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(韓国民衆言論 ハンギョレ・寄稿「国連差別撤廃委・参観記」 2014826日 )http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/652723.html

 

 

     “日本政府による 朝鮮学校の「無償化制度」除外は、差別である”
        国連審査委員の言葉に、目頭が赤くなって・・・

 

 

 

                     
                ▲写真上 於ジュネーブ・キム・ウギ氏

 

● <寄稿> 国連差別撤廃委員会(於・ジュネーブ) 参観記

 

 キム・ウギ 在日本朝鮮人人権協会委員

 


‘反韓示威の映像’が上映されるや、みんな驚き、不誠実な日本政府の答弁に批判


「反韓示威の様な、人種差別的デモが繰り広げられる背景には、日本政府と言う公権力に依る差別がある。」

“何故同じ質問が、二度三度と出てくるのか?答えは簡単です。締約国(日本)の答弁が満足いくものでないからです。”

去る21日午後、スイス・ジュネーブで開かれた国連(UN)人種差別撤廃委員会が、日本政府に対する審査を終える頃、モーリシャス出身委員が、日本政府の答弁に対し強い批判をぶちまけた。“次に、今まで何度も出た問題に対する質問です。朝鮮学校についてです。”

審査を傍聴した私は、彼の口から出た‘朝鮮学校’(Korean School)と言う単語に、耳をぴんとそば立てた。

“朝鮮学校が、華僑学校やアメリカンスクールなど、日本語以外の言語や文化を促進する他の諸学校と共に分類されているが、これ等学校と違って、差別を受けていると言う意見があります。他の学校は、初めから(高校無償化制度に沿う)恩恵を受けているのに比べ、朝鮮学校は補助金が撤回され、政府から経済的支援を受けることが出来ていません。朝鮮学校が、朝鮮民主主義人民共和国(北韓)と近い為ですか?”

20104月、日本で高校無償化制度(日本内、公立高等学校の授業料を無償化し、私立高等学校と認可を受けた外国人学校に対し就学支援金を支援する制度)が施行される直前、拉致問題担当相が“朝鮮学校を排除すること”を提案したことが契機となって、朝鮮学校は支援対象から抜け落ちた。

201212月になって、第2次安倍政権は、日本政府自ら作った朝鮮学校に対する審査基準自体を無くし、朝鮮学校を高校無償化制度から完全に排除してしまった。

これに対し、在日同胞達とこれを助ける多くの日本人は、最善を尽くして、“朝鮮学校に高校無償化制度を適用せよ”と叫んできた。朝鮮学校学生達も、勉強時間、特別活動に汗を流す時間、友達と過ごす大事な青春の時間を割いて、町に出て署名を受け取り、文部科学省の前で抗議行動を繰り広げた。昨年、大阪・東京など五つの地域250名の朝鮮学校高等学生と卒業生達は、高校無償化制度の適用を要求し、日本政府を提訴した。

国連審査場でのモーリシャス委員の発言は、継続して続いた。“我々が提起している基本的な質問は、‘それは差別の問題ではないのか?’と言う点です。人種主義の問題、人権の問題ではないのですか? 最終的に、誰が被害を受ける事になるのかです。朝鮮学校の学生達です。我々は、そんな観点から、差別が存在すると言っているのです。”

その言葉に、私も知らぬうちに目頭が赤くなった。我々が今まで日本で叫んできた声が正当であり、日本政府による朝鮮学校の高校無償化除外は、国際的人権基準に反する明白な差別の問題と言う事を、もう一度確認する事が出来る瞬間だった。

今回の国連の審査では、日本の右翼らの人種差別的な反韓示威等、‘ヘイトスピーチ’問題が焦点となった。審査前、NGOブリーフィングで上映された、反韓示威の映像を見て、委員達は皆、目がまん丸くなり、驚いた表情を隠す事が出来なかった。

今月末、“ヘイトスピーチ禁止の為の包括的な差別禁止法の制定が必要だ”と言う内容が盛られた改善勧告案を含んだ、日本の人権状況に対する‘最終見解’を発表する予定だ。

反韓示威の様な、人種差別的デモが繰り広げられる背景には、日本政府と言う公権力に依る差別がある。

日本政府が、高校無償化制度から朝鮮学校を除外し,複数の自治体が朝鮮学校に対する補助金を停止するなど、公的差別をしている現実が、日本社会に排外主義を蔓延することになる原因だと言う事が出来る。その根本を絶つためには、国際社会の支持を力として、諦める事無く声を出す他は無い。

 

(訳 柴野貞夫 2014831日)

 

<参考サイト>

 

 

☆ 400 日本の右翼化・・・犠牲になる朝鮮学校(リ・スンヒョン弁護士) 
(韓国・PRESSIAN 2013年8月6日付)


世界を見る−世界の新聞/国連「市民的・政治的権利に関する委員会」が、日本政府に‘日本軍慰安婦’問題で、公開謝罪と賠償を勧告(韓国・ヨンハップ通信 2014年7月25日付)

  論考/<在特街宣>に対する大阪高裁判決が意味するもの(2014年7月15日)

  論考/安倍政権の朝鮮学校無償化の根拠法令削除に抗議する(2013年1月23日)

民衆闘争報道/京都地裁が「在特会」による朝鮮人学校襲撃事件を断罪(2013年10月8日)