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社会主義革命の展望シリーズ第2段

 

 

(韓国・社会主義労働者連合・ホームペイジ・争点討論08年10月2日付)

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韓国・社会主義労働者連合“どうして社会主義なのか?”を評す

 

 

間違いも多いが、新鮮な提議もある

 

 

柴野貞夫時事問題研究会

 

 

〇韓国の、労働者の階級政党を指向するグループの一つ「社会主義労働者連合」の文書、“どうして社会主義なのか?”を、2回に亘って連載する。

 

〇とうの昔に破産した資本主義国家・アメリカのドル紙幣を、未だ「国際通貨」として使わざるを得ない世界資本主義の命運は、尽きている。

 

〇実体経済の伴わない、証券を中心とする金融市場が破綻し、資本主義世界市場には資本主義国家の浪費商品が溢れかえり、資本家階級は自分達の危機を、全面的に労働者・民衆の犠牲の下で乗り切ろうと死に物狂いだ。

 

〇資本主義の歴史的限界性は、2度の世界恐慌と2度の世界帝国主義戦争で、人間存在と相容れないものとして明白なはずだが、資本家階級によって支配されている労働者階級の側に、彼等を打倒する準備が出来ていなかったばっかりに、その寿命が引き延ばされて来た。

 

〇「社会主義の砦」は、資本主義の歴史的限界が明らかになった時代に、逆にそれに依存する政策によって崩壊した。1988年代、GNPが米欧の七分の一のソ連が、彼等と対等の軍事力を持てば、(ソ連の)国民経済が崩壊するのは当たり前だ。世界の階級闘争に依存するのではなく、軍事力による民族社会主義の防衛は、経済の破綻をうみ、資本主義世界への依存を強めていった。それは同時に、資本主義世界の「社会主義市場」への依存関係でもあった。ソ連圏の崩壊を資本主義の勝利などと考えている資本家階級は何処にもいない。それは、資本主義そのものの危機の反映だったのだ。

 

〇資本主義世界市場に包摂された、一国の枠内での「社会主義建設」は、保守的反動的官僚グループを生み出した。過渡的労働者国家は、世界経済における国際資本家階級に対する国際労働者階級の世界革命によってしか生き延びられなかった。それを放棄したのがスターリン官僚である。労働者民主主義が否定され、国際階級闘争が犠牲となった。そこに「名ばかり社会主義」が生まれ、命運の尽きた資本主義に代わる社会主義の展望に、資本家どもの逆ねじが巻かれてきた。

 

〇アメリカの国債保有高(ドル保有)世界一の中国(労働者国家)が、資本主義世界経済を支えている姿を、我々は、どう理解したらよいのか。

人間存在を否定した資本主義に代わる、社会主義の展望を語るとき、一番重い問題である。

 

〇韓国の社会主義者たちは、この問題に明確に答えているように見える。社会主義の展望を、韓国の労働者階級に向かって呼びかける場合、これを避けて通れない問題として北韓の存在があるからだ。

 

〇かれらは、労働者階級の権力を、職場単位の直接民主主義を基盤とするロシア革命で経験した、「ソヴィエト類型の労働者評議会」に求めた。それは歴史に裏付けられた、一見古いが、みずみずしい提議である。議会選挙と言う「国民的」非階級性によっては、資本家階級の支配は打倒されない。マルクスは、政治的支配秩序は、すでに生産の場における経済的間係の中での支配、被支配の関係の中に存在すると指摘している。

 

〇然し、彼等の提議は幾つかの点で問題がある。北韓や中国の労働者国家が「社会主義と無縁の資本家階級として、搾取と抑圧を強化している」と言うが、用語の社会科学的意味において、彼等を‘階級的搾取を行う資本家階級’と言うのは、‘修飾語’としても使うべきではなく、問題を誤って理解する間違った表現である。中国にしろ、北韓にしろ、現在のこの体制は、韓国の社会主義者が言うように、「社会主義」社会の段階ではないのは当然である。しかし、かれらは、過渡期国家と社会主義国家を混同している。 中国や北韓が、帝国主義世界の影響を受け、常に資本主義世界経済に依存せざるを得ない、いまだ社会主義に向かおうとする「過渡的社会」であることを忘れてはだめだ。その中に、資本主義の異物、資本家、資本主義企業体を抱かえ、社会的不平等をはらんでいる。しかしそれが、国家官僚や党官僚の特権を正当化するものではないが、もしそれが普段に行われているとしたら、道徳的に糾弾すべき社会的寄生と規定すべきものであろう。「労働者国家」は、一国の民族的利益を国際階級闘争の利害の上に置いた時から腐敗し始める。

