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The International Committee of the Fourth International− ICFI> (2015年6月9日付)
http://www.wsws.org/en/articles/2015/05/08/mili-m08.html


<軍事支配のコスト
崩れてしまった橋、大衆的貧困に埋まった米国は、世界の七つの軍事大国の総計よりも軍事費を多く浪費している


                                               By Jeff Lusan
                                              (訳 柴野貞夫時事問題研究会)


●120円(年次総額)の軍事費を浪費する国家は、国民の為の“社会的プログラムに使う金は無い”と言う

アメリカの過ぎ行く時の推移は、学術研究や経済基盤への効果的で暖かい援助や、食料品割引切符、緊要な社会的計画などの、削減縮小へと変わったと云うニュースをもたらした。一般大衆は、選択の余地はない。何故なら、そんなプログラムの為の“金はない”からだと告げられた。政治的支配体制の中で、決して疑義を差し挟んでならない事は、崩れてしまった橋や大衆的貧困に埋まった国は、毎年何千億ドルもの金を軍事費に費やすことが出来る事についてである。

 
    写真上< ラプトール(猛禽−機種名)>−各戦闘機は、1機−約339百万ドル(400億円)かかる。

   <全世界的な軍事支配を維持>する様に目論まれた、膨大な兵器プログラムに向かって進んでいる米国

014年、米国の公式予算の軍事費支出は6100億ドル(72円)で、全世界で費やす軍事費のほぼ35%であり、中国、ロシア、サウジアラビア、フランス、イギリス、インド、ドイツの軍事費の合計よりも多い。


実際の毎年の米国の軍事支出は、かっての核兵器のための基金としてや、外国に於ける戦争費用の利子支払い分として、また退役軍人支援費としての金額が含まれていて、尚更に高くなっている。年次総額は、1ドル(120円)になんなんとする。
2000年から2006年までの間、米国国防総省の経費は、3000億ドル(32円)〜5300億ドル(53円)以上に上っており、それはそのレベルにまで留まっていて、にも拘らず隔離連邦予算(the sequester federal budget)は削減されている。大統領は、2016年分として、ロナルド・レーガン大統領の任期中の如何なる段階よりも高いレベルの―合計6130億ドル(73円)もの予算を国防省に持ち出す事を提案した。
提案された予算として出された6130億ドル(73円)は、合衆国の教育予算の8倍以上にも上っている。それは運輸関連で自由裁量で処理出来る予算の22倍以上に上って、274億ドルになっている。アメリカ土木技師組合は、アメリカ経済基盤の地位がDと格付けされたとたん、修復費として何ドルもの予算を要求した。最新の2015年〜2020年までの軍事及び諜報機関の費用は4ドルを超えるだろう。
国防費の最大の部分は、軍事行動と、軍の武器の膨大な在庫品と装備の保存管理の方へと向かっている。軍人事課・部門は、1429億ドルを受領し、その上更に、新装備調達用の受領分995億ドルも加わっている。研究・開発・検査・工学技術部門は、620億ドルを受領し、その上更に、建設と他の品目も予算の残りを吸収した。陸・海・空軍の支部を全部合わせて、2014年の資金調達は比較的公平である。陸軍1674億ドル、(海兵隊を含む)海軍1621億ドル、空軍1443億ドル。陸軍の経費は、最大の取引先として人事課、軍事作戦部門、建設部門を持っている。そして、米軍の地位はイラクとアフガニスタンで地に墜ちた。資金の中で陸軍の取り分は著しく落ち込んでしまった。それにも拘らず全軍事費は下降していない。何故なら、より多くの金が、信じられない位高価な、海軍・空軍のハイテク武器体系に投資されたからである。
大統領から提案された米国国防総省の2016年会計年度の予算には、調達や研究開発・検査・工学に於ける12%の増額が提案されて、1770億ドルを費やし、その大部分は全世界的な軍事支配を維持する様に目論まれた、膨大な兵器プログラムに向かって進んでいる。

