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(韓国民衆言論 オーマイニュース 主張 2014109日付)http://www.ohmynews.com/NWS_Web/View/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0002041803


  
朝鮮半島有事時の(米国による)核兵器使用計画は、いまだに維持されている


(前米国防長官)レオン・バーネット回顧録が示すもの・・・

(本文から)
● 米国は今も、朝鮮半島での核先制攻撃計画を維持している。2011年、バーネットから通告を受けた韓国政府は、その事実を国民に伝えなかった。
● 過去半世紀以上の朝鮮半島の歴史は、米国が核兵器で、北韓を絶えることなく圧迫した過程である。
● オバマとパク・クネは、韓・米の、対北核攻撃軍事演習を継続しながら、<核なき世界>の空スローガンを語っている。自らの<核の傘の廃棄>を含む朝鮮半島の非核化と、平和協定の締結に努力すべきだ。
● 米国の、朝鮮半島における非人倫的な核兵器の使用計画は、朝鮮三千里の錦繍江山の地を、蓬が生える荒地とするだろう。
● 「北核廃棄」と同時に「南韓への核の傘提供の廃棄」が包含された六者会談のロードマップを、踏みにじっているのは米国である


米国が、朝鮮半島の有事時、核兵器を使用することが出来ると言う意見を3年前に韓国に伝達した事を、レオン・バーネット米国前国防長官が回顧録で公開した。
それによると、現在も米国が、有事時に核兵器を使用する計画を維持しているのかどうかに対する関心が高まっている。
米国は、さる3年間、北韓に対し軍事的圧迫を強化する‘戦略的忍耐’政策を維持しながら、北韓政権急変事態等が発生する場合、軍を直接ピョンヤン等に進駐させ、核弾頭など大量殺傷武器が外部に流出されないため(とする名目の)軍事訓練を実施して来た。そうする内に、最近では初めから、北韓急変自体を担当する部隊を、漢江(カンガン)以北に作ることに韓国と合意した事を、国防部が発表した。
米国の対北政策は、徹底した韓米共助の中で推進されているのは、周知の事実だ。米国が主導して作り、今まで言論に公開された対北作戦計画などによれば、米国は、3年前と同じで、朝鮮半島の有事時の核兵器使用を、選択肢の一つとして維持している可能性が大きい。
米国は、3年前に、キム・クアンジン−当時国防長官に核使用の可能性を通報したが、これに対し青瓦台などの公式発表は一度も無かった。それで良いのだろうか?
核兵器は、広島と長崎に投下された後、今まで実戦に使用された事は無い。核兵器の殺傷力が極めて残酷だからだ。
米国は、日本に原爆を投下した後、投下地域に対する言論媒体の出入りを、徹底して遮断した。被曝直後の有様は一部伝達されたが、米国が反人倫的戦争行為をしたと言う批判を受けない程度の公開にとどまった。
核爆弾の恐るべき破壊力を予期する時、よく、‘生者が死んだ者を羨むだろう’と言う。これは全てのものが破壊された状況で、被曝したまま生き残る場合のこの上ない苦痛と悲劇を描写した表現だ。こんな核兵器を、米国が韓半島で使用すると(韓国政府に)通報したなら、青瓦台などは、国民に対し知らせるのが政治的義務ではないのか。
北が、核兵器をどの程度開発したのかは不透明であるが、米国が北に対し、核攻撃計画を立てたのは、北が実質的な核保有国であると言う点を認めた結果と推定される。米国政府は、公式的に北韓を核保有国として認めないが、米情報機関など政府機構は、北韓を核保有国と分類していると言うのは、すでに広く知られていた。
米国が北に対し、核攻撃の可能性を開いて置いたのなら、そんな作戦計画と一緒に、朝鮮半島の非核化のための努力を平行しなければならなかった。
米国は、自国の領土でない地域だから朝鮮半島の核攻撃を構想したのかも知れないが、被曝地域として、人間生き地獄となるかも知れない朝鮮半島居住者の立場は、一般的に深刻な事ではない。被曝地域の汚染と被曝後遺症の遺伝の可能性などで、三千里の錦繍江山(訳注−きんしゅうの様に美しい、朝鮮の国土の意)は、蓬が生える荒地となるだろうからだ。
青瓦台が、国民から政治を委任された立場であれば、民族的災難と直結される事案に対しては、国民にそれを知らせ、同意手続きなどを踏まなければならない。現代戦争は、軍と民間人を区別せず殺傷する、全面戦の性格であるから、戦争とその予防対策などに対しては、国民の大きな雇われ人である大統領が、独自的に判断し、決定する事項ではない。戦争を避ける事が出来るあらゆる方法を講究しなければならないから、北韓核問題を解決する為の六者会談再開などの先頭に立たなければならない。
それが政府の責務と考えられるのに、青瓦台と軍は、‘北の挑発時、徹底した打撃’を強調するだけで、朝鮮半島非核化と平和協定推進などは目を背けている。
北韓に核兵器が投下される状況となる場合、朝鮮半島が、まかり間違えば三次世界大戦の導火線になる可能性も排除することが出来ない。全面戦の可能性は、南側住民の日常的生活環境となりながら、国家的危機指数を高める原因となっている。
振り返って見れば、米国が朝鮮半島で核兵器を使用する計画を立てたのは、昨日、今日の事ではない。米国は6.25朝鮮戦争当時、北に対する核攻撃の可能性を打診したし、停戦協定以後、南に対北用核兵器を大量備蓄した。
