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(韓国民衆言論 チャムセサン<真実の世の中>2014730日付)http://www.newscham.net/news/view.php?board=news&nid=79535&page=1&category1=38

 

 

どうして、ハマスは休戦協定案に判を押さないのか?

 

<ガザ封鎖>に手をつけない、米欧と国連は、ガザの監獄化と、イスラエルによる人種清掃政策に手を貸している


● 停戦協定案は、パレスティナ・ガザの人々の、現在と未来を全く変える事が出来ない、欺瞞的な紙切れに過ぎない。
  イスラエルによる<ガザ封鎖>は、人間として保障されなければならないガザの人々の生命の質を、甚だしくかけ離れたものにしている。
● イスラエルの不法占領と封鎖によって、‘死ぬ事と違うところが無い’とまで言う、絶望的な人生が、パレスティナ・ガザで継続されている。

                                            パレスティナ平和連帯

 

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    730日、ガザシテイーで、イスラエルがこの3週間の中で、最大の無差別爆撃を加えた(出処 AP=連合通信)

  

    

▲ 728日 イスラエルによるガザの遊び場爆撃で負傷した子供

 

 

イスラエルが、パレスティナ・ガザ地区を侵攻してから3週に入って、死亡者数は既に1200名を一気に超え、負傷者数も6500名を超えて、215千名が行き場無き国内失郷民となった。

少し前から、西岸地区でガザ空襲を糾弾し行進した人々にまで、イスラエル軍が実弾を発砲し、死亡者が続出している実情だ。イスラエルは、53名の軍人と2名の民間人が死亡し、連日メディアは、イスラエルとハマス間の血をはねる殺戮戦として描写している。人々は訝しく思っている。どうして互いに憎悪を収めないのか?どうしてハマスは、イスラエルとエジプトが出した休戦協定案を拒否するのか?本当にハマスが、民間人を人間の盾として使っているのではないか?

● 問題は、イスラエルのガザ地区封鎖だ

715日、エジプトが仲裁しイスラエルが賛成した休戦協定案を、ハマスが拒否した。一見すると、その場の虐殺を中断させる事が出来る機会を、ハマス自らが、無にした様に見える。しかし、何故ハマスは協定案を拒否したのか?

即ちこの協定案が、パレスティナ・ガザの人々の、現在と未来を全く変える事が出来ない、欺瞞的な紙切れに過ぎないからだ。

イスラエルは、2006年のパレスティナ総選挙でハマスが勝利し、ガザ地域で執権する事となるや、翌年、ガザ地区を全て閉鎖した。

無論、ガザ地区と国境が接しており、イスラエルの篤実なパートナーであるエジプトの助け無しには、不可能であっただろう。封鎖は、徐々にガザ住民達の息の根を止めて来た。360平方キロメイターで、ソウルの面積の60%程度の狭い地域に、180万名が密集して住むガザ地区内では、物資の搬入が禁止されてきた。

封鎖以後、エジプトへ連結される地下トンネルは、幾何級数的に増えていった。今、イスラエルが空襲の名分とする地下トンネルは、一部イスラエル側に繋げられているが、大多数は食料品、医薬品、工業製品のような基本的な物資供給の為の通路であり、ガザの人々は、ここに徹底的に依存する他はない状況だ。

この様な生命線を、イスラエルとエジプトは  周期的に破壊しており、1300余個の地下トンネルが既に破壊された。

この様な封鎖の中で、水の汚染(95%が飲用水として不適合)、貧困化(ガザ人口の60%が貧困線以下)、慢性疾患の露出、基本的なインフラ不足など、人間として保障されなければならない生命の質は、甚だしくかけ離れて劣る事になった。

この現実を反映する様に、ハマスは少し前、休戦協定に先立ち、イスラエルに、ガザ封鎖を解き基本生存権を保障せよと要求条件を出した。

しかしイスラエルは、これを受け入れないと応酬し、729日ネタニャエフ総理は、対国民演説で、任務を完成する時まで爆撃を継続して浴びせると言って、イスラエル市民達に長期戦に備えよと言うまでした。

