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                                   (最新の世界情勢を分析する 2008105日)


    ヒル米国務次官補の訪北と、「国際的基準による核検証要求」の破綻によって、迫られる
     米国の義務履行
 

〇 2005年の六者会談「919共同声明」は、米国が北に対し核の「国際的基準による厳格な検証」を要求するなら、同時に、朝鮮半島南部領土内の(在韓米軍及び韓国軍の)核の検証を受けなければならないことを義務付けていたはずだ。

 

〇 検証の「国際的基準」を一方的に要求した米国の破綻が明らかになった

 

〇 米国は「テロ支援国指定解除」と言う、自己の義務履行を迫られている

 

 

△ 「核申告書」は、2007年10・3合意による「二段階行動措置」の水準における、北の約束の履行である

 

 

米国は、811日に発効すると約束した北韓に対する「テロ支援国指定解除」を、土壇場で反故にした。

 

北が、米国が要求した「核の申告」に従わなかったからだと言うのだ。しかしいま、北の核施設再稼動を前にした米国のあわただしい動きから、「行動対行動」の履行を誰が破っているのかが、次第に明らかになりつつある。

 

 

北が、626日に提出した核申告書は、あくまでも〈ハンギョレも指摘するように〉ヨンピョンの核施設を中心とする検証と、六者の枠組みの中での検証機構と監視機構をつくると言うものであって、北韓核に関係するあらゆる施設と情報や、関連する軍事関連施設を、米国に対して裸で開示する事を内容とするものではない。2007年10・3合意で言う、「2段階行動措置の履行」を実行したものである。

 

 

北の申告書は、「行動対行動の原則」における「二段階行動措置」の「水準」における、約束の履行であると言う事が出来る。この段階で、米国は、北に対する「テロ支援国指定解除」を行う義務があった。しかし米国は一方的にハードルを挙げ、「国際的基準による検証」を要求してきた事が、「核施設無力化作業の中断」と言う北の対抗措置を招く事態となった。

 

 

北朝鮮外務省のパク・キルヨン次官は、9月27日国連総会での基調演説で、「米国の核リスク除去を骨子とした(6カ国共同声明に基く)朝鮮半島の非核化を投げ出し、互いに銃を向け合う交戦の一方である我々だけを武装解除させようとする強盗的要求である」「北の尊厳と自尊心を傷つけ、自主権を侵害する如何なる試みも受け入れない」と述べた。

 

 

△ 米国の北に対する核検証の「国際的基準」要求は、「戦勝国による敗戦国に対する要求」と変わらない!

 

 

2005年六者会談による「919共同声明」は、北の核計画の放棄と共に、米国の約束と義務も同時に明記している。「アメリカ合衆国は、朝鮮半島に於いて、核兵器を有しない事」「大韓民国も、その領域内に於いて核兵器が存在しない事を確認するとともに、核兵器を受領せず且つ配備しないとの約束を再確認した」と。

 

 

つまり、最終段階での「核検証」は、朝鮮半島の北半分でのみ行われては、半島全体の非核化は実現できない事を示している。

 

 

しかし、非核化「第二段階の履行措置」で、北が米国と韓国軍に南半分の領域に於ける全面的な核の検証を求めているのではないのと同様、北にのみ一方的に、「厳格な国際的基準による核検証」を求められる筋合いはないと言っているのである。そうであれば、米国に対し北も同様に「厳格な検証を要求」すると言っているのだ。

 

 

米国と南韓に対する検証を受け入れる事無く、北に対して一方的に「国際的基準」を要求することは、ハンギョレの指摘するように「敗戦国に対する」戦勝国のごとき要求であり、北韓が指摘する「我が国の自主権を侵そうとするもの」〈8月26日付、労働新聞〉と言う反論は根拠があると言うものだ。「米国が、我が国に対してもイラクのように、思うが儘に、家宅捜査を出来ると考えたのであれば、それは大きな誤算だ。」(同上)と。

 

 

△ 日本の民衆は、北朝鮮問題での国家権力の偽計を見破らなければならない

 

 

今日まで、日本の商業紙やマスメディアは、朝鮮半島の非核化をめぐる北―米間の交渉の基本点および、六者協議の歴史と経過について、正確な情報を伝えた事が一度もない。日本政府もまた、交渉経過をひた隠し、意図的情報で国民を欺いてきた。少なくとも、19948月の朝米協議、20038月第一回六カ国協議、2005919共同声明の内容を正確に把握するだけでも、権力の意図的情報を見破る事ができるはずである。

 

 

我々は北朝鮮が、悲鳴にも似た、世界に向かって訴えている次の言葉を真摯に受け止めるべきである。

 

 

「われわれが、朝鮮半島を非核化しようとするのは、我が民族に加えられている核脅威を除去する為であって、決して、われわれの核抑制力について駆け引きするものではない」(同上)

 

 

核兵器を独占所有し、持たざる国を脅し付け核戦争の脅威を世界に振りまいているのは、他でもなく米を始めとする帝国主義列強と核保有諸国である。そして、その米国と軍事同盟を結び、軍事基地と核搭載艦の母港を提供する日本もまた、919合意で言う、朝鮮半島の非核化にとって、大きな脅威である。

朝鮮半島の非核化だけで、極東〈東北アジア〉の平和構築と非核化は不可能である。半島に繋がる日本列島の非核化なくして不可能である。日本の自民執権政府は、その事実を、隠蔽しようとしてきたのである。

 

 

北朝鮮は、米帝国主義によって核の脅威にさらされた持たざる国々のなかの一つの戦いであると言える。北朝鮮が戦争を仕掛けると言う、帝国主義者と日本の国家権力の偽計と妄言を、日本の民衆は見破らなければならない。   



(文責・柴野貞夫 2,008105日)

 

 

● <参考サイト>

 


☆ 朝鮮半島の平和の第一歩は、米帝国主義の核基地である韓国と日本の非核化である (2008年8月9日更新)

  

☆08年1月29日  六者協議の停滞を生む、米国の義務不履行を糾弾する

  

☆ 103 朝鮮外務省声明  核施設無力化作業を即時中断する (朝鮮中央通信発 2008年8月26日付け)

 

☆ 100 平和協定締結は時代の切実な要求 (朝鮮民主主義人民共和国・労働新聞 2008年7月28日付け)

 

☆ 07年2次6者協議は、北の「核無力化」と、米の「テロ支援国家指定解除」の同時解決に向かっている!!


☆07年3月25日  6カ国協議において、「拉致問題」を”東北アジア全体の平和構造”の上に置いて
日本はどの国からも相手にされなかった!!


☆07年3月18日  6カ国協議におけるアメリカの最新動向とは!!

☆07年3月12日  6カ国協議、2.13共同声明の誠実な履行によって極東アジアの平和への 展望が生まれる!!

☆ 六カ国協議を通して見る東北アジアの現状と展望(はじめに)

☆拉致問題の核心である「横田めぐみ・偽遺骨」は、日本政府による国家的でっち上げである!![11月19日更新]