韓国の社会主義者に求められるのは、この国際階級闘争の歴史と現実中で、今日の「社会主義国家」を批判する視点である。

 

〇彼等の、北韓国家の分析もこの視点から問題が多い。朝鮮戦争で、米帝国主義による徹底した国土の破壊をうけ、今日に至るまで、米国と日本の帝国主義的侵略の脅威と、経済的封鎖のなかで国家を維持してきた歴史的経緯を考えるべきである。「‘米帝国が攻め込んでくる’と言うイデオロギーの流布で労働者を動員するがこんなやり方で生産力を発展する事はできなかった」と述べるが、北韓への絶えざる米帝国主義の侵略行為を否定するこの文言は、韓国社会主義者の思想的貧困と言われても仕方が無い。「北韓支配体制」が「北韓の資本家階級」だと言うならば、「労働者階級が革命的に打倒」する相手は北韓と言う資本主義国家なのか?!イ・ミョンバク軍政参与政権さえそんなことはいっていないぞ。

 

〇主要な生産手段の国家的所有のもとで(労働者民主主義が排除されているとしても)一部の私企業の資本家が、剰余価値を搾取しているとしても、国家と党官僚が「労働者階級を搾取」する事はありえない。また、社会主義の展望が、労働者階級が権力を掌握しても、世界革命を待たなければ、社会主義ではない「過渡的国家」の時期が、長く続くことを説明すべきであろう。それは、一国で誕生した労働者の権力が、絶えず国際的な階級闘争の中で生きてゆかなければ成らない事を避けて語ってはならないと言うことである。中国やヴェトナムの国家と党が、これからも世界革命を放棄し、「社会主義市場」の中で生きていくと言うならば、彼等もまた「資本主義世界市場」のなかで、ロシアと同様、真の資本主義国家に転落してしまうであろう。そもそも「市場」と言う言葉自体、「社会主義」とは無縁であるのだから。

 

〇しかし、韓国の社会主義者によるこの提言、“どうして社会主義なのか?”は、不十分で間違いもあるが、死の苦悶にあえぐ世界資本家階級に向かって、今も、「ルールある資本主義」を「要求」して「批判」はするが、社会主義と言う対案を突きつけられない日本の「社会主義者」の体たらくを際立たせ、論議を巻き起こす文章には違いない。

 



(柴野貞夫時事問題研究会 2008年10月25日)

 

 

 

“どうして社会主義なのか?”(1)

 

韓国・社会主義労働者連合

 


 

 

イ・ミョンパク政府は、検察、警察を前に押したて、社会主義労働者連合にたいする弾圧を開始しました。彼等は、この国で社会主義運動を、さらに進んで蝋燭闘争を含むあらゆる労働者闘争を、殺してしまいたいのです。しかし、彼等の意図とは反対に、むしろ今回弾圧を通して、社会主義に対する大衆の関心が広がりました。いろんな労働者達が、イ・ミョンパク政府の弾圧に反対し、社会主義労働者連合を防御して下さい。

 

我々は、このように政府の弾圧を受け、我々を防御して下さる方々と更に多くの話を交わそうと思います。支配者達が助長した歪曲と隠蔽に隠され、韓国で社会主義はまだ、満足に知られる事は出来なかった。歪曲されない真正な社会主義に対して、さらに多い労働者達とともに対話する為に、この文を準備しました。

 

我々の未来を、イ・ミョンパク政府と資本家たちに委ねて置くことが出来ない事が、日毎明らかになっています。労働者の、労働者による、労働者達の為の世の中を作っていくために、我々は社会主義を対案として提示します。‘アカ(赤)’と、レッテルを貼る資本家階級の醜悪な嘘を取り除きましょう。社会主義の展望に対して真摯に論議して見ましょう。そして、その展望が正しければ、我々とともに闘争しましょう。―社会主義労働者連合・編集者註





@ なぜ社会主義か?