● 民間航空機の数は、軍用飛行機の半分にも満たない

米軍の至る所の支局、部門を合わせて、13900機の飛行機を有している。米国の完全に商業用の飛行機集団−(全ての一流航空会社の航空機と、FEDEXUPSのような貨物便を含む)は6788機で、その(米軍の)総計の半分にも満たない。
世界中の他の軍隊に比較すると、米軍はあらゆるタイプの飛行機部門(戦闘機、輸送機、ヘリコプター、訓練機など)で、他の如何なる国よりも多く操作している。この事は、全世界の航空機用の燃料の再補給をするタンカー艦隊の部門で、78%のシェアを占め、戦闘機がその航続距離を延ばすと言うことが出来る技術によって、米軍が世界中何処ででも、容易に爆撃することを可能にしてしまった。
巨大な航空機部隊は、今まで作った武器の代金の内、最も高額を食った。そして最新の武器製造計画は、尚一層の金を食うだろう。故障しがちで悪名高い戦闘爆撃機・<F35>の最新の見積額は、2400機を調達する為の4000億ドル(48円)であり、その上更に、(F35の)生涯運転費用は、1ドル(120円)にも上るだろう。2001年には、見積額は1機につき,8100万ドル(96億円)で、その費用は予想された着任期日よりも、7年も遅れている為に上がり続けている。
2016年には、ホワイトハウスは後年の研究、開発、調達の基金として積み立てる為に110億ドルを請求している。これら全ての経費を含めて、要請された57機の各機毎に、19300万ドル掛かるだろう。

● デトロイト市破産の負債金額は、戦闘機(F−35C>1機分の経費より安い

デトロイト市の赤字、それは市の破産と労働者の年金の破綻が名目上の(公式の)原因であるが、それは2013年で、32700万ドル(390億円)で、それは海軍の<F35C>の一機分の経費より安いのだ。
デトロイト市は、水道料金未払いの20000以上の世帯への水道サービスを止めるという計画を発表したが、その未払い分の金額は、今言った様な飛行機<F35C>T機の経費の、凡そ8分のTにしかならない。今尚、<F35C>の経費は、同様に吃驚するほどの費用を伴う、多くの計画の内のたった一つに過ぎない。
2016年の、12以上の個別のドローン、飛行機、ヘリコプターの調達部門の予算は、それぞれ10億ドル〜30億ドルに上っている。E2−Dホークアイ>指揮統制機5機は、2016会計年度に、それぞれ26300万ドルの費用で要請された。2014年と2015年の予算に加え、ほぼ40億ドルがこれ等ちょうど15機の航空機のために使われた。
ホワイトハウスは、2016年には、研究開発費として17億ドルを要求しているが、それによって、次期航空機は恐らく無駄な仕事しかしないだろう。その航空機とは、長距離爆撃機(the Long Range Strike Bomber LRSB)のことである。この新しい、そして隠匿された「ハイテク長距離爆撃機」は、<B52>に取って代わるであろう。その<B52>とは、60年以上の間、世界中至る所で、死の雨を浴びせてきた代物である。B―T、B2から、ずっと歴史上、最も高価な航空機で、1機につき20億j(2400億円)もかかっている。ノースラップ(Northrup)・グラマン社(Grumman)が<B2>を作り、そして長距離爆撃機の、より有利な契約に向けた厳しい競争の下に晒されている。軍事システムの購入価格は、最大経費のほんの一部分である。<F22ラプター>は、軍の最新の制空権を有する戦闘機で、アップグレードや修正によって右肩上がりに、年5億ドル以上に予算を飲み込んでいる。<B−2>は、最近5年間では、年毎に3億ドルから4億ドルの経費が継続して掛かっている。多くの他の飛行機も、毎年何千万ドル何億ドルと要求している。

老朽化したアムトラック(米旅客鉄道)355台の機関車の交替は、1隻の空母を1年間運営する費用より安い

とは言え、空母より多くのお金がかかる航空機はないが、海軍は、活動する空母を10隻持っている。ロシア、中国、フランスに1艘ずつ守備に付けた。米海軍は、その艦隊の代用船を建設中である。最初の<ジェラルドRフォード級空母>は、2015年に進水し経費は128億ドル(15000億円)である。
飛行機、爆弾、ミサイル、乗務員、燃料、糧食などが付け足されて、経費は考えられない位高くなっている。<ジェラルドRフォード級空母>は、<F−35C>を呼び物にする事を意図してつくられ、その<F−35C>とは、様々な形に変わりながらも、それぞれ33700万ドルもの、最高に金の掛かる代物である。この空母は、90機の航空機を搭載する事が出来るが、<F−35C>は、40機でさえ134億ドルに相当する。
空母だけで、既に膨大な金がかかっている。また、それぞれの航空機は、何百万ドルもの爆弾やミサイルを運んでいる。1隻の空母に載っている全ての品物の総経費は、連邦予算の、例えば科学部門の細目の全部の経費と比較できるほどの額である。その科学部門の経費は2016年には、310億ドルの額が提案されている。

