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(民衆闘争報道 <沖縄―高江・米軍ヘリパット基地反対闘争現場での大阪府警機動隊員による差別発言を糾弾する20161021日)

                       抗 議 声 明

 
   沖縄―高江 米軍ヘリパット基地反対闘争現場での
       ● 大阪府警機動隊員による「土人」「シナ人」差別発言を糾弾する
       ● 松井大阪府知事による「表現が不適切でも・・・ご苦労さん」発言を弾劾する


大阪府知事      松井  一郎 
大阪府警本部長  村田 隆 


                                          奈良沖縄連帯委 代表 崎浜 盛喜
                                            連絡先奈良市法蓮町432−
                                               TEL  0742-34-7001
                                               FAX 0742338154

                                                   (2016年10月21日

●沖縄県人を「土人」「シナ人」と差別発言をした大阪府警機動隊員

 10月18日、沖縄の米軍北部訓練場のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の建設工事強行に反対する市民運動の仲間達に対して、弾圧を繰り返していた大阪府警所属の機動隊員が「触るな どこつかんどるんじゃ、ボケ、土人が」などと卑劣な差別発言を投げつけた。さらにこの暴言の前に同じ大阪府警の隊員が「黙れ こら シナ人」と発言した。
 翁長沖縄県知事は「言語道断で到底許されるものではなく、強い憤りを感じている」「相当さげすんだ言葉」と強く非難、抗議を行った。沖縄県警の池本本部長は「言い訳もできない。県警にも大きな責任がある」と謝罪した。警察庁の坂口長官は「機動隊員の発言は不適切であり極めて遺憾。今後、適切な警備を行うよう指導を徹底してまいりたい」と謝罪した。
 しかしながら、当事者である松井大阪府知事は、自分のツイッターで「表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたことがわかりました。出張ご苦労さん」などと書き込んでいる。また、記者会見においては「売り言葉に買い言葉」「相手もむちゃくちゃ言っている」などと発言した。
 この発言に対して日本維新の会沖縄県総支部は「発言は完全に不適切。代表がこういう発言をしたことに厳しく抗議する」と表明した。
 あまりに人権意識が欠如した発言であり、怒りを禁じ得ない。


●よみがえる「人類館事件」の悪夢
「琉球人、アイヌ人、中国人、朝鮮人、台湾人等」の女性を
見世物にした第5回内国勧業博覧会


 この警察官による差別発言は、「不適切」ですまされるものではない。我々沖縄人と県民には、あの1903年の「人類館事件」の悪夢がよみがえってきた。大阪で開催された第5回内国勧業博覧会において、「人類館」なるものが会場に設置され、「琉球人、アイヌ人、中国人、朝鮮人、台湾人等」の女性が「展示」され、見せ物のごとく扱われた。日本の植民地主義を露呈する極めて卑劣で、悪質な差別事件そのものであった。
 さらに、戦前の大阪市内に於いては「求人 ただし朝鮮人、琉球人お断り」の露骨な差別があったことも脳裏に焼き付いて離れることがない。
 1899(明治32)年には「北海道旧土人保護法」が制定された事をあわせ考えると、「土人」は、明らかに先住民族に対する蔑称に他ならない。
 さらに「シナ」とは、日本が中国を侵略した時代に、その侵略を正当化するために、中国(人)を蔑む差別用語として使われたことも疑う余地がない。

●問われる大阪府行政・府警の人権意識

 差別発言を行った警察官は「公務員」だ。警察法は、「不偏不党且つ公平中正を旨とする」と規定している。憲法第14条には「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」、さらに第99条では「公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と謳っている。
 大阪府の警察官の差別発言は人道にもとる発言であり、且つ公務員として断じて許されないヘイトスピーチそのものだ。警察官の動画における表情は、憎悪に満ちあふれており、見るに耐えない。今回の差別暴言は単に個人の責任ではなく、個人を処分すれば解決する問題ではない。大阪府警、大阪府行政の人権意識、差別体質が問われているのだ。

