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(世界の新聞/ “北の完全な非核化”は、現実性も正統性もない  ミンプラス 2021421日付)
http://www.minplusnews.com/news/articleView.html?idxno=11649


   “北の完全な非核化”は、現実性も正統性もない妄想である

朝鮮は、国家核武力を完成し、米の核脅威を無力化させ、東北アジア、朝鮮半島主導する家に浮上した。

朝鮮半島で、戦争を煽るバイデン政権の出帆
“戦争マシーン(機械)が帰って来た。”バイデンが言った“米国が帰って来た”(自分の大統領当選を自画自賛したバイデンの発言)と言う言葉を真似て、或るロシアの新聞が言った指摘だ。
政権出帆するやいなや、“北韓の完全な非核化”を喉が痛くなるまで叫んでいるバイデン政権が、再び挑発的な‘連合編隊総合訓練’(416日から30日まで)を敢行して出た。出帆してどれ程も経たないのに、北を狙った合同演習を繰り広げる事は、既に二回目である。ロシア新聞の指摘が、的を射ている様だ。


20171129日、これまで最長の9車軸を持つ、全長21m(推定)の発射台に立つ<火星―15号>型大陸間弾道ミサイル(ICBM

▲大陸間弾道ロケット(ICBM)「火星-15号」型試験発射が成功的に行われた 

クリントン政権に対する朝鮮の意思は、“ソウルではなく、ワシントンが火の海になる”
バイデンは、政権の好戦的妄動を見ると、20年前の事を思い出す事になる。1994319日の事である。この日、パンムンチョム(板門店)で、特使交換の為の北南実務会談が開かれたが、会談席上で北側団長が、次の様に発言した。“ここからソウルは遠くない。戦争が起これば、火の海となってしまうだろう。”
この発言は、当時大きな波紋を引き起こしたが、韓半島情勢に精通した学者風の穏やかなパク・ヨンス(朴英洙)北側団長が、‘ソウル火の海’発言をする事となったのは、クリントン・米国-民主党政権の戦争騒動が、極に達していたからだ。
当時、ペリー国防長官が、直接北の核施設爆撃を検討したが、北に勝てそうもないので、爆撃の企みを白紙化した。カーター前米国大統領の北韓訪問を経て、ジュネーブ合意に至った。‘ソウル火の海’発言は、当時ソ連が崩壊し、冷戦が終わり得意絶頂だったクリントン政権に対する、朝鮮のひるまない意思の表現だった。

その時から27年、朝鮮は、ソウルではなくワシントンとニューヨークを火の海にする事が出来る実力を備えた。朝鮮が完成した国家核武力は、水素爆弾に加え、米国全土を打撃する事が出来るICBMを備えており、米国の朝鮮に対する核脅威に終止符を打ったものであり、米国を直接脅かしている。
ジョン・ハイドウン米国合同参謀本部次長と言う人物が、我国のミサイル防衛能力は、現在、中国、ロシア、イランでなく、明らかに朝鮮に焦点が合わされているとし、米国本土を脅かす実際的な脅威は、北の核と大陸間弾道サイル(ICBM)だと述べた。 (国際戦略研究所・csisが開催した画像討論会、2月日)

朝鮮の国家核武力の完成で、米国の朝鮮に対する軍事術的優位は消えた
ハイドウンの言葉は、根本的に変化した朝米関係の現住所を正確に示している。朝鮮が米国の変わらない侵略的妄動に対して、ソウルでなくワシントンを火の海にする事が出来る国家核武力で警告し、圧力を加える事になったからだ。
朝鮮の国家核武力の完成で、米国の朝鮮に対する軍事術的優位は消え、核脅威、核恐喝で強迫していた時期は、永遠に過ぎ去ったのにこれを受け容れず、内心、朝鮮の核兵器に戦々恐きょうとしながら、見栄を張っているのが米国の今日の姿である。
にも拘わらず、合同軍事演習で朝鮮を脅かし、<非核化>を強要しようとするのは滑稽ではないか。

