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(韓国民衆言論 ハンギョレ 国際ニュース 20141116日付)http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/664727.html

 

             <沖縄知事選の現場を行く> 
          沖縄の進歩・保守、力を合わせ米軍に打撃をくらわす 


                                                    キル・ユンヒョン特派員


米軍基地反対闘争の新しい局面

  
    翁長雄志(中央)候補が、16日執り行われた沖縄県知事選挙で、勝利した後、那覇市の選挙本部で支持者達と一緒に万歳を唱和している。<那覇/AFP.ヨンハップニュース>

“ようし、たけし!”(いいぞ、たけし)16日、夜8時、日本・沖縄の中心都市・那覇を貫く河川である壺川の横に構えた翁長雄志(67)沖縄県知事候補の選挙本部は、直ぐに大騒ぎの喚声で溢れた。投票が終了した後、日本の放送が出口調査で翁長候補の勝利を宣言した。

感激した顔の翁長候補が、席から立った支持者達に挨拶をするや、照屋寛徳議員(社民党)など、沖縄を代表する政治家達が彼の肩を叩き、涙を流した。地域言論である<沖縄タイムス>と<琉球新聞>は、号外を刷り、那覇市内に配った。
沖縄人達に、この日の選挙は、単純な一度の知事選挙以上の意味を持っていた。沖縄の進歩と保守が‘米軍基地反対’と言う一つの争点で総結集し、‘オール沖縄’(一つの沖縄)と言う旗幟の下に戦った最初の勝負だったからだ。
選挙の核心焦点は、在日米軍の‘普天間飛行場’を、同じ沖縄県内にある名護市・辺野古海岸に移転する問題だった。
  
<写真> 去る5日、日本の沖縄県宜野湾市所在、駐日米軍普天間飛行場に、垂直離着陸機―オスプレイ(MX-22)が列をなしている。米国と日本は、普天間飛行場を、沖縄県内の辺野古沿岸に移転し、新しい米軍基地を建設する事にして、住民たちの反対を無視したまま、工事を強行しようとしている。 (沖縄・キム・ポンギュ記者)

今回の選挙で、翁長候補と対決を繰り広げた仲井真弘多(なかいま・ひろかず、75)現知事は、昨年12月、沖縄人の猛烈な反対を顧みず、辺野古移転を前提とした日本政府の埋め立て計画を承認した。仲井真現知事が、翁長候補を破って三戦に成功すれば、70%を越える沖縄県民が反対する普天間飛行場の辺野古移転は、これ以上防ぐことは出来なくなる。それと共に、過去18年の間、進められた沖縄の市民運動も、回復出来ない大きな打撃を受ける他はなかった。
現場で会った豊見山雅裕(60)沖縄民衆連帯代表は、“選挙で勝っても、翁長候補をよく監視して行き、辺野古移転計画を潰さなければ成らない”と語った。支持者達の喚声の中で翁長候補は、“オール沖縄と言う新しい政治を、県民の意思を集め成功する事が出来た。昨年12月、沖縄知事が埋め立て計画を承認した事を県民たちが容赦しない様だ”と語った。
16日の沖縄知事選挙は、沖縄県だけでなく韓国、米国、日本、中国など東アジアの秩序に相当な波及効果を呼び込むものと見える。

○在日米軍基地の75パーセントが集められた沖縄
16日、知事選挙を執り行った普天間基地を辺野古に移すことを拒むのか、拒まないのかが最大の争点‘基地移転反対’の翁長の当選
この結果で、太平洋で進められる米軍再編戦略に蹉跌(つまずき)が不可避

安部政権も、大きな打撃を受けることとなった

              

