ホームページ タイトル

 

(韓国 民衆言論 プレシアン 国際ニュース 2016年1月29日付)
http://www.pressian.com/news/article.html?no=132868


中国“制裁が目的に為るのは駄目だ”と主張、米国“北・中交易も制裁に含む”と対立
 −対北・制裁問題で、米・中の立場の違い狭まらず


                                               イジェ・ホ記者


強力な対北圧迫戦線に中国を引き入れようとする米国の計画が、失敗したものと見える。
中国は、制裁が目的となるのは駄目だと云う公式の立場を発表した。
27日、中国の首都・北京で、ジョン・ケリー米国務長官会ったワン・イ(王毅)中国外相は、会談後開かれた共同記者会見で、韓・米・日三国が推進している北韓に対する強力な制裁に対し、“制裁が目的となれば、駄目だ”と明らかにした。
ワン・イ(王毅)中国外相は、北核問題は、対話と協議を通して解決しなければならないとしながら、朝鮮半島の非核化、対話、協議を通した問題解決、朝鮮半島の平和安定など、所謂(いわゆる)‘朝鮮半島政策三原則’を、そのまま守ると云う意思を再確認した。

    

     ▲写真 1月27日、北京で会談に臨んだジョン・ケリー米国務長官と、王毅中国外相

彼はこの原則の中で、“そのどれも、抜けてはならない”とし、“中国のこの様な立場は、喜怒哀楽によって変わるものではない”と、釘を刺した。
一方、ジョン・ケリー米国務長官は、“米国は、同盟を保護するどんな措置でも取るだろう”とし、“米国は、中国の特別な能力を信じる”と明らかにし、中国が対北圧迫を強化してくれることを促した。
ケリー米国務長官は、北韓のキム・ジョンウン国防委員会第一委員長に対しては、“危険だ”と評価しながら、“あらゆる国家と、指導的な位置にある国家は、そんな危険に対処する義務がある”と明らかにし、中国の役割をもう一度強調した。
また彼は、“国連制裁の領域に、朝鮮―中国間の交易も含まれる”とし、圧迫の水位を高めた。ただ、対北制裁の具体的措置に対しては、中国と合意に達する事は出来なかったことを認めた。
ケリー米国務長官は、北韓に対しても提案をするとしながら、北韓が核を放棄し門を開けるなら、“経済、エネルギー、等に対する支援がかなうことが出来る”と付け加えた。
                                    (訳文 柴野貞夫 2016年1月28日)

<訳者解題>
日・米・韓は、朝鮮民主主義人民共和国の核実験に対し、朝鮮に対する挑発的な、また自らの大々的核戦争演習による核の威嚇を棚に上げ、国連を利用した「制裁」を推し進めようと企んでいる。米国は朝鮮の核実験に批判的な中国を、北制裁の隊列に組み入れようと、1月27日ケリー米国務長官を北京に派遣し、米・中外相会談を開いた。
日本の商業新聞は、会談後の共同記者会見で、ケリー米国務長官の談話内容として“両国は、北朝鮮の核保有を許さず、「意味のある」国連安保理決議に向けて作業を加速させることで合意した”とし、朝鮮の金正恩国防委員会第一委員長を名指しして、“無謀で危険であり、世界に対する脅威”だと批判したと報じた。
しかし、この報道は、必ずしも北核問題に対する米・中間の協議の内容を正確には伝えていない。即ち両国間の意見の対立を無視している。
中国は、朝鮮の2006年7月の第一回核実験に対し、10月の制裁措置を含む安保理決議に賛成した(1718決議)。また2009年5月の第2回核実験に対し、安保理1874決議に賛成。2013年、2012年12月の宇宙ロケット発射に対し、安保理の2094決議に賛成し、米帝国主義とその追随国家による制裁強化決議に同調した。
最初の朝鮮の核実験と弾道ミサイルの発射は、第4回六者会談の9.19合意を破り北への核攻撃を公言した米帝国主義に対する自衛的行動として行われた。帝国主義による被抑圧国家− 朝鮮民主主義人民共和国の国家としての正当な自衛権の行使であった。
安保理1718決議また、1874決議、2094決議は、いずれも、帝国主義列強による被抑圧国家、朝鮮民主主義共和国に対する不当な制裁である。
この三つの不法な制裁決議を、社会主義を主張する中華人民共和国が容認した事は、社会主義朝鮮を資本主義社会に併呑しようと、核侵略戦争を準備する帝国主義列強に加担する事にほかならない。中国が、世界資本主義市場における相互関係の中で、過剰生産恐慌の渦中に晒され、その矛盾の火粉を被るのは当然である。しかし、その危機突破の活路と政治的軸足を、社会主義朝鮮をはじめとする世界の労働者階級の側に置かず、社会主義朝鮮と朝鮮半島の「非核化問題」、自国と米帝国主義との取引の道具にした事は、自分自身の危機を深かめるだけだ。
米国が今、軍事プレゼンスをアジアに置き、覇権国家としての最後のあがきを、朝鮮と中国に向けている時、とりわけ朝鮮に対する核戦争の危機が迫っている時期に、米国に加担することは中国の自殺行為である。
2013年当時、安保理2094制裁決議に中国が賛成した時、朝鮮国内では「中国の事大主義」に対する大きな怒りが巻き起こった。60年代、中国が核実験を成功させた時、アメリカ帝国主義と戦うのに必要な自衛的核武装だとメッセージを送ったのは朝鮮であった。
労働新聞は、全面的な中国批判を展開した。中国は、こんな歴史の経過と、日・米・韓三国軍事同盟による朝鮮に対する核の脅しが、中国にも向けられている事実に、米・中関係の展望を斟酌していると考えられる。
朝鮮政府は米国に対し、2015年8月17日から28日まで行われた米軍と南朝鮮軍(韓国)の朝鮮への核侵略戦争を想定した合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダム・ガーデイアン」の期間中である20日、朝鮮半島の軍事境界線上で発生した一触即発の危機を踏まえ、「停戦協定」の「平和協定締結」への転換を真剣に訴えてきた。それは1975年の国連総会決議の履行を、米国に迫るものでもあった。
しかし米国は、一貫してこれを拒否してきた。米国は、朝鮮に対し「言葉ではなく、行動で」核による威嚇を60年にわたって続けてきたが、まだ現在に至るも、「核攻撃はしない」と云う約束すらしない中で、「平和協定締結」に向けての協議の条件に、北の「一方的な核の放棄」を条件としているのだ。「核の放棄」という‘目的’を、‘条件’にしてしまえば、外交交渉は成り立たないのは誰が見ても明らかだ。米国は、鼻から朝鮮に対し、受け入れることが出来ない条件を出しているのだ。更に「核の放棄」を「朝鮮だけの一方的な核の放棄」だとする傲慢な主張も同じことだ。
朝鮮半島の核をめぐる六者協議の破たんこそ、「(北だけでなく)朝鮮半島全体の核の放棄に向けて協議する」と云う決定を、米国とその追随国家が破ったことにある。
残念なことに、日本の大方の「サヨク」が、膨大な帝国主義の言論によって朝鮮半島の核をめぐる朝・米関係の正しい歴史と現実の事実から、目も耳も塞がれている事に気が付いていない。
某「サヨク」の或る日刊紙は、朝鮮の水爆実験に対し、“国際世論への挑戦”“平和に逆行して実験を続ける北朝鮮”“国際世論、強力な安保理決議で一致”などと、米帝国主義・挑発者達の核戦争策動を正当化する様な論評をしている。我々研究会は、このような動きに対し、断固として戦うものである。
前・京都大学原子炉実験所 小出 裕さんは、朝鮮の核保有に関して、次のように語っている。(一部抜粋)