1980年代には、チームスピリット訓練などを通して、対北核兵器先制攻撃戦略を磨いた。北は核攻撃に備えて、軍事力を休戦ラインに前進配置したが、これは、米国の核兵器使用が、結局米軍の被曝に繋がる可能性を念頭に置いた戦略だった。
停戦協定が、世界記録を立てながら維持された、過去半世紀以上の歴史は、米国が核兵器で、絶える事無く北を圧迫した過程だった。
米国の朝鮮半島核戦略は、90年はじめ、旧ソ連が戦略核兵器縮小に合意した後、南韓に配置した核兵器を撤収し、代わりに核の傘を提供する遣り方に転換された。米国は、朝鮮半島のひとたび有事時、核兵器の使用を排除しない点を持続的に明らかにし、韓米軍事訓練でこれを誇示した。
こんな歴史的過程を経ながら、朝鮮半島は核戦争発生の可能性が、世界で最も高い地域として既定事実化された。これは、北が核武装の切迫性に駆り立てられる事となる決定的要因となった。即ち、北の核武装の論拠は、米国が提供したと言う結論を避けるのは困難だ。
北の核武装に対し、南側の一部政治家や、政府系学者達は、南側も核武装をしなければならないと言う論理や、対北打撃力を増強させなければならないと言う声を高めたりした。そうこうする中で、昨年春、パク・クネ大統領が朝鮮半島非核化を提案し、その様な声は大きく聞こえない。
しかし、パク大統領のそんな提案が出た時期は、米国が韓・米連合軍事訓練を実施しながら、対北武力示威計画である‘ザ・プレイブック’を実行した直後だった。’ザ・プレイブック’は、核武器を搭載出来る‘B52’戦略爆撃機、‘B2’ステルス爆撃機、‘F22’ステルス戦闘機の出撃などを含んでおり、この様な事実を言論媒体に公開して、心理戦を強化する内容などでなっている。北韓に対して、物理的、心理的圧迫感を極大化すると計算した訓練だった。
パク大統領は、‘ザ・プレイブック’作戦が実行された後、次の月である5月初めに開かれたボラク・オバマ米国大統領との首脳会談で、‘核武器無き世界’と言うビジョンが朝鮮半島で実現されなければならないとし、北韓の核兵器廃棄を繰り返し促した。
‘核兵器無き世界’は、オバマ大統領が2008年の大統領選挙の公約の一つとして提示したが、その後、地球村の核武装の実態はその時と大きく変わることは無い。
空(から)スローガンで終るような兆候が見える状況で、パク大統領が、昨年それをリバイバルさせる役割をしてくれたのだ。しかし、首脳会談直前に、米国が北韓を相手に大々的な核脅威を加えたあとで、その実効性は極めて疑わしいと言う評価を避けるのは困難だ。
米国は、ずっと以前から、朝鮮半島を米国の死活的利害関係が懸かった戦略地域として指定しておいて、対北政策を推進して来た。そんな過程から南韓政府は、米国の対北政策に積極協調する格好を取ってきたし、その上、甚だしくも、<戦時作戦権>を米国が引き続き行使する様に哀願する姿を見せる事もした。戦時に米国が、しようとするがままに、すると言うものだ。軍事主権を、他の国に出してやる国は、地球上で殆ど唯一だ。これは日本帝国主義時代、国を奪われ、全ての主権を強奪されたこととは違いがあるが、国際社会に向かって顔が赤らむのは、同じ事だ。
米国が、核兵器に関して、肯定も否定もしないと言う立場を取って来たのは、広く知られた事実だ。敵対陣営に最大限の心理的効果を取りこむ方法である為だ。ところが米国の前職・国防部長官が回顧録を通して、米国の核政策に関して,(事実を)暴露する事が起きた。当然米国側では、これを非難する声が出ている。
しかし青瓦台は、うんともすんとも言わない。韓民族の存立が懸かった問題だが、一切の言及もしない有様だ。国民が気がかりになった話しを聞くのは関係が無いと言う、<不通の特技>が発揮されているのだ。
北核廃棄と同時に、米国の南韓に対する<核の傘提供>の廃棄が包含された朝鮮半島非核化のロードマップは、六者会談で既に作って置かれた。
米国は、その実践の初期過程から、とんでもない問題を引き起こし、北の核実験を誘導し、続いて、対話さえ中断する振る舞いを、今まで繰り広げている。
しかし今、変わらなければ成らない。米国が朝鮮半島を核攻撃対象にする事は、当然中断されなければならないし、韓国政府も朝鮮半島の非核化の為に、積極的に努力しなければならない。

(訳 柴野貞夫 20141014日)

 

 

 

<参考サイト>

 

主張/米韓合同軍事演習<キー・リゾブル>は第2次朝鮮戦争の導火線(2013年3月11日)

論考/米国と追随国家の核攻撃から社会主義朝鮮を防衛せよ(2)(2013年3月2日)

論考/米国と追隋国家の核攻撃戦争から社会主義朝鮮を防衛せよ(1)(2013年2月23日)

☆小出裕章さんの論考「朝鮮の核問題」(2003年6月14日)を転載


☆432 韓米、20余年ぶりに最大規模の「双龍訓練」を実施−12,000名を動員、オスプレイも22機参加(韓国・統一ニュース 2014年3月31日付)

☆431粗暴な爪をむき出した、侵略のトクソリ韓米軍事演習(労働新聞 2014年3月24日付)

☆265 [米・韓合同軍事演習に対する]朝鮮民主主義人民共和国外務省代弁人 談話 
(朝鮮民主主義人民共和国・朝鮮中央通信 2011年3月1日付)


☆264 [声明]韓・米軍事合同訓練に、韓半島の運命を任せてはいけない 
(韓国・労働解放実践連帯HP 2011年3月2日付)