アフガニスタン(2001年)と、イラク(2003年)などで、無謀な戦争を繰り広げた米国ブッシュ政権が、海外に散在した米軍部隊を効率化すると言う計画を明らかにしたのは2002年からだ。
韓国では、2004年、カンガン(漢江)以北の基地をピョンテク(平澤)などへ集中させる連合土地管理計画(LPP)とヨンサン(龍山)基地移転、沖縄では20065再編実施の為の、米日ロードマップ(以下、ロードマップ)として具体化された。
この計画を見れば、沖縄に駐屯している第三海兵遠征軍(VMEF)司令部などの指揮部隊を含んだ海兵隊8000名と、その家族9000余名をグアムに移転し、普天間飛行場など在日米軍の5箇所の基地を返還する内容だ。
米国が、沖縄の基地の一部を返還し、(いっぽうで)要求したのは、2014年までに普天間を代替する飛行場として、辺野古沿岸を埋め立て、X字型に長さが1800mの滑走路二つを備えた基地を提供してくれと言うものだった。
この計画は、20124月に開かれた米日安保協力委員会(22会議)で、第3海兵遠征軍司令部などを沖縄に残し、グアム移転兵力も縮小(海兵隊員と家族を合わせ8000名)する方向で一部修正される。
沖縄人達の反撥は猛烈だった。米軍基地に対する本格的な反対運動が触発された契機は、19959月に起こった米軍兵士の少女性暴行事件だった。
当時、怒った民心をなだめるために、米日政府は、沖縄に対する米日特別行動委員会(SACOをつくり、米海兵隊普天間飛行場など、11箇所の基地を返還すると言う最終報告書を出す。普天間飛行場は住民90000名が住む都市の真ん中にあって、世界で最も危険な飛行場と言う悪名が高い。
そこから10年ぶりに出てきた最終結論は、普天間飛行場を外国や日本国内の他の地域ではない、沖縄北東部の辺野古海岸を埋め立て、破壊した後、移すと言う計画だった。
沖縄の平和運動家、マキシ・ヨシカズ(71)は、米国は、1960年代から自分達が計画して置いた辺野古移転計画を、沖縄人の為のものと、包装(偽装)した。それも日本の税金を使い、一銭もふところを痛めずに、手に入れようといている。と語った。
(辺野古基地建設費用を日本が負担すると言う事実は)韓国のためにヨンサン(龍山)基地をピョンテク(平澤)に移転すると言いながら、米国の予算で移転しなければならない<連合土地管理計画(LPP)>上の部隊移転費用まで、防衛費分担金を活用して韓国に押し付ける米国の姿が重なる。
16日の沖縄知事選挙結果は、普天間飛行場の辺野古移転計画を、相当期間遅らせるブレイキの役割をするものと見える。勝利した翁長候補が、選挙期間運動中に、当選すれば、知事の権限を最大限活用し基地建設を阻止するだろうと明らかにした為だ。彼は、仲井真知事が承認した辺野古埋め立て案に対しても、取り消しも視野に入れて検討すると言う見解を明らかにした。
辺野古移転案が、相当期間空転すれば、韓国を含んだ太平洋地域で進められてきた米軍再編戦略も少なからず影響を受ける見通しだ。当初2008年から2020年ぐらいで終わりが知れず、延期されている在韓米軍移転計画と、事実上米軍と共同活用する軍港となるチェジュ(済州)島のカンジョン海軍基地などの事業にも、一定部分影響を及ぼすものと見える。
日本では、今回の選挙結果で、安保脅威論が本格的に頭をもたげるだろう。米日は、中国の海洋進出が予定より早く進められると、2006年にグアムに移転する事とした米国第3海兵遠征軍司令部を、また沖縄に残すことにして、201310月、米ー日安保協力委員会で、P8対潜哨戒機、高高度無人偵察機グローバルホーク、第5世代ステルス戦闘機―F35B2017年)などを日本に前進配置する事に決定している。
安部政権は、今回の選挙結果で、米日同盟に亀裂が生まれることを避ける為に、集団的自衛権など安保政策に、更に拍車を加える可能性が大きい。
しかし、反対に、普天間基地の辺野古移転が本当に必要なのかに対する論議を触発する契機となる事が出来る。<朝日新聞>は、8日、米軍は、現在、沖縄、フィリピン、オーストラリア、韓国などに循環して海兵隊を配置する面の抑止構想を現実化させている。特に(普天間飛行場に配置された米海兵隊輸送機)オスプレイ(MX22)は、飛行距離や速度などが次第に向上しており、必ず、沖縄に配置しなくても可能だと言う指摘もあると報道した。

                                    (訳 柴野貞夫 20141118日)

<関連サイト>


民衆闘争報道/元沖縄県知事・大田昌秀さんが語る「沖縄の心」 講演記録<その1>
(2013年6月30日)


民衆闘争報道/元沖縄県知事・大田昌秀さんが語る「沖縄の心」 講演記録<その2>
(2013年6月30日)


民衆闘争報道/元沖縄県知事・大田昌秀さんが語る「沖縄の心」 講演記録<その3>
(2013年6月30日)


民衆闘争報道/「沖縄の課題を私達の課題にする11・25奈良集会」 が開催された
(2012年11月27日)


民衆闘争報道/「沖縄の課題を私達の課題にする11・25奈良集会」に集まろう
(2012年11月21日)


論考/日米安保条約と日米地位協定の歴史と、その反憲法的・反民衆的本質(2012年11月1日)

論考/オスプレイ沖縄配備と、規制なき米軍基地の実態を暴く(2012年10月10日)