空母の攻撃部隊を運営するには、日々の経費が650万ドルと見積もられている。その額は、新しい高速鉄道機関車の経費と同じ額である。アムトラック(Amtrak)と云う国の旅客鉄道会社、それは全米を隅から隅まで乗客を乗せて運ぶ355台の機関車を有しているが、そのほとんどは20年以上経過していて、改造や交換が必要とされている。アムトラックの各機関車を交替する経費は、1隻の空母を1年間運営する費用よりは安くあがるだろう。
空母は、何十億ドルもかかる、艦隊の種々の計画の一側面を有している。20162015導入案において、別の220億ドルの予算が、潜水艦、駆逐艦、沿岸戦闘艇や燃料タンカーの建設の方向に向かうだろう。
2003年のイラクでの電撃、畏怖、爆撃と云う、えり抜きの悪名高い武器である<トマホーク巡航ミサイル>は、現在1機につき210万ドル(25200万円)掛かっている。リビアに対する2011年の激しい攻撃をした最初の3日間で、少なくとも161発のミサイルが発射された。現在の価格で、33800万ドル(400億円)掛かるだろう。最近開通した、ミシシッピー川にかかる2800フィート、6車線のスタンミューズイアル復員軍人記念橋は、それと同等の費用で建設できるのだ。

● 膨大な軍事費を必要とする、“核の三点セット”

大部分は隠蔽されているが、所謂“核の三点セット”と呼ばれている‘運転操作’・‘維持保全’・‘交替返却’は、巨大な軍事費を費やすものだ。これは、核弾頭を、長距離爆撃機と潜水艦、そして地上の軍事施設の配置・展開の準備をするシステムである。三点セットのそれぞれを、2020年代の内に、取り替えるという事が議論に上っているのだ。
既に2015年には、これ等の取り換えについての研究が、1年につき何10億ドルも費やしている。ジェームス・R・マーテイン核不拡散センターからの20141月レポートは、単に「1ドル核三点セット」と表題が付けられ、その見積もりを、1ドルと指摘しながら、それが次の30年の米国の核体系に使われるだろうと看做した。現実の、そして現代のやり方で金を出して、正確に処理する方法は、国会も持ち得ていないことに注目すべきである。

   想像を絶する米国の核武装の実態と、空爆毎に株価が上がる、米国の五つの巨大武器メーカー

核軍事力の破壊的力は、殆ど理解出来ない程である。今まで世界の人々が知った如何なるものよりも、巨大なものだ。 最新の14艘のオハイオ級の海軍の潜水艦は、それぞれが24基の核武装したトライデントU弾道ミサイルを収納している。それぞれのミサイルが、5000海里以上の射程距離を持ち、地球の大気圏再突入に際して8個の<W88>を投下する事が出来、その<W88>は、複式の弾を持っていて、それらは独立的にそれぞれの的を目指して行く弾である。各W88は、別個の的へ向かって走って行くことが出来て、広島や長崎に落とされた原爆よりも強力な爆発をもたらす事が出来る。
この様に、各オハイオ級潜水艦は、ほぼ200個の核弾頭を運び、たった1艘の潜水艦から世界の全領域の主だった都市のそれぞれに、一斉に核攻撃をする事が出来る。ウクライナや東ヨーロッパ、そしてアジア太平洋の地域における米国の活動の挑発的性質を考えると、確実に悲惨な見通しが増大すると云う将来が考えられる。通常兵器であろうと、核兵器であろうと、米軍が潜在的破壊力で人々を酷く怖がらせているのは、非常に‘儲けになる商売’だ。9月に、米国がイラクとシリアで、イスラム国に爆撃を開始した時、5社の巨大武器メーカー、即ちロッキード、マーチン、ノースラップ、グルマン、ジェネラルダイナミックス、レイセオンは、常時株価が急上昇した。

<参考サイト>


世界を見る−世界の新聞/アメリカ帝国主義の決定的転換点 (ICFI−第4インターナショナル 2015年4月1日付)

世界を見る−世界の新聞/ワシントンは、ロシアと戦争をしたいのか(ICFI−第4インターナショナル 2014年4月24日付)

世界を見る−世界の新聞/朝鮮を狙った米国の核兵器は、どれ程のものなのか(朝鮮民主主義人民共和国・労働新聞 2015年2月6日〜12日付)

世界を見る−世界の新聞/イスラム国(ISIS)の死刑を上回る、帝国主義者の偽善 (ICFI−第4インターナショナル 2015年2月5日付)
 
世界を見る−世界の新聞/NATOは平和ではなく戦争を挑発してきた(韓国・チャムセサン 2014年9月9日付)