http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/index.html
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/kouen/kouen.html
日本のマスコミなどは、米国発表をそのまま流すだけであるが、そもそも朝鮮に関する歴史の流れを理解していない。朝鮮は1910 年の日韓併合以来、日本の植民地支配の犠牲となり、創氏改名、朝鮮語の禁止、天皇の崇拝などを強制された。1945 年の日本の敗戦は、多くの朝鮮人にとっては大日本帝国からの解放と受け止められた。
しかし、日本と米国との戦争は、悪逆非道の日本と正義の米国との戦争であったわけでは決してない。それは世界の覇権を狙う両帝国同士の戦争であり、圧倒的な力の差の下に米国が日本を完膚なきまでに打ち破った戦争であった。しかし、米国は当時の共産主義との確執を前に、日本や朝鮮を東洋における共産主義の防波堤にしようとした。そのため、日本では天皇はその戦争責任を問われないまま温存されたし、朝鮮でも日本統治下の役人がそのまま政権に居座ることが許された。
そのため、本来であれば日本の植民地から解放され、晴れて独立を果たすはずであった朝鮮は、血を血で洗う内戦へと導かれて、南北に分断されたのであった。1948 年に大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国が相次いで独立を宣言し、1950 年6 月にはついに朝鮮戦争に突入。38 度線で膠着した戦争は、1953 年に停戦協定に至った。その後、すでに半世紀の時間が流れたが、朝鮮と米国の間では依然として停戦協定があるだけで、戦争状態が続いているのである。
その一方の当事者である米国は核兵器、生物兵器、化学兵器、大陸間弾道ミサイル、中距離ミサイル、巡航ミサイル、ありとあらゆる兵器を保有し、自らの気に入らなければ、国連を無視してでも、他国の政権転覆に乗り出す国である。
そうした国を相手に戦争状態にある国が朝鮮であり、武力を放棄できないことなど当然であるし、核を放棄するなどと表明できないことも当然である。
非核保有国への核攻撃をしないという消極的安全保障すら拒否し、さらなる核軍拡を進めながら、米国の正義が世界の正義であるとして世界中に支配の手を広げた。一方、ソ連が崩壊して冷戦構造が終焉するや、今度は「ならず者国家」から米国を防衛するとの理由で、ミサイル防衛(MD)をはじめとする軍拡を進めている。要するに、米国は自分だけが世界の覇者であり続けたいと言っているのである。

<関連サイト>

482 朝鮮を狙った米国の核兵器は、どれ程のものなのか (朝鮮民主主義人民共和国・労働新聞 2015年2月6日〜12日付)
http://www.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_482.html


☆461 朝鮮半島の(米国による)核兵器使用計画は、いまだに維持されている (韓国・オーマイニュース 2014年10月9日付)
http://www.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_461.html

☆432 韓米、20余年ぶりに最大規模の「双龍訓練」を実施−12,000名を動員、オスプレイも22機参加 (韓国・統一ニュース 2014年3月31日付)
http://www.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_432.html

☆京都同胞時局講演会(その2)「緊張激化、朝鮮半島情勢」(2013年3月2日)
http://www.shibano-jijiken.com/nihon_o_miru_jijitokusyu_84.html

☆京都同胞時局講演会(その1)「緊張激化、朝鮮半島情勢」(2013年3月8日)

http://www.shibano-jijiken.com/nihon_o_miru_jijitokusyu_83.html

論考国連安保理の役割と、朝鮮民主主義人民共和国に対する制裁http://www.shibano-jijiken.com/SEKAI%20O%20MIRU%20SEKAI%20JOUSEI%2030.html

論考朝鮮民主主義人民共和国の人工衛星打ち上げ成功(201212月)
http://www.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_36.html