 

 

われわれは、資本主義社会の残酷な現実に、毎日接している。最も近くは、労働現場がそうだ。非正規職が大挙投入され、実質賃金は削減され、労働強度はさらに強化される。‘社員達は家族と一緒’と言う標語が顔負けするように、整理解雇された同僚達の空席がぽっかり空く。労働者たちは、骨身惜しまず仕事をするが、社長は‘収益’が出ないとぶつぶつ言う。

 

視野を少し広げ、他の場所も見渡そう。国会が不正腐敗の象徴となったのは、‘持った者’達から裏金を受け取った奴らの頭の中から、政策が計画される為だ。能力ではなく、へつらいがもてなしを受ける。物価暴騰につつましく暮らす庶民達の後ろには、‘果物ボックス’を準備した輩が、指に唾を付けて金を数えている。そうしては、互いに向かって泥棒だと後ろ指をさして、胸倉を掴む。

 

残酷な場面はさらにある。経済専門家も食い止める事ができない恐慌は全世界で広がって行き、労働者達に苦痛を強要する。米国のイラク侵攻の場合のように、石油資源と覇権を狙った帝国主義侵略戦争で、罪なき民間人達が理由も判らないまま死んで行く。貧乏と飢えることで、倒れる人々の反対側には、売れない産品らと食料が腐って行く。

 

 

〇社会の寄生虫にすぎない、無能力な資本家達

 

 

永遠に、この残忍な資本主義社会で、代を引き継いで暮らさなければ成らないのか?! 普通の人々さえこんな言葉を吐き出す。“ぱっと、ひっくり返ったら良い!”これは、地獄のような資本主義社会とは、全く異なる社会が必要だと言う言葉ではないのか?果たして、資本家達はこの社会を運営する資格があるのか?どうして、資本家達は代案を出さず、悲惨な現実をそのまま維持するだけなのか?

 

資本家達は、社会的代案を作り出さないのではなく、作り出す能力がない。資本家達は、この社会の寄生虫に過ぎないからだ。事実、資本家達がすることは、ほとんどない。生産も労働者がして、運送も労働者がするし、販売も労働者がする。知識教養と言うのは大義名分で、商品と作業に関するアイディアまで、労働者から抜き出す。労働者達がいなければ何もだめだが、資本家たちは、居ても居なくともよい位置を占めている。と言えども、きちんと収益は着服して行く。この様に、労働者に物乞いする者たちが、どんな手際で社会的対案を出すのか!

 

本当に必要なものを作り出しながら、この世上を支える力は労働者階級が持っている。そうである為に、対案はただ労働者階級からだけ出す事ができる。今この様に話さなければならない。“労働者による、労働者の為の、労働者共和国が対案だ。”我々は、これを社会主義と呼ぶ。


〇労働者達が世の中を導いて行けば

 

 

 

労働者階級が、社会を運営する主人と為った時、どんな事が起こるの   か?一握りの富者達だけの為の政策は消えてなくなり、社会構成員多数のための政策が生まれ出るのだ。資本家の為の減税政策ではなく、無償医療と無償教育など、貧しい大衆の為の福祉政策が拡大されるのだ。投機師たちだけに、腹を肥やしてやる不動産政策の代わりに、誰も家の心配なく暮らす事ができる無償住居の政策が導入されるのだ。

少数の豊かな者たちに富が集中される代わりに、工場、事務所、主要施設などが共同の財産となる。労働者達は、共同財産の共同の主人であるから、大事にして発展させて行くのだ。

 

今、資本家達は、科学技術と機械の発展を悪用し労働者を解雇する刃で振り回す。しかし、社会主義社会では、科学技術と機械の発展を通して、労働者達が危険な仕事から解放されるのだ。

労働時間は画期的に短縮されるのだ。これを通して、資本主義社会で労働者達が経験しなければならなかった雇用不安と失業問題は、完全に消えるのだ。社会の権力を労働者階級がしっかり握っている時、労働者達はその権力を自身のために使用せざるを得ない。そうだったら、こんな姿以外の他の世の中を、想像することが出来るだろうか?

