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(韓国民衆言論 チャムセサン <NATOはウクライナの危機を深化させる>2014315日付)http://www.newscham.net/news/view.php?board=news&nid=73464&page=14&category1=38


        NATOの東進政策がウクライナの危機を深化させている


                                 コーン・ハリナン(Conn M. Hallinan)(カリホルニア大)


● <ウイキリークス>が、‘ウクライナとNATO’に関する秘密外交文書を公開

ウイキリークスによれば、ウクライナをNATOに加入させようとする西欧の計画は、少なくとも2009年から論議されてきた。
201011月、ウイキリークスは、米国とフランスの外交官会議を記録した秘密外交文書を公開した。“A.S パリ政策家とゴードンの会議”と言う題目のこの文書は、2009916日、米国務部ヨーロッパ担当次官補−フィリプ・ゴードンと、フランス外交官−ジャン・レビッド・レビートゥ、タミヘン・ローラ、フランソワ・リシーとの会議を要約したものだ。
外交文書は、イランに関係する相互間の憂慮が大部分であるが、最後の項目の2番目に、“NATOの拡張、また戦略構想”と言う題目が付いている。2002年から2007年まで、駐米フランス大使として仕事をしたレビットは、“(フランス)大統領・サルコジは、ウクライナが何時の日かNATOの一員になるだろうが、この過程をうながし、ロシアに敵対感を呼び起こす事は何の意味もないし、特にウクライナの世論多数が(NATO)加入に反対すれば、さらにその通りだと‘確信’する”と明らかにした。
ゴードンは、レビットの見解に他の言葉で、“NATOは,門を開いたし、ウクライナとグルジアは、NATOに関する声明があると言うことをブカレスト会談宣言は明らかにした”と表現した。レビットは、最近、ブルッキングス研究所の専任研究員である。
20084月、ルーマニアで進められたNATO会議は、クロアチアとアルバニアに加入を提案し、彼等は翌年、NATOに加入した。グルジアとウクライナに関する決定は、200812月まで延期された。
しかし、20088月、グルジア軍が、NATOが彼等を援助するだろうと言う錯覚の中で、南オセチアの独立地方を攻撃し、ロシアと不十分で危険な戦争を敢行する姿に、グルジアとウクライナに対するNATO介入論議は保留された。

  NATOの東進は、19902月の協約精神の違反である“東に向かって1インチも動かない”と言う約束を破るNATO

   

   <出処 https://portside.org/ 画面キャプチャ>

ロシア国境地方で、同盟を拡張させようとするNATOの動きは、当時ソ連のミハイル・ゴルバチョフ、米国務長官ジェイムス・ベイカーと、ドイツのヘルムート・コールの間に取り決めた19902月協約の精神に、明らかに違反する措置だ。
当時、問題は、ドイツとNATOだった。第二次世界大戦を終結させた条約によれば、ソビエトは、東独に軍隊を駐屯させる事が出来る権限を持っていた。米国とドイツは、米国とNATO軍を西部に駐屯させる一方、東部にある38万のソビエト軍隊を、撤収させる事となる東―西ドイツ統一協議の為に力を注いだ。
ロシアは、撤兵の意思があったが、それら(東欧圏)の空白を、米国とNATO軍が埋めない場合に限ってであった。29日、ゴルバチヨフはベイカーに、“NATOの地域拡大は、許容することは出来ない”と語った。ベイカーは、彼に“NATOの管轄地は、東部に向かって1インチも移動しないだろう”と確信させた。
ベイカーとゴルバチョフの会議は、ゴルバチョフに“当然NATOは、領土を拡大させる事が出来ない”と保証した西独―ヘルムート・コール首相との会議の次の日に進められた。そして、西独外相―ハンス・デイートリッヒケンショと、ソビエト外相−シュワルナゼ間の会議で、ケンショは、相手側に“我々には、NATOが東部に拡張しないだろうと言う点は、確固としている。”と語った。