朝鮮の核保有は、米国の核の脅しに対処し、朝鮮半島の核の均衡を取り戻すため
対北政策を<再検討>するとしながら、米国が声を高め韓国と日本が追従している<北朝鮮の完全な非核化>の主張には、どんな正当性も妥当性もない。
この機会に、明らかにして置くならば、朝鮮の核武力開発は、そのどんな国際条約に違反するものでもなく、まして、朝鮮半島の平和を損なうものでもない。世界最大の核保有国である米国による核の脅しから、国を守り、平和を守る為の自衛力の行使である。そうであるにも拘らず、米・韓・日では朝鮮の核武力開発を罪悪視する世論が広がっている。これは事実を誤導する米ブラック宣伝(デマ宣伝)に幻惑され、洗脳された結果だと言わなければならない様だ。
ソ連の崩壊と冷戦の終息は、核の密集地帯である東北アジア、朝鮮半島に、核の空白地帯を作った。中・露は、核保有国であり、韓・日は米国の核の傘の下にあったのに、朝鮮だけが核の空白となり、安全保障に深刻な脅威が造成されたのである。
そんな渦中である19933月、朝鮮は、核兵器拡散防止条約(NPT)からの脱退を宣言した。その理由は、クリントン政権の爆撃の企図に対処したものとして、<ソウル火の海>発言と脈絡を一つにする。米国が、核の空白地帯となった朝鮮を崩壊させるまたとない機会と見て、体制崩壊を計ったものである。
しかし、朝鮮はカーター前米国大統領の朝鮮訪問で、朝米交渉の道が可能であれば、交渉の方法でこの危機を克服しようとした。朝鮮がNPT脱退保留を撤回し、脱退したのは、それから10年も経った20031月ことである。NPTに残り、核兵器開発の方法ではなく、平和的な協議の方法で朝鮮半島の非核化を達成しようとした10年に亘る血の滲む様な大変な努力は、米国の相変わらずの(朝鮮に対する)体制崩壊企図によって実を結ばなかった。
ブッシュ政権が、朝鮮を<悪の枢軸><暴政の前哨基地>と責め立て、核先制攻撃も辞さないと騒ぎながら平和協議を決裂させたことに対し、尚更何をしようと言うのか。この過程は朝鮮が米国の敵対視政策に立ち向かいNTPを脱退したあと、NTPの外で核抑止力を開発する事となった事を示してくれている。
朝鮮の核開発は、NTPに抵触しないだけでなく,非核保有国に対する核による脅しを禁止しているNTPの精神を踏みにじった米国の核の脅しに対処した、核抑止力として、朝鮮半島の核の均衡(バランス)を取り戻す事となった平和の核武力である。
これ(朝鮮の核開発)を無くせと言う《非核化》の主張は、彼ら(核保有国とその傘下の同盟国)だけは、核を保有しても核の傘下にあっても良いが、朝鮮の核兵器は、許容することは出来ないと言う二重基準だ。

<北の非核化>の主張に、正当性も妥当性も無い事は明らかである。

シンガポール共同声明は‘朝鮮の非核化’ではなく、‘朝鮮半島の非核化’
バイデン政権の言う、‘対朝鮮政策の再検討’は、‘同盟再建’による圧力、制裁の強化、そして中国を制裁強化にどの様に引き込むのかと言う事を骨子としている様だ。可笑しい事に、416日に発表された米・日首脳共同声明で、‘北朝鮮の完全な非核化への約束を再確認’と明記し、彼等(米・日)の‘北の完全な非核化’の主張を、正当化しようとしているのだ。
‘朝鮮半島の完全な非核化’を、朝米首脳がシンガポール共同声明で約束した事はあっても、朝鮮が‘北の完全な非核化’を約束した事はない。‘朝鮮半島の非核化’と‘北の非核化’が、厳然として異なるにも拘らず、朝鮮が‘北の非核化’を約束したかの様に誤認する人々がおり、‘朝鮮半島非核化’が、何を意味するのか。再確認する必要がある。
“朝鮮半島と言う時、我が共和国の領域と一緒に、米国の核兵器を始めとする侵略武力が展開されている南朝鮮地域を包括しているのであり、朝鮮半島非核化と言う時、北と南の領域内だけではなく、朝鮮半島に狙いを付けている周辺からのあらゆる核脅威要因を除去すると言う事を意味するものである事を,しっかりと知らなければならない。従って、‘朝鮮半島の非核化’が、朝鮮と米等しく努力しなければ絶遂げることが出来ない共同の作業になっている事は、自明の事実である。”(20181220日―朝鮮外務省)
米国のあらゆる核脅威と、韓国と日本に対する核の傘を取り除いてこそ、朝鮮も非核化する事が出来ると言うのだ。そうしてこそ、バランスが取れるのではないか。‘朝鮮半島の非核化’を、‘北の非核化’に化けさせてしまおうとする雅拙な行為は、‘北の非核化’の主張に少しでも当為性を付与して見ようとする、浅薄なトリックに過ぎない。