 

資本家達は、労働者を搾り取って利潤を得る為、さらに高い賃金を与え労働者を監視、統制、抑圧する、特別な地位の管理者達と政治官僚達が必要であった。しかし社会主義の社会では、絶え間ない搾取が消える。それゆえ、労働者を監視、統制、抑圧するための特権層は、これ以上残っている理由がない。経済管理と行政業務を処理する為に、労働者達は直接自身の代表を選び仕事をさせるのだ。

 

この労働者の代表達は、他の労働者達と同一な賃金を受けて、何時でも交替される事ができ、任期が終れば再び仕事場にかえるために、大衆と乖離(かいり)されたまま君臨することは不可能だ。初めて、(中味のない)殻の民主主義、即ち、持つ者(金持ち)だけの為の偽物の民主主義でない、労働者の為の労働者自身に依る本当の民主主義が実現されるのだ。

 

これが社会主義だ。われわれがこんな社会主義に進まないと言う理由が、一体全体何だろう!

 

 

A 誰が、社会主義を実現する事が出来るのか?

 

 

我々が描く社会主義は、搾取がない社会だ。工場、建物、機械、原料など、生産手段を所有したと言うだけで仕事をしないで富を享受する人々、即ち資本家達がいない社会だ。

自身が働いた程度の代価を受けて、社会の富をどんなに遣うのかについて一緒に決定する社会だ。社会主義に対して話をすれば、多くの労働者達が“成し遂げられさえすれば、それは良いね”と、語る。誰もが良いと考えるこの社会主義を、成し遂げる主体は誰なのか?即ち、労働者達自身だ。

 

人間の歴史は、原始共同体から奴隷制と封建制を経て、資本主義へ発展してきた。新しい社会へ変化する時毎に、新しい支配階級が登場した。奴隷主は奴隷を所有したし、物の様に酷き使った。封建領主は土地を所有したし、農民達を酷き使った。資本主義では、他の人の労働を搾取する事ができる生産手段を、資本家たちが独占している。

 

奴隷主が、奴隷を解放させる意思がなかったし、封建領主が農民を自由にする意思が無かった様に、資本家達は労働者に対する搾取を中断する意思がない。労働者に対する搾取こそ、資本家達の金庫を、ぎっしりと満たしてくれる富の源泉だからだ!

 

 

〇誰も、代わりをしてくれる事は出来ない

 

 

資本主義国家と法も同様に、こんな搾取を解決する意思が無い。現代の国家と法は、資本家の利益の為に資本家が運営する物である為だ。資本主義国家と法に依存しながら問題解決を願うのは、猫に鮮魚店を預ける様なものだ。結局、労働者達が搾取と抑圧から抜け出る為には、自ら団結して闘争し、世上を変えなければならない。

 

資本家たちは、労働者が社会を運営する能力がないだろうと強弁する。勿論だ。労働者は、今の資本主義社会を運営する能力も、そんな意思も無い。資本主義社会を運営する能力と言うのは、労働者を搾取する能力、労働者を弾圧する能力、卑劣に整理解雇して、経済危機の責任を労働大衆に背負わせ、必要ならば大量殺傷武器を浴びせて破壊と虐殺を勝手気ままにすることができる能力であるからだ。

 

ひたすら資本家達だけが、こんな醜悪な振る舞いが出来るのだ。

 

労働者は、生産手段を持っていないから他人を搾取することは出来ない。いや、搾取する必要が無い。だから、搾取を維持する為の政治弾圧を勝手気ままにする理由もない。戦争を業(なりわい)とする理由が無い事は、無論だ。即ち、この為に、他の誰でもない労働者階級だけが、社会主義社会を建設し、運営する能力を持っているのだ。

 

 
B 現実的に、市民主義福祉国家程度なら、評価に値するのではないか?

 

 

社会主義が、理想郷としては良いが、現実的には市民主義(社会民主主義)が可能な対案ではないかと言う主張がある。社民主義福祉国家の代表的な国が、スウエーデンだ。誰もが一度ぐらい行って見たい国、一度くらい暮らして見たらと思う国だ。ところが、本当にスエーデンの様な社民主義国家で労働者達は幸福なのか?