●沖縄への植民地意識から出た差別発言

 現在東村高江にはすでに2カ所のヘリパッド基地が建設されている。住民達は離着陸するオスプレイの殺人的騒音や山火事、墜落の恐怖にさいなまされる生活を余儀なくされている。さらに4カ所の基地が建設されれば生活が不可能となり、故郷を追われ故郷が廃村になることは疑う余地がない。日本国憲法前文には「われわれは、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とある。高江(沖縄)には、この平和的生存権が認められないのか。憲法よりも米軍基地建設と警察権力の暴力的弾圧が優先されているのだ。
 高江の人々は平和な生活を守るために2007年以来反対・抗議行動を行ってきた。 この住民の抗議、反対運動に沖縄県内や全国から支援者が駆けつけて共に建設工事中止の抗議行動が毎日展開されている。これに対して全国から派遣されてきた機動隊の横暴、強権的暴力的弾圧は目に余るものがある。不当な車両検問、市民やマスコミ関係者の排除、あろう事か自衛隊ヘリまで投入してヘリパッド建設を強行しているのだ。抗議する市民に襲いかかり多数の負傷者と不当逮捕者が続出している。
 このような悪辣な警察権力の暴力行使を容認し、命令を出している張本人が日本政府=安倍政権であり、その尖兵が沖縄防衛局であることは明々白々だ。
 その副司令官といえる菅官房長官はこの発言は「許すまじこと」と答えながら、差別意識については「全くないと思う」と発言した。明らかに矛盾した発言だ。
 さらに鶴保沖縄担当大臣は、「人権問題と考えるのではなく」「これは間違っていますよ」という立場にない、と公言した。これが人権問題でないとしたら、人権問題の事例を示して貰いたい。沖縄担当大臣どころか国会議員の資格さえないと言わざるを得ない。
日本政府は、「琉球併合」(琉球処分)以来の沖縄に対する植民地意識がこの「土人」発言の根底にあることを真摯に、深刻に受け止めるべきだ。
 あなた方はもう忘れてしまったのか。翁長県知事が那覇市長だった2013年1月、沖縄の全市長村長が米軍輸送機オスプレイの配備反対の建白書を持って安倍首相に訴え、東京でデモ行進を行った時、沿道の右翼連中から「非国民」「中国のスパイ」「日本から出ていけ」などと屈辱的、侮辱的暴言を浴びせられた、あのヘイトスピーチを。


●沖縄の願いは、人権と民主主義の尊重
日本の、人権を無視する構造的差別問題としての差別発言


 沖縄は、1879年明治政府の武力による「琉球併合」、1945年の「沖縄戦」で日本帝国(天皇制)防衛のために「捨て石」にされ、1952年のサンフランシスコ講和条約で日本の独立のために沖縄が米国に売り飛ばされ、さらには1972年の沖縄密約返還によって半永久的米軍基地の島とされた。まさに、日本国と国民の防衛のために犠牲を強いられてきた。
 現在も 沖縄に米軍基地の74.48%が集中し、戦後71年もの長い年月にわたって人権が蹂躙されてきた。なお辺野古や高江に新たな軍事基地が建設されようとしている。全く理不尽そのものであり、沖縄になお一層軍事基地を押しつけることは決して許されない。沖縄人と県民の痛み、沖縄の人々の心に寄り添う事無く沖縄の人々を踏みつけてなお無理解で厚顔無恥な日本政府と本土の人々。沖縄に犠牲を押しつけてきた日本社会全体の人権を無視する構造的差別問題としてこの差別発言を問い直さなければならない. 国の政策に反対するもの、逆らうものはすべて「非国民」なのか。
 名護市長選、県知事選、衆議院選、そして本年7月の参議院選。すべての選挙において沖縄県民は「普天間基地の早期返還」「辺野古新基地建設反対」を選択し、沖縄の民意を明らかにしてきた。そして高江のヘリパッド建設反対も沖縄の民意そのものだ。この民意を尊重することが民主主義ではないのか。
以上の観点から、改めて松井一郎大阪府知事並びに村田隆大阪府警本部長に対して以下の点について強く要求する。
 1.「土人」「シナ人」発言は明らかに差別発言であり、沖縄県と県民に明確な謝罪を行うこと。
 2.大阪府行政・府警における人権啓発、人権教育の現状とこれからの対策について明らかに   すること。
 3.大阪府警機動隊員を沖縄から撤退させること。 
                                                             (以 上


<関連サイト>

☆ 翁長沖縄県知事と県民を愚弄する朝日放送の差別報道を糾弾する(2015年11月5日)
http://www.shibano-jijiken.com/nihon_o_miru_jijitokusyu_127.html

☆ 朝日放送に対する再度の抗議および謝罪要求(2015年12月8日)
http://www.shibano-jijiken.com/nihon_o_miru_jijitokusyu_130.html

☆ 大阪朝日放送の沖縄差別番組に対する放送倫理検証委員会・放送人権委員会への申立書 (2016年1月15日)
http://www.shibano-jijiken.com/nihon_o_miru_jijitokusyu_131.html

☆ 沖縄の米軍属による凶悪事件(20歳女性へのレイプ惨殺)に満腔の怒りをもって抗議する (奈良−沖縄連帯委員会 2016年6月14日)
http://vpack.shibano-jijiken.com/nihon_o_miru_jijitokusyu_137.html

☆ 奈良県議会で[沖縄での米軍属による女性死体遺棄事件に関する意見書]を採択 (2016年6月21日)
http://vpack.shibano-jijiken.com/nihon_o_miru_jijitokusyu_139.html

☆ 安倍<沖縄慰霊の日>行事で恥をかく(韓国・ハンギョレ 2016年6月23日付)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_536.html