朝鮮は、‘制裁決議’にも拘らず、核抑止力を絶える事なく高度化し、制裁を打開した
これと共に、米国は、(中国は)‘北朝鮮を説得し、非核化を実現’させる‘役割を演ずることが出来る’(ヨンハップ通信318日)と言いながら、圧力強化に中国を引きずり込もうとしている。中国の核心利益にまで触れながら‘協力’を云々するのであるから、誠に厚かましい。中国外務省の発表によれば、3月中旬の両国外交首脳のアラスカ会談で、‘両国は、北朝鮮に関する協助に合意’したと言う。(日本・時事通信 322日)
米国が核問題を携えて、朝鮮に対する制裁圧力に中国を協力させた事は、一度や二度ではない。近くでは、‘火星15号’試験発射直後に加えられた‘制裁決議’ 第2397号だ。当時、トランプ米大統領は、中国の共助を引き出し、朝鮮に対する原油輸出まで制限した制裁について、‘史上最大の圧迫’だとし、朝鮮が直ちに屈服せざるを得ない様にすると大騒ぎした。しかし、朝鮮はびくともしなかったし,核抑止力を絶える事無く高度化する一方、正面突破的に制裁を打開してきている。
当時、朝鮮外務省は、代弁人声明を発表し、“我々が、度々(たびたび)明らかにして来た様に、米国の敵対視政策と核の脅し・恐喝に決着をつける為に、核兵器拡散防止条約の外で、正々堂々と開発完成した我々の核兵器は、そのどんな国際法にも抵触しない自衛的抑止力だ ”とし、“米国とその追従勢力は、米国本土に実際的な核脅威を加えることが出来る、戦略国家として急浮上した我が共和国の実体を、一時(いっとき)も忘れてはならない”と指摘した。
中国が、米国の圧迫騒動に共助するか、しないかと言うのは、中国の選択であり、問題の本質ではない。

国家核武力を完成した朝鮮は、米国の核脅威を無力化させ、朝鮮半島の力関係を根本から覆し、東北アジア、朝鮮半島主導する戦略国家に浮上した。
中国国務院諮問委員である、ス・インフン人民大教授は、昨年10月、‘怪物’ICBMが登場した閲兵式を見た直後である1125日、つぎの様に発言した。“東北アジア情勢で、確実な一つのバージョンは、最も重要な運営者が、どんな大国でもなく、キム・ジョンウン朝鮮国務委員長だ。”
朝米間の、力量関係の変化を反映したものと見る事が出来るが、この変化を背景として、冷ややかな朝・中関係が改善された事は、周知の事実だ。強いもの同士の争いに巻き添えを食らうと言っても、今や、誰と言えども朝鮮を餌にして取引し、利益を掠(かすめ)ることは出来ない。朝鮮半島が、強大国の勢力拡張の角逐場になった時代は、永遠に過ぎ去った。これが問題の本質である。


“北の完全な非核化”は、何処まで行っても実現することが出来ない
“今日の政治情勢の流れは、我が人民が自立、自力の旗幟(きし)を更に高く掲げる事を要求している。今、我が国家の前進発展を喜ばない敵対勢力の挑戦と妨害策動は、日毎過酷となっている。主体的力、内的動力を、著しく増大させ、我が経済をどんな外部的影響にも揺らぐ事なく、円滑に運営される正常な軌道に乗せれば、国と民族の自主性を頼もしく担保して行く事が出来る。”(労働新聞 413日)
経済を、どんな外部的影響にも揺らぐことなく、円滑に運営される軌道に乗せる事、これは,8次大会が出した5か年計画の目標である。“北の完全な非核化”は、何処まで行っても現することが出ない馬鹿げた夢であり、米国に残された道は、朝鮮が言う通りに、敵対視政策を撤回する事だけである。
                                                       (
訳 柴野貞夫


<関連サイト>
論考/社会主義・朝鮮の崩壊を妄想し、67年間に亘って核威嚇を繰り返してきた米帝国主義の対北政策の敗北 (柴野貞夫時事問題研究会 2017年12月10日)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_60.html

☆論考/安倍・国連演説の欺瞞を徹底批判する (柴野貞夫時事問題研究会 2017年10月6日)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_59.html


☆朝米協議の障害は、朝鮮半島の非核化に対する、米国の誤った認識にある(朝鮮中央通信 2018年12月20日付)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_668.html