 

2006年に、世界的に有名な電子業体・イレクトゥロルクス(バルレンべリ一族の企業)は、人件費節減の為に生産施設をスエーデンからハンガリーに移転させた。当時、スエーデンの青年失業率は27・5lにもなった。労働者が暮らすのに良いと知られた、代表的な社民主義国家スウェーデンで起こった事だ。さらに多い金儲けの為に、工場を閉鎖し他の国に移してしまう社会は、結局、労働者が幸福になることができる社会ではない。

 

何が問題なのか? 北ヨーロッパの社民主義国家でも、どんな財貨をどんなに生産してどんなに分配するのかを、決定する根本的な権限、即ち、一切の生産手段に対する所有権を、資本家たちが独占的に掌握しているからだ。スエーデンの代表財閥であるパルレンペリ一族企業は、スエーデンの株式市場の40l、国内GDPの30lを占める。

 

社民主義は、資本家たちの排他的所有体制を、決して、根本的に侵害する考えはない。結局世の中を思うままにする資本家たちの社会支配力、依然として、根本的にはそのまま認めるのだ。この為にスエーデンの労働者たちは、頻繁な解雇とそれに伴う新しい職場を求める為の移住過程に苦しんだし、社会支配力が少数にあると言う点に反発した。

 

 

〇依然として、所有権が問題

 

 

北ヨーロッパの社民主義の国家が、韓国より透明経営をして福祉水準が高いとしても、結局は資本家たちが、さらに多い利潤を抜き出す為に労働者を搾取する社会だ。労働者達が幸福になるためには、単に、働き場所だけ保障されるとなる事ではない。社会に寄与する事ができる労働、社会の運営に進んで参加し、決定する事ができる権利が実質的に保障されなければならない。

このためには、何が必要なのか?資本家独裁の源泉である生産手段の所有権を、社会全体に譲り渡す革命が必要だ。社民主義にはこんな展望が無い。単に、富を生産する過程で広がる搾取を、事後に福祉政策として緩和させてくれるだけだ。病を与え、薬を与える体制だ。

 

そのうえ、これでさえ、景気が悪くない時の話だ。世界的に長期不況が持続されて、北ヨーロッパの社民主義国家を、やはりこれに影響を受けるや、‘福祉より効率’‘企業の規制緩和’等を、強調する方向に右傾化されている。今、社民主義の国家らは、‘病を与え、薬を与える’事さえできず、‘病気を与え、薬を奪う’国に後退している。

 

 

 

C 何が真の社会主義か?

 

 

真の社会主義の基本精神は、労働者が世上の主人として、高く聳えて立つことだ。‘労働者階級の解放’の精神が、社会主義の根本であり、社会主義社会とは、抑圧を受け、搾取を受ける労働者階級が、自主的闘争を通して解放を達成する社会を意味する。労働者階級が、工場と事務室など作業場で生産と分配を直接統制するだけでなく、国家権力を自ら運営することを通してこそ、労働者解放は可能だ。

 

そうだから、労働者達が作業場と政治権力の主人でなく、支配者のための身代わりとなって奴隷のように搾取・統制を受けている北韓、中国等の国は、社会主義の名前を盗用する資格が少しも無い。さらに、労働者解放は決して誰かによって、例えば、大統領や国会議員、またはキム・イルソン、キム・ジョンイルによって贈り物のように与えられるものではない。社会主義は、労働者階級自身の自主的運動を通してこそ、争取する事が出来、維持することができる。

 

 

〇偽の社会主義

 

 

われわれは、1930年代以降のソ連、そして北韓と中国などに対して、社会主義と認めない。社会主義を‘労働者階級の自己解放’であるとともに‘労働者が主人となる世上’を展望する時、これら社会は社会主義となんらの間係がない。労働者・民衆を欺瞞し抑圧と搾取を正当化するために、社会主義と言う殻をかぶっているだけだ。

 

社会主義は単純に国有化体制ではない。万一、国有化体制が社会主義であれば、資本主義の国々でも見ることができる国有企業は、社会主義体制の一部である(ことになる)。資本主義で、国有企業と公企業

の運営統制者は、労働者・民衆ではなく即ち資本家国家の官僚達だ。これらは、直・間接的に資本家階級の利益の為にこれらを使用する。公共部門の労働者達は、なんら統制権も、権限も持つことは出来ない。その代わり随時に、構造調整に遭い解雇されて非正規職に転落する。

 

これと一緒のことが北韓、中国、旧ソ連などで起きた。そこに国有化された工場、事務室などは、全て国家官僚の集団が、労働者達を抑圧し搾取するのに奉仕する手段であるだけだ。工場と事務室を国有化する措置が進展する社会主義的措置となるためには基本的に二つの前提が必要だ。

