実際に、韓国経済は中国の影響力を、絶対無視することは出来ないと言う認識が拡散されている。 そうだからと言って、日米依存から中国依存に乗り換える事が、経済の代案となる事はない。
過去には、中国を新たな販売市場、低価格生産基地程度に考えるなら、今は違う。先端科学技術分野、新産業分野では、中国の成長速度は恐ろしいほどだ。5G技術、電気自動車、量子通信、3?プリンターなど、中国が世界の先頭にある領域が一つや二つではない。現在は多くの産業技術領域で中国が韓国を追い越したと言うのが、衆論(多数の意見)だ。こんな状況で、経済を中国に依存しようとするのは、ただ中国の経済植民地になる事と違いはない。
だからと言って、韓国が今更急に、自給自足、自立経済を出来るすべもない。こんな条件で、最も確実で、選択可能な代案は、南北経済協力だ。南北経済協力は、単純に南北関係の発展、韓半島緊張緩和の為の補助手段ではない。出口がない韓国経済の現実的代案だ。だから、多くの政治家が選挙シーズンになると、南北経済協力の話しをし、企業家達は南北経済協力を急いで許可するように促し、国民も、南北経済協力に賛成するのだ。
この様な理由から、保守積弊勢力が万能薬の様に活用した二大柱である、親米・親日・反北対決安保論、依存成長経済論は破産した。(次回に続く)

                                                         (訳 柴野貞夫)