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韓国ネット言論・PRESSIAN−国内ニュース 2012年6月20日付 )
http://www.pressian.com/article/article.asp?article_num=30120620173012&section=03

            危険千万な、コリ(古里)原発1号基の再稼働の試み

             

                             [
キム・ヘジョン 環境運動連合−エネルギー気候委員長]


福島原発惨事は、電源供給が中断され、核燃料を冷却させる事が出来ず発生した。核発電所は、核分裂時に発生する原子炉内の熱を、冷ましてやる冷却水が供給されなければ、福島での様に、原子炉が溶け落ちる炉心溶融事態が発生し得る。
ところが去る2月、我が国のコリ原発1号基で、12分間も電源供給が中断される事故が発生した。
外部電源供給が断たれ、2台の非常ヂーゼル発電機まで、稼働を止める事態が起こったのだ。まかり間違えば、福島と同じ大型惨事に繋がり得る事故であるのに、現場作業者達は非常警報を鳴らさなかったし、原発首脳部は事故を隠蔽した。本社である韓国水力原子力(韓水原)と、監督機関である原子力安全委員会(原安院)は、自治体の或る議員によって知られる前まで、ひと月過ぎるまでこれを分らず、事故は放置された。
稼働初期から、事故と故障が繰り返されたコリ1号基は、国内全体の原発故障・事故の20パーセントが集中されるぐらい、問題だらけの原発だ。
今回が実に129回目で、毎年平均34回ずつの事故が発生した。コリ1号基は、去る2007年、設計寿命を延長する当時にも、原子炉が破壊試験を耐えられないとすぐ、非破壊検査である超音波検査を通じて、便法で寿命を延長した。
人間で言えば、組織検査で癌診断がでたのに、超音波検査を通して癌ではないと言う判定をした理屈だ。さらに35年目の運営中である、老朽化されたコリ1号基の圧力容器は、ガラスの様に壊れやすい危険な状態に置かれている。



▲去る11日午前、釜山機張郡長安邑−古里原発前で、反核団体会員たちがコリ1号機の閉鎖を要求する記者会見を開いている(写真 ヨンハップニュース)

IAEA(国際原子力機構)の安全性検査、信頼出来るのか

コリ1号基の重大事故と本質的欠陥にも拘わらず、政府は再稼働を推進している。韓国水力原子力は、国際原子力機構(IAEA)を呼びいれて、安全調査をする事とした後、これを通して再稼働の名分を得ようとした。
さる11日、IAEA調査団が1週間の調査を通じて'コリ1号基の発電設備の状態が良好だ'と発表するや、いくつかの保守言論は、待っていたと言う様に、再稼働の雰囲気をつくりあげた。
しかし、環境団体、地域住民、プサン(釜山)市の反論は無論、原子力安全委員会のカン・チャンスン委員長さえ、"調査団8名が来て、1週間調査して何が出来るのか"とし、"コリ原発1号基に対する、IAEAの調査結果を信頼できない"と語った。
事実、IAEAの(無理に)合わせる式の発表は、昨日今日(きのうきょう)の事ではない。
IAEA
は、国内で、核関連安全性論議がある毎に、韓水原と政府が伝家の宝刀の様に利用して来た集団だ。
去る2007年、コリ1号基寿命延長の安全性評価、慶州の中底位放射性廃棄物処分場敷地の安全性評価、クルオプ(掘業)島(訳注→仁川広域市甕津郡の西にある島)の核廃棄場敷地の評価を通じて、当時大きく、社会的論議となった事件毎に、IAEAは(それが)安全だと免罪符を発行してやった。

しかし、慶州の防弊場(害を防ぐ場所の意)は、軟弱地盤のせいで、13000tの地下水が漏れ出てくる問題で、30ヶ月の工事期間が3回にわたり84ヶ月に延長されたのであり、クルオプ島の核廃棄場は、IAEAの調査数か月後、政府によって公式的に、敷地として適合しない活断層が発見され、建設計画が白紙化された。いまだに事故が継続されているコリ1号基は、今さら強調する必要もない。

事故の危険性直視して、代替え方案を探そう

コリ原発の半径30kには、340万名の人口が密集している。高層ビルデイングとアパートがびっしりと立て込んだヘウンデ(海雲台)が、ほんの20k半径にある。全世界的に、人口がこの様に密集された所に5基の原発が稼働中であり、7基が建設中であるとか計画中である国は、我が国だけだ。事故が出た場合、その被害も深刻にならざるを得ない。
環境運動連合が去る5月、日本の関西学院大学のパク・スンジュン教授と研究調査した原発事故被害模擬実験では、コリ1号基で事故が出れば、1年内に急性死亡で85000名が死亡し、最大85万名が癌で死亡すると言う結果が出た。
事故収束と廃炉、また汚染除去などを除外して、人命被害による損失額と避難費用だけで、628兆ウオンに達するものと明らかになった。
35年前、朴正熙政権が民族中興の火だとして崇めたコリ1号基が、今は我々の生命を危険にする時限爆弾となった。
政府と韓水原は、夏季電力難を口実に、コリ1号基の再稼働を推進するが、コリ1号基が全体の電力供給で占める比重は、1パーセントにしかならない。

福島事故以後、日本社会が全体の原発54基を中断しても、大規模停電事態なしに過して来た事から見るように、エネルギーの需要管理と体系的な節電システムを通して、コリ1号基は代替えする事が出来る。国民の79パーセントがコリ原発閉鎖を要求している。
福島と同じ事故を防ぐ為、脱核で行く再生可能なエネルギー社会への転換の為に、コリ原発1号基は即座に閉鎖されなければならない。

                                            (訳 柴野貞夫 2012621日)


<関連サイト


☆313 戦争の道具となった国際原子力機関(IAEA) (韓国・チャムセサン 2011年11月13日付)

☆337 福島になるところだった、コリ(古里)原子力発電所の起動中断隠蔽 (韓国・チャムセサン 2012年3月14日付)

☆294 福島の悪夢は進行形だ (韓国・PRISSIAN 2011年8月18日付)