   敵対勢力に囲まれたロシア

しかし、どんな保証も記録されなかったし、ソビエト連合は、崩壊し始め、協定は無視されて、NATO軍は東独に駐屯した。ロシアのボリス・エリツイン大統領は、東部に向かったNATO軍の行進に対し、協定精神を侵害すると不満を表したり、ロシアがこれに対し、何もすることが出来る状態ではなかった。
<ニューリパブリック>の前編集長ピーター・ペイナートは、<アトランテイック>にNATOを拡張させる決定に対し、多くの外交政策の専門家達は‘無謀な挑発’とみなしていると指摘している。著名な冷戦の歴史家、ジョン・ルイーズも、“一般的に、極めて論戦的な歴史家達さえも、普通でない様な意見”だとし、“彼等は、NATOの拡張を、分別なく、時期的に不適切で、何よりも、ポスト冷戦世界の現実に相応しくない”と指摘した。
しかし、ロシアが深刻に弱化され、冷戦の勝利は西欧側に傾いた。ビル・クリントン、当時米国大統領は、1995年ユーゴスラビアで、NATOが戦争をする様にしたし、ボスニアには、軍隊を配置した。1997年を最後に、ポーランド、ハンガリーとチェコはNATOに合流し、続いて2004年にはラトビア、リトアニア、エストニアなど7つのソビエトブロック諸国家がNATOに加入した。
NATOの“平和の為のパートナーシップ”は、旧ソビエト共和国のウクライナ、グルジア、モルドバ、カザフスタン、アルメニアとアゼルバイジャンを対象に拡大した。
最近の、ウクライナに対する欧州連合の‘救済金融’は、キエフを、欧州軍事組織に束ねておこうとする条項を包含する。要するに、ロシア人は自分達が敵対勢力に包囲されていると感じており、批評家達はこの事実を、グルジョアに対する措置に乗り出したモスクワに対し留意しなければならない。

   NATOの無分別な東進、ウクライナ一帯の被害

軍事的同盟を、潜在的な敵手(相手―ロシア)の国境にまで推し進める危険は、今週NATOが(訳注―この記事が掲載されたのは、311日である)バルト海とポーランドに軍隊を駐屯させ始め、米国が黒海に誘導ミサイル駆逐艦を派遣して 明白になった。
ペンタゴン(米国防省)は、ポーランドとバルト海沿岸国に、F16戦爆機とF15戦闘機、だけでなく、C130輸動機とRC135空中給油機を配置すると発表した。ラトビア、リトアニアとテストニアの場合、これはロシア北方国境に対するNATO軍増強に繋がる。
米海軍巡洋艦(USS Truxtun)は、クルーズミサイルと対艦巡航ミサイルで武装されたアーレイバーク級駆逐艦だ。クルーズミサイルは、核弾頭を運搬する事が出来る。米海軍によれば、米海軍巡洋艦は、ウクライナでの危機とはどんな関連もなく、単純に極めて小さいこのルーマニアとブルガリア海軍と連合訓練を遂行するものだと、言う。
米海軍巡洋艦が、問題解決に投入されたりF15F16が、ロシアのMIG(ミグ)戦闘機そしてスホイと、胆力を競う事となるかもしれないと言うことはない。しかし、間違いは発生することがあり、特に緊張が高い時がそうだ。
即ち現在の状況が、ゴルバチョフが1990年に避けようとした事態であり、この状況の為にNATOの無分別な東進が、ウクライナ一帯に被害を与えるのだ。
                                 (朝鮮語訳 柴野貞夫 2014921日)

<原文>

http://portside.org/2014-03-11/wikileaks-ukraine-nato
<著者>

コーン・M・ハリナン(Conn M. Hallinan)は、米国対外政策関する、独立コラムニスト。カリフォルニャ大人類学博士

<参考サイト>

☆NATOは平和ではなく戦争を挑発してきた(韓国・チャムセサン 2014年9月9日付)