彼が言う長期戦には、学校、病院、モスク、遊び場とその中に居る子供達と障害者達      を含んだ民間人と言う‘付随的被害’が含まれるのは自明のことだ。

● ハマスの休戦10大要求条件

@ 相互の戦争停止、国境地域から戦車撤収、国境地域の農民達が、自分の土地で農業が出来るように(保証する事)
A  2014623日(イスラエル少年達の失踪)以後、拘禁された全てのパレスティナ人を釈放する事。特にエルサレムとガザ、イスラエル内のパレスティナ人 収監者達を釈放すること。
B  ガザ封鎖を完全に解除し、物資と人々に国境を開放すること、あらゆる食料品と、工業製品の供給、ガザ全地域の電力需給に、十分な発電施設建設を許容すること。
C  国連と中立的な諸国家が監督する、国際港、また国際空港の建設(を保証すること)。
D  海洋漁労地域を10kmまで拡大し、漁夫達により大きな漁船と貨物船の供給(を許容すること)。
E  ラパ(Rafah)国境検問所を、国連とアラブ国家、また、その他の友好諸国家の監督を受ける国際管理の国境検問所として転換すること。
F  10年の休戦協定に調印し、国際監督官を国境に配置すること。
G  パレスティナ領空を侵犯せず、アルアクサ寺院に礼拝に行く事が出来る条件を緩和させること。
H  イスラエルがパレスティナ政府の業務に干渉せず、パレスティナ統合政府の論議を妨害しないこと。
I  国境地域の産業地区を再建し、ガザ地区の経済発展を増進すること。

  休戦協定を、先に破ったのはイスラエル

実際に、2012年、双方間の休戦協定後、今年7月までの攻撃の様相、また死亡者、負傷者に関するデータとパターンを見れば、イスラエルの休戦に関する偽善を容易く確認する事が出来る。協定以後、イスラエルの協定違反(攻撃)は、計11回であるが、攻撃を受けた西岸地区を含むガザのパレスティナ人達の内、10%が死亡し、42%が負傷した。反対に、ハマスの協定違反は計75回で、この内4%が負傷を負ったが死亡者数はない。当時死亡した人々は、ガザ海岸で仕事をしていた漁師達も含まれる。特に休戦協定後、3ヶ月間、ガザから発砲されたミサイルは無く、2回の迫撃砲攻撃があったが、反対にイスラエルからは、数十回の攻撃で4名のパレスティナ人の死亡者と91名の負傷者を生んだ。

この様に、双方が協定違反をしているが、イスラエルの攻撃が、遥かにもっと頻繁で、致命的に勝手気ままに行っている事を知ることが出来る。

特に今回のガザ侵攻で、ハマスがイスラエルに加えたミサイル攻撃に対する視点とパターンを見ると、イスラエルが自国の少年3名を拉致して殺害した背後をハマスに置きながら、パレスティナ人に対する大々的な弾圧以後の、或いはイスラエルの先制攻撃に対する応酬が、大部分である事がわかる。

イスラエル捜査当局は、25日、拉致殺害の犯行が、ハマスではないと明らかにしたのに、イスラエルの周期的なガザ空襲の名分を何処に探すのか、失笑を禁じ得ないだけだ。

  パレスティナは、誰よりも平和協定を願っている

パレスティナの誰も、今の虐殺が続く事を願っていない。しかし、今日の虐殺が来年、再来年にも継続され、死ぬことと違うところが無いとまで言う、絶望的な人生が、イスラエルの占領と封鎖の中で継続されれば、果たして我々が、屈辱的な協定文に判()を押すことを(ハマスに)強要することが出来るのか?
イスラエルの不法な占領下で、米国を始めとする西欧の諸国家と無能な国連は、平和を云々し、イスラエルとパレスティナ間の平和協定を促すが、パレスティナ人達は、協定がむしろ自分達の未来を、もっと、縛って来た事を見届けて来た。

20年間、イスラエルとパレスティナ間の平和会談の実像を見よ。

93年、95年のオスロ−1、2次協定を通して、多くのパレスティナの人々が期待した協定の実像は、難民の帰還権、不法定着村(入植地)、エルサレムの問題を、こっそり取り除いた後、むしろ西岸地区を、bantustanバンツースタン、訳注―1993年まで、南アフリカ共和国政府の政策として行われていた半自治・黒人居住区)にしてしまい、すでに力関係が明白となった状況の中で、パレスティナの指導部は、自分達の国旗をイスラエルによって貰った代わりに、パレスティナを監獄にしてしまった。