 

最初に、国家権力を資本家階級の手中から剥奪し、労働者階級に移転しなければならない。労働者達が作業場単位で選ぶ代表者達によって構成され労働者達の選出、召還権が完全に保障される‘評議会類型の労働者政府’だけが、労働者階級の権力となることが出来る。

 

二つ目に、あらゆる作業場で、労働者達の生産統制委員会が実質的運営権を掌握しなければならない。こんな革命的で政治的な措置、即ち誰が国家権力の主人となるべきかを、問う措置を通じてこそ初めて、国有化された体制は社会主義的所有の一部と成る。

 

 

 
D 1991年のソ連解体が、社会主義の失敗を意味するものではない、と言うのは?

 

 

 

右翼達は、1991年ソ連が崩壊するや、“社会主義の実験は失敗に終った”とし喜んだ。しかし、これは深刻な無知でなければ、狡猾な嘘に過ぎない。

 

1920年代末から30年代を経てソ連のスターリン官僚集団は、1917年10月革命が打ち立てた労働者権力、即ち、労働者評議会(ソヴィエト)の機能を徐々に麻痺させてきた。これに抵抗する労働者達と革命家達を虐殺、暗殺、流刑、追放した。スターリン官僚体制に反対する革命的言論を禁止させ、集会・結社の自由を封鎖した。ソヴィエト大会は、全く開かれる事もないこととなった。これは、労働者権力を内部から分解させる過程であり、他の言葉で‘反革命’と言う。

 

労働者権力の中枢であるソヴィエトが、首を絞められ死に直面した以後、ソ連には労働者国家だとするに値するものが、これ以上残っていなかった。当時、その反動的性格だけが日毎に強化され、ならんで、その矛盾も更に成長した。数十年間維持されたこの官僚資本家社会は、これ以上耐えられない事となった大衆の、下からの抵抗、そして官僚集団内部の派閥闘争によって分解された。これが、はたして社会主義労働者国家の分解であるか?決してそうではない。それは、亡骸(滅ぶ事)こそふさわしい官僚資本家集団の没落だっただけだ。

 

これに対して、わが労働者階級が悲痛でなければならない理由は決してない。むしろ悲痛な事は、大衆の憤怒が第二の社会主義革命として実を結んだのではなく、官僚資本家体制を通常的な資本主義体制に変化させた事で終わり、中断したと言う点だ。

 

 

しかも、1990年代以後ロシアで、国家権力と生産手段を掌握した者達は、実際にスターリン官僚集団の一部だ。数十年間、労働者達を抑圧した他ならぬ、警察、公安機構、軍隊の責任者等が、そのままロシアを操っている。労働者達を搾取した支配者等が、官僚資本家から私的資本家へ衣服を着替えた。単に、資本主義の形態だけ変えただけで、その本質は変わらなかった。

 

 

E 北韓は、一体全体なんであるか?

 

 

北韓は、工場、土地、建物など資本を国有化したし、これを社会主義革命だと主張した。しかし、北韓で指向された国有化は、社会主義的国有化ではなかった。北韓に入ったキム・イルソン(金日成)権力は、1917年のロシアのソヴィエトや、1871年のフランスのパリコミューンの様な、労働者階級の自主的であって大衆的な権力でなく、急進的民族主義者の権力に過ぎなかった。北韓の国有化措置は、キム・イルソン権力の経済的基盤を安定化し、労働者大衆に対する搾取と統制を強化するための手段だっただけだった。

 

北韓で、官僚制はロシアでの様に、労働者国家を破壊する反革命を通して、徐々に姿を暴露するのでなく、最初から明白に現れた。北韓には、労働者革命もなかった。当然、労働者の権力も存在しなかった為だ。

 

キム・イルソンは、パク・ホンヒョン等政治的反対派達を大挙粛清しながら、党と政府の中で批判を源泉封鎖したし、絶対権力を建てて行った。ロシアソヴィエトと似た形式の人民委員会があったが、これは形式でだけ、ソヴィエトを模倣するだけで、労働者達の、生きて行く直接民主主義の機構ではなかった。

 

