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(韓国・ハンギョレ紙 5月29日)


韓国・ハンギョレ紙インタビュー記事



「歴史歪曲の先頭に立つ日本の“新しい歴史を作る会”藤岡副会長インタビュー」 日本軍慰安婦・南京大虐殺・沖縄住民集団自決を社会科教科書から抹殺しようと活躍する日本の極右学者とは!!

 

日本の歴史歪曲の先頭に立ってきた、“新しい歴史教科書を作る会”(以後、作る会と略称する)は、昨年の歴史教科書採択率が1%に達する事が出来ない低調な実績しか上げず、厳しい内紛沙汰を経験してきた。

 

最近では、“新しい歴史教科書を作る会”出版元である産経新聞系列の扶桑社から決別通報も受けた。去る24日、“作る会”副会長兼自由主義史観研究会代表である藤岡信勝(拓殖大学教授)を、東京都文京区“作る会”事務局で会った。

 

彼は、扶桑社と決別した事への対策から問うと、“最初のインタビュー目的と違う”と敏感に反応した。“作る会”の行方に対する繰り返される質問に彼は、“どんな形態でも我々の運動は継続されるのだ“と言って独自活動を準備中である事をほのめかした。

 

非友好的で論争的な雰囲気で1時間ぐらい進行したインタビューで、質問は主に日本軍慰安婦問題に集中された。彼もこの問題は“作る会”の根源に関係する主題だと積極的に答弁した。

 

“1996年中学校8ヶ所の歴史教科書に一斉に、慰安婦関連記述が載せられたのを見て“これは、不当だ”と考えた。憤怒いっぱいで教科書を取り換えねばと考えた。外で非難するだけでは絶対変わらないので、他の教科書を作って対応する他はないと考えた“

 

彼は日本軍慰安婦の存在に対し、“日本の公娼制度が戦場に延長された形態が慰安婦のシステム”だと言った。従って、性奴隷として規定した米国下院の慰安婦決議案は根拠がない主張だと言うのだ。

 

「公娼には、形式的廃業の自由もあるが、日本軍の慰安婦はそれさえもない惨憺なものだった」と言う。吉見義明(中央大学教授)氏の研究結果を根拠に問いただすとこんな答えが返って来た。

 

“廃業の自由があった戦場で働いた慰安婦は一定の契約期間が終われば、自国の国へ帰る事が出来るから廃業の自由があるのではないか?ただし、公娼制度では、日本の遊郭で働く女性が父母に渡った贈り物を一定期間中に変わりに返済しなければならなかった。全てを返せば、廃業は可能だ。戦争地域でも同じだった。

 

彼は続いて“日本と同じ、戦場の公娼制度は米国がベトナムと戦後占領日本でも運用したし、ベトナム戦に参戦した韓国軍もそうだった。従って、米国が日本に対して攻撃する権利はなく、韓国も同じ”と強弁した後、“安倍晋三総理の謝罪も、国家としての責任を負わないのなら、いけない犯罪行為に対するものでない。慰安婦の立場を人間として同情すると言うことだ。それは私も完全に同じ”だと言った。

 

彼は狭義の強制連行はないが、広義の強制性はあった“と言う安倍総理の発言に対しても問題を提起した。強制連行という言葉は、総連系在日朝鮮人らが自身の“存在の正当性”を立証する為に作り出した言葉だと主張した。

 

日本で藤岡教授ぐらい、論議を呼んで来た人物も多くはない。60歳を越えるまで強烈な共産党員だった彼は、1991年第1次湾岸戦争以後、思想的に転校した後、現在は日本で最も強硬な極右活動家兼、理論家の一人として活動中だ。

 

彼は東京で教授であった1995年、自由主義史観研究会、96年には“作る会”など大東亜戦争の肯定史観に立脚した団体の創立を主導した。既存教科書が自虐史観に従った記述でいっぱいだと主張して、10年過ぎて歴史教科書“改悪”運動で先頭に立っている。

 

“作る会”教科書運動は、大失敗に終わった。そうではあるが、日本軍慰安婦と沖縄戦の住民集団自決・南京大虐殺など彼が掲げた“三大修正テーマ”は大よそ彼の考え通り、現行歴史教科書に反映された。

 

更に安倍総理の歴史認識でも、一定の影響を及ぼした。97年、安倍総理が事務局長を務めた“日本の将来と歴史教育を考える若手議員の集まり”の行事に参加して、“日本軍慰安婦強制連行はなかった”と言う内容の講演をすることもした。

 

96年~97年、産経新聞に連載した“教科書が教えない歴史”は149万部が売れたベストセラーになった。産経新聞は2006年2月、彼の活躍(?)を称えて、“正論大賞”を授与した。東京 キム・トヒヨン特派員 (訳 柴野貞夫)

 

解説 2005年の全国一斉の中学校検定教科書採択に於いて、「新しい教科書を作る会」による公民及び歴史教科書(扶桑社)は、惨憺たる結果に終わった。「子供と教科書ネット21」を中心、全国の広範な国民の不採用運動が実った結果、彼らの歪曲歴史教科書の採用率は、公民0.19,歴史0.39,に終わった。「新しい教科書を作る会」の、教科書作成の基本理念は、戦後歴史教育を「自虐史観」と決め付け、近代日本のアジアに対する侵略戦争を、西洋列強からの「解放戦争」と合理化し、日本の児童生徒を国家の目的に従順に身を捧げる人間に育てることにある。歴史的事実としての「従軍慰安婦」を単なる売春婦と決めつけ、「南京虐殺」の事実よりも虐殺の数を問題にして、すこしでも日本帝国主義の犯罪行為を合理化する彼らの運動は、安倍の右翼国家主義「教育再生運動」と連動しているのだ。会の創立メンバーで、2007年5月7代目の会長に就任したのが、藤岡信勝、拓殖大教授である。産経新聞系列の右翼出版社、扶桑社と言えども、「会」の教科書のあまりの不採用ぶりに商売に成らないと、以後の出版を拒否したことから内部分裂を起こし、会の主要メンバー西尾幹二は、藤岡を、「従軍慰安婦問題さえ禄に勉強もせず発言している」と内ゲバしているのだ。その程度の「学者」と、「明治憲法の復活」「教育勅語の普及」を主張する保守学生運動や日本会議など国粋的国家主義者と言う、日本国民とアジアの民衆にとって許しがたい腐敗集団であるが、彼らの教科書の採用率が低いとはいえ、その運動が他の教科書を、ある程度萎縮させていることも事実である

ハンギョレ紙記者はそのことも憂慮して触れている。