パレスティナの自治権は、まさに‘輝きの良いケサグル(訳注―見た目はよいが、食べると渋い−満州杏の様なものと言う比喩)に過ぎなかった計算だ。

その間、パレスティナ内のイスラエル不法定着村(入植地)に居住するイスラエル人達は二倍に増え、エルサレムでは、絶える事なく、パレスティナ人達の強制放逐が行われており、440mの分離障壁が西岸地区のグリーンのラインの中に建設されたのであり、522個の検問所と障壁が生まれ、帰って行くのを待つ難民は、720万名に増え続け、7年の間ガザ地区は、封鎖されて来た。

  イスラエルの非人道行為を擁護する卑劣な米国と、どんな制裁も加える事が出来ない、無力なパン・キブン事務総長

2008年〜09年の約2週間に、1400余名の犠牲者を出したガザ空襲後、ガザ地区を訪問し、この事態が国際社会の共同の政治的失敗だとし、当時の訪問の結果を米大統領と共に各国の指導者達と共有したと言うパン・キブン国連事務総長は、今、イスラエルとパレスティナ双方が全ての交戦を止めなければならないと言う声明のみ発表するだけで、イスラエルに対する、どんな制裁も加えない無力な姿を見せている。米国もまた、両非論的なゼスチャーをとる様に見せるが、イスラエルの自衛権を擁護するとしながら、23日、ジュネーブで開かれた第21次国連人権理事会で、イスラエルの攻撃中断を促す決議案に堂々と拒否権を行使する卑劣な姿を見せた。韓国はやはり棄権をして暗黙的にイスラエルの虐殺に同調したわけだ。

この様な風景は、あまりにも、慣れ親しんで繰返されて来た事を見て来た。更に、これ以上、イスラエルがパレスティナ人達を人間の盾として使うことを目撃することは出来ない。

今の虐殺を止めるのは、平和会談や、休戦協定案みたいなものではない。

イスラエルの、絶える事なき占領の悪循環を断ち切る様に、国際社会でイスラエルを多角度に圧迫する事で、パレスティナに連帯しなければならない。

イスラエルの占領に連座する企業に対する強い糾弾と、投資撤回を、占領地で生産された品物をボイコットし、国際機構の次元では強い制裁を加えなければならない。

 

(訳 柴野貞夫 2014731日)

 

 

<参考サイト>

● パレスティナに対するイスラエルの戦争犯罪と、イスラエル建国自体の、歴史的非正当性に関する参考記事
☆ 136 “イスラエルは今、‘人種清掃’の最中だ” (韓国・チャムセサン 2009年1月14日付)

☆ 131 イスラエルの五つの嘘 (韓国・チャムセサン 2009年1月6日付)

140 (パレスチナ)監獄国家を、越えなければならない (韓国・チャムセサン 2009年2月3日付)

☆ 142 ガザ地区空襲の共犯、オバマの黒い帝国主義 (韓国・社会主義政治新聞 ”解放” 42号)

● 200812月〜20093月 イスラエルのガザ侵攻の参考記事
☆ 149 イスラエル軍人‘(パレスチナ・ガザ)民間人虐殺’告白の波紋 (韓国・ハンギョレ 2009年3月20日付)

☆ 138 灰燼から、また立ち上がるガザ (韓国・チャムセサン 2009年1月23日付)

☆ 128 民間人被害、(実際は)‘雪だるま’・・・(しかし)イスラエルは“最小化”だと繰り返す (韓国・ハンギョレ 2009年1月4日付)

☆ 127 ガザ地区爆撃、(イスラエル人の)嘲笑と(パレスチナ人の)苦痛 (韓国・ハンギョレ 2009年1月2日付)

☆ 126 “ガザ地区、犠牲者を埋める墓地もない” (韓国・京郷新聞 2009年1月2日付)


☆ 125 イスラエルのガザ侵攻、世界が批判 (韓国・チャムセサン 2008年12月29日付)

☆ 124 イスラエル、ガザ攻撃・・・1000余名瀕死 (韓国・ハンギョレ 2008年12月28日付)