その上、初期にある程度、許容された労働者達の下からの召還、選出、弾劾の権利が、徐々に有名無実化し始め、キム・イルソン支配分派の

命令を、忠実に履行する単純執行機関に転落して行った。北韓で政治の主人は、キム・イルソンと彼に追従する少数の官僚たちだった。多数の労働者達と被搾取勤労人民は、政治から疎外され対称化された。帝国主義の侵略の脅威を口実として、大衆の上に君臨する常備軍を恒久的に維持させたし、軍隊の中で官僚的統制を進化させて来た。

 

 

〇北韓でも、労働者は搾取と抑圧の対象であるだけ 

 

 

官僚達だけが中心だった北韓で、労働者の創意と自発性、参与を引き出すことは、不可能だった。

初期には、‘米帝国主義が攻め込んでくる’と言うイデオロギーの流布と強圧で、北韓労働者達を、強度の高い労働に動員しながら、生産力を発展させる事ができた。しかし、こんな士気と強圧だけで生産力を継続発展させる事は出来なかった。

 

特に、強度の高い労働の結果物が自己自身に返らないと言う点を察知することとなるや、労働者達の生産の熱望は、どうしようもなく縮小された。70年代以後から、特に80年代からの生産性は、私的資本主義にも至る事が出来ない程度に落ちたし、とうとうマイナス経済に転落した。そうであるほど、北韓の資本家階級は労働者に対する搾取と抑圧を強化していった。

 

この様に、北韓は誕生する時から今まで、労働者の社会主義とは如何なる関係もない。北韓は、世界労働者革命の敗北(ドイツ労働者革命の失敗から始まって、ソ連で労働者権力が破壊され、スターリン官僚集団の反革命が勝利する時にまで進んだし、結局、コミンテルンを簒奪した後、ブルガリア、東欧、中国、韓半島に広がっていった敗北)の直接的な結果物だ。北韓は、この(世界革命の)敗北の不可避な結果として誕生した世界的官僚体制の一つの部分だ。

 

この為に我々は、北韓を支持する民族主義者たちに対する政府の弾圧に絶対に反対するが、北韓支配体制に対するどんな支持も断固として拒否する。我々は、スターリン官僚集団支配下のソ連に対して適用する立場と全く同じく、北韓支配体制を、労働者階級が革命的に打倒しなければならない反動体制として規定する。

 

 
F 我々は、如何なる社会主義と政党を指向するのか?

 

 

社会主義は、官僚主義的接近を徹底的に排除する。社会主義社会は、労働者階級の自主的であって、創造的な活動の産物であり、それを除外した他の方式では決して実現する事は出来ない。昔のソ連などの没落また堕落は、それを現実に、はっきりと見せてくれる。社会主義労働者連合は、パリコミューンとソヴィエト類型の、民主的で自主的な労働者大衆の権力だけを、我々が指向しなければならない社会主義社会の基準として規定する。

 

我々が追求する国家は、‘労働者階級の権力’である。

社会主義革命は、圧倒的多数の生産者としての労働者階級が、全面的で能動的に参与し、ひたすら、これらの主導権と能動性に基礎を置いた国家を建設する事で始めて勝利する事が出来る。ひたすら、労働者権力によって達成される国有化だけが、はじめて、社会的共同所有を成し遂げると言う事が出来る。

 

進展した労働者権力は、ソヴィエト類型の国家のように、生産者達が工場と事務室など、作業単位に基礎をおく労働者国家を建設する事で樹立することができる。労働者国家は、ソヴィエト類型の労働者・民衆の自主的機関として構成する。この国家は、労働者・民衆の権力としてあらゆる管理を、下から選出・召還・統制し、立法・司法・行政を単一にし、結合させる。この労働者国家は、労働大衆が主導し統制して運営されると言う点で、これ以上通常的国家ではなく、すでに‘共同体社会’の性格をあびる・{次号に続く}

 

(訳 柴野貞夫)




 

参 考



☆ 社会主義労働者政党建設準備会合の出帆 (韓国・チャムセサン紙 10月11日付け)


☆ 社会主義労働者政党建設準備会合の出帆 (韓国・チャムセサン紙 10月11日付け)


“階級政党の建設が至急”対、“現場の実践が先” (韓国・民衆言論チャムセサン 2008年2月14日付け) 下部に解説あり



☆ 社会主義労働者政党建設準備会合の出帆 (韓国・チャムセサン紙 10月11日付け)